投資にハマりすぎたり、逆に節約だけで人生が終わるのはむなしい。昭和、平成、令和と私たちのお金とのつきあい方はどう変わった? 「使い方」の変遷と今の価値観を考える!
ファイナンシャルプランナー
高山一恵さん
Money&You取締役。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha』やYouTube「Money&You TV」の運営、女性にお金の知識を伝えるための講演や執筆など幅広く活躍。24万部のヒット作『はじめてのNISA&iDeCo』(頼藤太希氏との共著・成美堂出版)のほか著書多数。
金銭感覚をアップデート中
編集T
数々のマネーテーマ企画を経て、’24年からNISAで積み立て投資を開始。資産の上下変動に一喜一憂している。
【TOPIC1】日本は人口減少&不況を機にお金に対する価値観が変わった
「日本の生産年齢人口がピークに達したのは1995年。総人口は2008年を頂点に減少中です。こうした国内の人口減や不況の影響もあり、お金の価値観も1990年代から少しずつ変化。“いっぱい働いて稼ぎ、新しいモノを買う”スタイルから、“節約し、現金を蓄える”のが主流となりました。そして2020年代に入り、また新たな価値観へと転換の兆しが。さらなる人口減少が見込まれ、将来の社会保障は不透明なままではある中で、“老後の備えも大事だけど、今もちゃんと楽しんでおきたい”と思う人が増えている気がします」(高山さん、以下同)
日本の人口推移とマネーリテラシーの変化
バブル全盛期
1986年~1991年頃
人口約1億2300万人(1990年)
好景気に沸く世の中。稼いで使う時代!
国の経済が右肩上がりとなり、会社員の給料もアップ。人々の消費行動も活発化。特にブランド品や海外旅行などそれまで"贅沢"だったモノやコトが身近に!
平成不況→デフレ
1992年〜2020年頃
人口約1億2808万人(2008年)
景気後退の中、日本人の総人口はピークに
1991年にバブルが崩壊。経済が失速するとともに雇用状況も不安定に。不況から給料や物価が下がり続けるデフレが続き、「節約」ありきの消費活動が当たり前に。
少子化とインフレ
2021年〜
人口約1億2378万人(2024年)
モノやサービスの価格が高騰中。給料は?
人口減少による労働力不足が顕在化し、同時にインフレも加速中。誰もが将来への不安を抱える中で、「かけがえのない今を楽しむ」という新たな価値観も生まれている。
【TOPIC2】今、お金の使い方は“自分軸”の時代に
「経済が右肩上がりだったバブル期の頃までは、“新型のテレビが出たらみんなが買う”、“流行っているモノやコトには、とりあえずお金や時間を使わないと!”というような、世の中の価値観に合わせた消費の仕方をしている人が多かったと思います。でもその後の経済低成長の時代とライフスタイルの変化を経て、お金の使い方が激変。この30年の間で人々の生き方や価値観、趣味も多様化した結果、おのおのの暮らし方の中で、何が欲しいか・何が欲しくないかを判断できるようになりました。たとえば自分の“推し”にお金を使ったりと、消費も自分軸へと移ってきていると思います」
Q.お金に関する考え方で、当てはまるものは?(複数回答可)
投資で賢くお金を増やしたい 43人
一生大事にできるものは高くても買いたい 43人
お金の使い道で後悔したくない 38人
経験にお金を使いたい 35人
節約してでも貯金をしたい 26人
消耗品は安い物でもいい 24人
たくさん稼いでたくさん使いたい 20人
老後資金を貯め切って早くリタイアしたい 18人
貯金が最優先 15人
なるべく子どもや子孫に財産を残したい 11人
お金を使い切って死にたい 10人
借金をしてでもいい生活をしたい 1人
(回答数76名 2024年8月16日~8月23日に実施)
バイラ読者を対象にしたアンケートでも、「高くてもいいと思えるものを買いたい」「使い方で後悔をしたくない」「経験することにお金を払いたい」など、自分軸を大事にする人が多かった!
【TOPIC3】アメリカ発“DIE WITH ZERO”の考え方が浸透中!
Q.“DIE WITH ZERO”を知っていますか?
「自分軸の金銭感覚の先にあるのが“お金は使えるときに経験へ投じたほうが有意義”という話題のマネー本『DIE WITH ZERO』に代表される価値観です。人生が終焉を迎えるときに数千万円の貯金があっても、使える額や支払い先は限られますよね。また、同じ100万円で旅行をするにしても、30代と70代では行ける場所やできること、旅先で感動する力も変わってきます。特にバイラ読者の年代は行動力も感性も高まっている頃。人生の思い出が節約&貯金だけになっていいのかよく考えて、バランスよくお金を使っていきましょう!」
注目!
『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』
人生で最も豊かで賢い生き方は、蓄財に捉われずに、若いうちから経験に投資し、お金を楽しく“使い切る”こと――。新たなお金の価値観を提示し、話題沸騰となっている一冊。
ビル・パーキンス著 児島 修訳
ダイヤモンド社 1870円
イラスト/サレンダー橋本 取材・原文/石井絵里 ※本文に記載されている金額、数字、データ等は2024年9月末時点のものです ※BAILA2024年12月号掲載