住宅ローンを組む際に、まず考えるべきことは?
お話を伺ったのは住まい探しのプロTERASSアカデミー代表取締役社長、江口亮介さん。
今回は、住宅ローンの組み方について。人によって月々の支払金額や支払い年数はさまざまですが、金額を設定するにあたり、どんな要素を考えるべきか、考え方や算出方法について、アドバイスをいただきました。
住宅ローンの月々の支払い。今の家賃とほぼ同額ならOK?
Q. 住宅ローンの月々の支払金額を決める際、何を目安に決めたらよいでしょうか?
江口さん: 購入した場合の住宅ローンと賃貸の家賃を比べると、月々の負担額が同じでも、購入のほうが賃貸よりもグレードの高い物件に住めることが多いです。
とはいえ、月々のローン返済額を考えたとき、単純計算で「今の家賃と同額ならOK」と考えるのは危険です。
考えるべき事項は他にもたくさんあります。
・将来子どもがほしいのか(求める間取りや専有面積が変わってくる可能性あり)
・もし子どもが生まれたら教育は公立校か私立校どちらがいいのか(教育費が大きく変わる)
・自分自身が転職・独立する可能性はあるか(収入が変動する可能性あり)
など。
将来の人生プランに基づいて「買うべき上限金額」を決めなければいけません。
このとき、「現在借りられるフルマックスの返済額」ではなく「将来を見据えた支払余力がある返済額」にすることが大切です。
収入は「手堅めに見積もる」。
支出は逆に「やや大きめに算出する」。
それでも支払える余裕のある金額で考えましょう。
借りられる上限金額でローンを組むのは危険。ペアローンはとくに要注意
江口さん:住宅ローンを検討している際、金融機関から「借りられる金額」として提示されるのは、現状の収入・与信で、銀行が回収できると見込めるマックスの額です。
その金額には、教育費をはじめ、上記のような住宅以外の、将来のプラン(子どもと教育費、転職の予定など)にかかる金額は考慮されていません。
ですから、「借りられる金額」=「家の購入に充てられる上限金額」ではないのです。
特にペアローンの場合、夫婦で「借りられる金額」の最上限のローンを組むのは危険です。
少なくとも片方の収入が大きく変わっても、ある程度余裕のあるレベルの金額に設定したいものです。
まずは、物件を見に行く前に、しっかりと住居以外に見積もっておきたい金額(子どもの教育資金や老後資金)、仕事は将来どうしたいのかなど、できるだけしっかりとしたライフプランを作っておき、そこから「余力のある上限金額」を算出してください。
このようにロジカルに予算が定まると、よい物件が出てきたときにスピーディーに意思決定しやすくなります。
ぜひそこをしっかりやってから物件探しを始めるようにしましょう。
株式会社TERASS 創業者・代表取締役社長
慶應義塾大学経済学部卒。リクルートでSUUMOの営業・企画、McKinsey & Companyで経営コンサルティングを経験した後、2019年4月にTERASSを創業。不動産業界に対する革新的なアプローチを評され、「日本の今年の顔」Forbes100 2022選出。Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング 2026」TOP9。
2023年より不動産テック協会 理事、2025年より日本不動産エージェント協会 代表理事。
個人としては3回の不動産購入、2回のフルリノベーション、3回の不動産売却を経験。
取材/瀬戸由美子



















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