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クリス-ウェブ 佳子さん、「人と人をつなぐ、何でも屋。情熱で人の引き出しを開けたい」【仕事の景色が変わった日】

出会った相手が「何を好きなのか」を知り、その話に耳を傾けることが楽しい。そう語ってくれたクリス-ウェブ 佳子さん。自分の「好き」を仕事につなげるひとは他人の「好き」も大切にしているひとでした。クリス-ウェブ 佳子さんに仕事との向き合い方をインタビュー。

人と人とをつなぐ、何でも屋。情熱で人の引き出しを開けたい

クリス-ウェブ 佳子-1

ニューヨークへ飛び出した19歳の決断が行動力の原点

二人の娘を育てながら、30歳で雑誌『VERY』の専属モデルとして仕事復帰したクリス-ウェブ 佳子さん。その後はモデルのみならず、コラムニスト、ラジオDJ、デザイナー、ライター、インテリアスタイリストなどなど、次々と肩書を増やしていくことに。

「子どもの頃から飽き性だったんです。小宮悦子さんに憧れてアナウンサーになりたいと思ったり、CAに憧れたり、ファッションデザイナーを夢見たり。一時はクイッター(Quitter/物事をすぐやめる人のこと)な自分がコンプレックスでした。でも、ある人から言われたんです。『嫌で逃げてるんじゃなく、次にやることを決めてやめているんだから、全然悪くないんだよ』って。一気に心が楽になりました」

パワフルにキャリアを拡充させてきた彼女の行動力の原点を深掘ると、19歳の決断が大きく影響していた。

「大学2回生のときにニューヨーク発祥の音楽にハマり、ミュージックプロモーターになりたいと思ったんです。バイトをしてお金を貯めて航空券を買い、パスポートを取り、語学学校も住む部屋も親に内緒で見つけました。そして出発前日、両親に『明日からNYへ行ってきます』と宣言したんです(笑)」

NYに渡ってからも、持ち前の行動力を武器に新しいことにチャレンジ。

「日本人同士で仲よくなってしまう語学学校に通い続けるよりも、自分で何かを始めなきゃと思って。近所にたまたまあったオーダーメイドの服屋さんにふらっと入って『仕事をください』ってお願いしたんです。接客やお使いを頼まれるうちに、デザイナーとたくさん知り合うことになって。音楽はもちろん好きだったけど、ファッションに夢中になり、駆け出しのモデルやヘアメイクアップアーティストに声をかけて、新人デザイナーのためのポートフォリオ作りをオーガナイズしたんです」

たくさんのポートフォリオを手に一時帰国。地道な売り込みの結果、京都のセレクトショップでバイヤーの仕事に就く。その後、上京してアパレル企業にファッションPRとして入社。24歳までを振り返るだけでも、激動の人生!

「全部の仕事をまったく経験のない初心者から始めました。そもそも私は資格も免許もないし、履歴書の資格欄は真っ白。でも興味があることに対する情熱だけはあったんです。“好き”を公言する力はNYで培ったもの。おかげでどこに行っても『面白いね』と受け入れてもらえた気がします」

どんな仕事もNOと言わないと心に決めた

能動的に人生を切り開いてきた彼女が、初めてオファーを受けて飛び込んだのがモデルの仕事。結婚して子育てをしている時期に、『VERY』の読者モデルにと声をかけられたのだ。その後、自分を知ってもらうために始めたブログがコラムの執筆につながり、さらにイベントで発揮したトーク力が、ラジオDJの仕事へとつながっていく。

「モデルに誘っていただいたとき、そのお仕事に興味を持つことができるか不安だったのですが、当時の夫から『与えられた役を演じればいいんだよ』と言われたんです。そのひと言はいまだに息づいていて、どんな仕事も『NO』と言わないと決めました。ただし初心者なので『できます』とは言わず『やります』って言うんです。そして受けたからには絶対にやり遂げる。変化を起こして自分を追い込むことが好きなんだと思います。肩書が増えていく“何でも屋”が、実はすごく気に入ってます」

中でも印象的だったオファーは、レストランの内装。さすがにこれまでの仕事とはまったく毛色が違うけれど、もちろん答えは「YES」だった。

「もともとインテリアが好きで、インスタグラムで発信をし始めた頃だったんです。自分の好きが大きなお仕事につながった出来事だったので、すごく嬉しかったです。ただし、準備期間はたったの2カ月間。何もかもが素人だったし、その空間をどうしたらいいのか、最初は何も浮かびませんでした」

そこで相談をしたのが、知り合いの空間デザイナー・谷川じゅんじ氏。

「どんな人に『来てほしいか』ではなく、どんな場所なら人が『来たいと思うか』を想像しなさいと言われました。工事中の空間に何時間も座って考えていたら、明確になったこと。私に足りないのは想像力だったと気づけました。聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥。わからないことは一流に聞くのがいちばんです」

新しいことを始めようとするとき、多くの人は資格取得のために学校へ通ったり、机に座って勉強を始めるはず。

「それももちろん大切だけど、その道には必ずプロがいる。自分の引き出しを増やすだけでなく、人の引き出しを借りて助けてもらうことだってできるんです。一流の人を見つける行動力と、どこで会えるか調べる情報力が案外役に立つこともあると思います」

クリス-ウェブ 佳子-2

これまでのキャリアで培ってきた行動力と公言力、そして想像力と情報力。さらにもうひとつ、人の話を聞き、引き出す共感力も身につけてきた。

「これは初めてお話ししますが、上京してPRの仕事が決まって入社までの間、銀座の老舗クラブでホステスをしたことがあるんです。好きな漫画から借りた“艶香”という名前で。英語が話せたことも幸いして、おかげさまでひっぱりだこ(笑)。2カ月と期限を決めていましたが、ずいぶん引き止められました。人から話を引き出し、耳を傾けることも訓練で鍛えることができる。ものすごく社会勉強になったし、培った共感力は今も武器になっています」

様々なジャンルで活躍してきたけれど、すべてに共通するのは「人がモチベーション」だということ。

「どんな仕事でも、その先には必ず人がいる。この人と仕事がしてみたいという気持ちが私を突き動かしてきました。今興味があるのは営業です。企業と雑誌をつないで広告をつくるような仕事をしたいので、出版社でインターンをさせてもらいたいと本気で考えています。そしていずれは、フリーランスとして人と人を仕事でつなげていきたい。仕事をつくるマッチングアプリのような存在になれたらいいなと思っています」

HISTORY

19歳 大学を休学しニューヨークへ
22歳 京都でバイヤーの仕事に就く
24歳 上京。アパレル企業にPRとして入社
25歳 妊娠・結婚し、長女を出産。専業主婦になり、翌年次女を出産
28歳 雑誌『VERY』の街角スナップ撮影をきっかけに読者モデル活動をスタート
30歳 事務所に入り『VERY』専属モデルに。マネージャーのすすめでブログを開始
34歳 青山のレストラン「アンドエクレ」の開業にあたり、初めて内装を手がける
41歳 『VERY』を卒業

クリス-ウェブ 佳子

モデル・コラムニスト

クリス-ウェブ 佳子


くりす-うぇぶ よしこ●1979年10月3日生まれ、島根県出身。19歳と18歳の姉妹の母。’17年にブログや連載コラムをまとめた書籍『考える女(ひと)』(光文社)を出版。マッチングアプリのような存在になりたいと語りながらも、カップリングは下手で「これまで私の紹介で恋を成就させた友達は一人もいない」と大笑い。「でも仕事をつなげることはすごく得意だし、アイディアがポンポン出てきちゃうんです。営業のほかにもやりたいことはいっぱいあります。ラジオDJはもう一度挑戦したいし、親に相談できない悩みが多い、多感なティーンエイジャーに向けた発信もしたい。娘の友人が集まるわが家は“保健室”って呼ばれているんです(笑)」

ジャケット¥33000・タンクトップ¥12100・サロペット¥33000/プランク プロジェクト 青山店(PRA NK PROJECT) ネックレス¥53900(JiYE SHIN)・ピアス¥28600(PUPIL CASKET)/ショールーム ウノ ベルト/スタイリスト私物

撮影/峠 雄三 ヘア&メイク/chiSa〈SPEC〉 スタイリスト/平みなみ 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2023年5月号掲載

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