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「できれば争わずに生きたい」って、ダメですか? 精神科医が教えるもやもや解消ポイント

できれば平和に過ごしたい。“言いたいことが言える世の中”に変わりつつある今、争わずに生きたい気持ちを大切にしながら“私”をすり減らさない、新しいコミュニケーションを模索します。読者アンケートで見えてきた“争わずに生きたい”マインドの中身と、精神科医の水島広子先生によるアドバイスをご紹介。

読者アンケートで見えてきた“争わずに生きたい”マインドの中身

□ 乱暴な言葉使いや威圧的な態度に引いてしまう
□ 怒ったり争ったりするのは非効率的だと思う
□ できれば誰にも嫌われたくない
□ 自分の意見を言うのと“言いたいように言う”のは別だと思う
□ 誰かを傷つけたり不快にさせたくない
□ 怒るのは苦手だ誰かが怒られている場にいるのも嫌だ
□ 何かを言うとき、言われた相手の気持ちを考えてしまう
□ 相手を嫌な気持ちにさせてまで自分の主張を通したいとは思わない

BAILA読者の92%が「争わずに生きたい」と感じている

BAILA読者の92%が 「争わずに生きたい」と感じている

読者アンケートによると、“できれば争わずに生きたい”という気持ちに共感する人が73%、どちらかといえば共感する人が19%という結果に。何か嫌なことがあっても自分の中にため込んでしまうという人も多数。
(2021年9月16~20日@BAILA会員77人が回答)

今、「自分の意見を主張する」「何かあったら声を上げる」ことができるように変わってきた社会の中で、周囲への配慮も大切にしながら自分のことも尊重し、健康的に“争わずに生きていく”道を見つけたい!

精神科医の先生にこの気持ちについて聞いてみた

“できれば争いたくない”は素晴らしい考え方。相手の顔色をうかがうのではなく、自分の心の平穏のために、争いを生まない方法を知るときっと楽になれるはず

水島広子先生

精神科医

水島広子先生


対人関係療法専門クリニック医院長。「対人関係療法」の日本における第一人者。『つい、「まわりに合わせすぎ」てしまう人へ:もっとスッキリ生きられるヒント』(三笠書房)、『私たちはなぜ「女」を面倒に思うのか──あるある女性の悩み』(自由国民社)など著書多数。

主張するときは非暴力コミュニケーションを心がければ争いにならない

「争いが起これば、どちらかあるいは両方が必ず傷つきます。争いたくないという気持ちを持つ人ばかりなら、戦争だってなくなるはず。まず、この特集のタイトルには“ダメではない、素晴らしいことです”とお答えしたいです」

そう勇気づけられる言葉をくださったのは、精神科医の水島先生。対人関係の専門家である先生に、争いを避けたいのに怒ってくる人と出会ってしまったときの対処法を伺うと――。

頭の中に自動翻訳機を作って、“怒っている=困っている”と認識を変えてみてください。たとえば、上司が怒っているときというのは、本当は“こういうふうにうまくいくはずだったのに”と、期待と現状のズレに困っているんですね。相手が怒っていると思うと怖いし、理不尽に感じてしまうかもしれませんが、困っていると思えば対応もできるはず。たとえば“不勉強で申し訳ありません。何をすればいいか教えてください”と、相手の期待を確認しズレを解消するという視点で発言すれば、相手の怒りも収まりやすくなるでしょう。また、怒りは相手の問題で、力不足を感じたり傷つく必要はありません

では、自分に言いたいことがあるときはどうするのがいい?カギになるのは“非暴力コミュニケーション”。

争いと主張は違うものだと分けて考えましょう相手を否定したり非難しない“非暴力コミュニケーション”で自分の意見を伝えれば、少なくともこちらから争いを持ちかけることにはなりません。意識するべきは、主語を相手ではなく自分にすること。最近広がってきている“Iアイメッセージ”というものですね。“あなたがそんなことをするから!”ではなく、“私が不安になるんだけど”というように、自分の気持ちを主体にして伝えるんです。そのときに大切なのは、相手を責めているように聞こえない言い方を選ぶこと。“私、ちょっと潔癖なところがあるから、片づいてないとダメなの”のように、自分の困りごととして伝える。“私は片づいてないと嫌なんだから片づけてよ!”はよくないということです。人間は、責められていると感じると反撃モードに入ってしまいます。そのスイッチを押さない言い方で主張するというのがポイントです」

争いでも、我慢でもないもうひとつの選択肢は“相手にインタビューする”

ときには相手に怒りを感じることもあるはず。でもそういうときこそ、ただ我慢するのではなく、話を聞くことが大切。「争うか我慢するかの二択ではありません。相手に対して怒りを感じたときは、“この人はなぜこんなことをするんだろう”と、まず相手の背景を考えてみてください。もしかしたら理不尽に怒鳴るというやり方しか知らずに育ったのかもしれない。バカにされることが多くて被害者意識が強くなってしまったのかもしれない。そう考えて相手のあり方を許してあげる。その上で、相手の怒りが自分に向いたときは、“それなら、私はどうしたらいいか教えて”と穏やかに尋ねましょう。先ほどと同じように、困りごとを解決するという姿勢で向き合えばいい。相手に何か注意したいときも“インタビュー”が有効です。「どうしてこうしたの?」の問題や間違いを一緒に解決していくほうが、怒って言うことを聞かせるよりずっといい。相手も“この人は愛を持って接してくれる”と信頼して、さらなる一歩の努力をしてくれますから。これは、仕事でもプライベートでも同じです」

最後に、自分をもやもやさせない方法を聞いてみたところ……

「争わない生き方をする人には二つのタイプがいます。ひとつは、他人の顔色を気にして争わないようにしているタイプ。そしてもうひとつは自分の心の平和を大切にしているタイプです。後者の自分主体の争わない主義であれば、もやっとすることはぐっと減ります。“私ばかり我慢している”“損をしている”と思わずにすみますから。ちょっと耳が痛い話ですが、争いたくない人は道徳心が強く、物事を正しい・正しくないでジャッジしがち。でも正しさは人によって違うものだから、それを基準にするのは不満のもとです。世の中には面白い・面白くない軸で生きている人もいますからね(笑)。ですから、争いを選ばないのは、“そうするのが正しいから”ではなく、“私がそうしたいから”と考えてほしい。“私は平和でハッピーに生きていくんだ!そのために争わない選択をするんだ!”と自分を主役にした考え方こそが、もやもやをためないいちばんの方法なんですよ」

「そうは思えない、という人も練習すればできるようになります。我慢していると思ってしまったときに、“いや、これは自分の平和のためにやっているんだ”と思い直すことを繰り返す。思考だって筋トレと同じ、練習すれば変えられます!


「“怒りを表明しない”というのは立派な生き方のひとつ。争わずに生きたいという素敵な考え方を大切にして、平和にハッピーに過ごしていってください」

【もやもや解消ポイント】

  • □ 怒っている人は“困っている”人に置き換える
  • □ 主語を「私」にすると争いを避けて意見を伝えやすい
  • □ 理不尽だと思うときこそインタビュアーになろう

撮影/花盛友里 イラスト/いいあい 取材・原文/東 美希 ※BAILA2021年12月号掲載

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