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【リモートワークのもやもや解消 まとめ】タイミング、距離感、温度感…令和の人間関係、これでうまくいく!

在宅勤務が本格的に導入されてからそろそろ1年半。慣れてきたはずなのに何でこんなに疲れるの? リモートの職場で起こる人間関係疲れの原因と対処法を、公認心理師の山名裕子さん、㈱テレワークマネジメント代表取締役の田澤由利さん、ハラスメント対策専門家の山藤祐子さんが徹底レクチャー!

目次

  1. 1.見えない不安を和らげる連絡方法とツールを選ぶ!【リモートコミュニケーション編】
  2. 2.進行役も参加者もできることがたくさんある!【リモート会議編】
  3. 3.何がハラスメントにあたるかをまずは知ることから【リモートハラスメント編】
  4. 4.バイラ世代117人にアンケート!【リモートワークのリアルな実態】

1.見えない不安を和らげる連絡方法とツールを選ぶ!【リモートコミュニケーション編】

見えない部分が増えると人は不安を抱えやすい。相手に寄り添う心がけを

「リモートワークで起こる人間関係トラブルの多くは、コミュニケーション不足から生じていると思います」と山名さん。リモートでは対面よりも高いコミュニケーションスキルが必要なのだそう。
「人は五感を使って、言葉以外からも多くのことを感じながらコミュニケーションをとっています。それゆえ、リモートでのオンライン越しの画像やメール、電話のやりとりは対面より情報が少なく、伝わりづらさや受け取りづらさが出てきてしまうんですね。また物理的な距離が心の距離に影響を与えるともいわれています。見えない部分が増えると人は不安を抱えやすいので、その部分を補うことが大切。相手に寄り添った連絡頻度やツール、言葉選びを心がけましょう」(公認心理師 山名裕子さん)

忙しい上司に連絡する タイミングの見極め方は?

Q 普段から放任型の上司の場合、リモートワークでミスを防ぐには?

山名さんA 自分の能力不足を理由にコミュニケーションをこまめにとって
「『私の力不足によりミスが増えると心配なので、連絡を多めにとらせていただいてもよろしいですか』などと低姿勢にお願いを主張してみては」(山名さん)

田澤さんA 業務を見える化することが大切1on1を有効活用しましょう
「今までより作業のプロセスにおける『報連相』を頻繁にする、週1回15分でもよいので1on1のオンラインミーティングを定期的に持つことで、お互いに安心感が生まれます」(田澤さん)

Q 忙しい上司に連絡するタイミングの見極め方は?

山名さんA メールなどで事前に自分の予定を伝えた上で上司の都合を聞くとやりとりが減りスムーズ
「いきなり電話ではなく『相談があり、この日ならいつでも出られるのでお時間があるときにお願いします』と一本メールすると、上司の返答の負担が減ります」(山名さん)

田澤さんA バーチャルオフィスというツールを利用すると上司が今何をしているかがわかって声がかけやすい
「クラウド上にオフィスをつくるツールが注目されています。リアルなオフィスのように社内を見渡すことができ、相談するタイミングを見つけやすいです」(田澤さん)

Q ちょっと聞きたいことがあったとき相手に負担をかけない連絡方法って?

山名さんA 相手の優位タイプを把握して得意なツールを選んで
「たとえば視覚優位の人はメール、聴覚優位の人は電話、体感優位の人は対面に近いオンラインミーティングといった具合に、人それぞれ得意なツールがあります。相手から普段どんなツールで連絡がくることが多いかということから察するといいですね。わからない場合は『報告する場合はメールがよろしいですか』などと尋ねて確認を」(山名さん)

Q 人間関係が円滑になるメールのやりとりをするにはどうすれば?

山名さんA 相手の返信スピードや文字量、温度感に合わせると心の距離が縮まる
「お互いに顔が見えないメールでは、トーンやテンポ、文字量、言葉づかいを相手に合わせるページングというテクニックが有効。文章のとらえ方は人によって異なるので、万人受けする表現を選んだほうが誤解が少ないです。言った側にも言われた側にもプラスの効果をもたらす『ありがとう』は、やりとりの万能な潤滑油ですね」(山名さん)

Q リモートで雑談ってどうやったらできるの?

山名さんA 自分が先に情報を提供して相手がノッてきたら聞き役に
「会社で気軽にできたプライベートな情報交換が減ることで、互いに見えない部分が増え心の距離ができてしまうことも。人には受けた好意を返そうとする返報性の原理といわれる心理があるので、自分から最近興味があることなどを話すと相手も『そういえば』と言いやすくなります。相手が話し始めたら大きくリアクションを!」(山名さん)

2.進行役も参加者もできることがたくさんある!【リモート会議編】

もっと改善の余地あり!「リモートではできない」という意識の問題が大きい

リモート会議にはプラスとマイナスの両面があり、より長所を生かして短所を補うことができると田澤さんは語る。「まずプラス面として、感染防止は言わずもがなですが、ほかにも対面会議ではマスクを着用しているのでリモートのほうが口もとまで表情がよく見えます。画面共有や録画の機能があるなどの利点も。マイナス面は通信のタイムラグ、空気感や熱量が伝わりづらい点が挙げられます。通信面は技術の進歩を待つよりありませんが、それ以外は運営手法で改善できることが実は多いんです。ただその壁になっているのが『リモートではできない』という思い込み。ここで具体的な改善策を説明しているので、よりよい会議を運営するお役に立てたら嬉しいです」(㈱テレワークマネジメント代表取締役 田澤由利さん)

もっと改善の余地あり!「リモートではできない」という意識の問題が大きい

Q リモート会議で場の空気をうまくつくるためにできることは?

田澤さんA 運営方法で雰囲気が変わるので進行役は腕の見せどころ
「会議の運営によって空気が左右される面が大きいので、進行役の人はリアルよりリモートのほうが責任重大。意見を引き出す、まとめる、場を共有する力量が問われます」(田澤さん)

山名さんA 参加者はリアクションを大きく!気をつかいすぎずにその時間を楽しむことを意識して
「参加者はテレビ番組のワイプ内くらいのオーバーリアクションを。互いに気をつかいすぎるとぎこちない空気が伝染するので楽しむ気持ちを大切に」(山名さん)

Q リモート会議で発言を切り出すためのコツはありますか?

田澤さんA 声を発するには勇気がいるので目線を向ける、挙手など動きでアピール
「進行役に発言しやすい場づくりや運営を頑張ってもらいたいところですが、参加者も前向きな表情や姿勢でアピールしましょう。画面越しで誰かに気づいてもらえます」(田澤さん)

山名さんA 会議に一緒に出る同僚や上司に事前に共有して振ってもらう
「事前に誰かしらを味方につけて乗り切る方法も。同じ会議に出る人に『この話を会議内でしたいので振ってもらえませんか』と情報を共有しては」(山名さん)

Q 発言者以外はミュートにすることで会議が盛り上がらないときは?

田澤さんA 参加者に当事者意識を持ってもらうフェアに参加できるルール作り
「会議の目的は参加者の音を聞くことではないので発言者以外はミュートにしてもいいと思います。ただ、発言しやすい公平なルールを作ることが大事。発言が少なければ順番に全員当てると発言したい人を引き出せます。顔が出ている出ていない、同じ会議室にいる人と在宅勤務者といった不公平をなくすことも当事者意識を高めます」(田澤さん)

Q 会議中に議題に関係ない話をうまく切り上げて戻す方法は?

田澤さんA 進行役が最初に時間配分の宣言をタイマーのアプリを使う手も
「たとえば私は議題を提示して『20分ずつをめどに進めたいと思います。長くなる場合は切り上げますがご容赦ください』と言って始めたりも。上司が話しているとブレイクしたくない空気になりますが、たとえばタイマーアプリを使ってアラームが鳴るようにセットして時間管理をすると、本当に鳴ったらみんな大笑いですよ」(田澤さん)

Q リモート会議に向いている会議、向いていない会議ってあるの?

田澤さんA 運営側の工夫次第。議題による向き不向きはない
「アイディアを出すブレスト会議は向かないといわれることがありますが、私は運営次第だと思います。たとえば画面に顔が並ぶことで緊張感が漂ってしまう場合は、資料を大きく映し出したり、パワーポイントの画面をリアルな会議のホワイトボードに見立ててその場でメモをしながら進行役が会議を進めていくのも有効です」(田澤さん)

Q 初対面のクライアントとリモート会議で信頼関係を築くには?

田澤さんA 自己紹介の仕方に工夫を!努力の差は確実に出てくる
「リモート営業の初対面でフリップを持って自己紹介をした人がいて印象に残りました。画面の背景を選ぶなどリモートならではの工夫ができますね」(田澤さん)

山名さんA 特別感のあるリアクションでまた話したいという関係性を構築
「聞くリアクションも重要。話に真摯に対応することで、相手がこの人にはよく話を聞いてもらえるという感覚を抱き、また会いたいという気持ちにつながります」(山名さん)

3.何がハラスメントにあたるかをまずは知ることから【リモートハラスメント編】

リモハラ防止のためハラスメントの知識を持ち運用ルールの明確化を

リモハラの定義とは、「リモートワークで起こるハラスメントで、主にパワハラとセクハラに分類されます」と山藤さん。「たとえばパワハラの例では『在宅勤務だから残業代を払わなくていいだろう』、セクハラの例では『部屋の中をもっと見せて』など、仕事上の優越的な関係を背景にした、業務上必要でも相当でもない職場環境を悪化させる言動が挙げられます。本人の主観だけですべてが法的ハラスメントに該当するわけではありませんが、リモートワークではコミュニケーションの不和から誤解が生じやすく、対面よりハラスメントが増えることも。リモートワークの運用ルールの明確化により迷いを減らすことができれば、ハラスメントの防止につながります」(ハラスメント対策専門家 山藤祐子さん)

何がハラスメントにあたるかをまずは知ることから

Q 会社のルールが厳しすぎて監視されていると感じるときどうすれば?

山藤さんA 度を越えていると感じる場合は監視の必要性を確認し話し合いを
「基本的には、従業員は会社と労使契約を結んでいますので、『監視されているようでイヤだ』と感じても、会社が業務上必要と考えるならば守らざるを得ません。ただ、必要なのは本人の監視ではなく業務の管理なので、『度を越えている』と感じたときは改善策を示して、管理する側とされる側の認識のズレを話し合うとよいですね」(山藤さん)

Q リモートワークで正当な評価を受けてないなと感じたときは?

山藤さんA 社内の基準値を見える化するため業務分担表を作りましょう
「業務分担表を作成するとお互いが何の仕事をどこまでやっているかが見え、仕事量やスピードの評価基準値が明確になります。リモートで見えない部分を見える化した上で主張すると、説得力が生まれます」(山藤さん)

山名さんA 不満ではなく不安として伝えると攻撃性が出にくく相手の理解を得られる
「『不満です』ではなく『不安なのでこれを希望します』と言い方を変えると相手の理解を得やすくなります」(山名さん)

Q 画面越しにセクハラを受けそうなときどう切り抜けるのがいい?

山藤さんA 感情的ではなく不快に感じることを相手に冷静に伝える
「『セクハラですよ!』と感情的に言うと相手も感情的になる可能性があるので、『そんなふうに言われると嫌な気分になるので仕事の話に戻していいでしょうか』と伝えられるといいですね」(山藤さん)

山名さんA 反発的な態度は逆効果毅然とした態度で丁寧に対応を
「セクハラをする人のなかにはリアクションを面白がる人もいるので、ダメージを受けてるように見せずに淡々と丁寧に対応を」(山名さん)

Q カメラオフを希望する人にオンにするようお願いするのはリモハラ?

山藤さんA 業務上の必要性相当性があればリモハラには該当しません
「まずはリモハラの知識を確認しましょう。リモートワークにおけるパワハラは、業務上の必要性相当性を越えた人格を否定する言動。セクハラは、相手の意に反する性的な言動を指します。以上を踏まえて『今回の打ち合わせは、皆さんの状況や体調もお聞きしたいのでカメラオンにしてください』とお願いすれば大丈夫です」(山藤さん)

Q 対面重視の考え方の上司にリモート業務をすすめるには?

田澤さんA 社外からのアクションが効果大研修などの導入を人事部に提案しては
「内部からの提案に加えて外部研修をきっかけに新しい制度や知識を導入した企業も多いので、人事部に研修を提案するといいかもしれません。業種にもよりますが、日本は少子高齢化による労働力不足の問題があり今後ますます働き方改革も進んでいくので、コロナ後もリモートワークはさらに拡大していくと思います」(田澤さん)

4.バイラ世代117人にアンケート!【リモートワークのリアルな実態】

「リモートでも仕事はできるけれどストレスがたまる」「出社するとひそかにホッとする」などリモートワーク疲れに嘆く声が続々。

【2021年6月4日~6月9日、BAILAメルマガ会員にアンケート。27〜39歳の117人が回答】

Q リモートワークの経験はありますか?

ある 62% ない 38%

ある 62%
ない 38%

経験者は約6割。週5で在宅勤務の人は3割弱。在宅と出社の混合勤務の人も多数。「1年たちリモートワーク用社内ルールができた」との声もあった
が、毎朝夕の日報提出や24時間チャットなど謎ルールも多く、それがストレスになっている人も

Q 出社して働くよりもリモートワークのほうが効率が上がると感じますか?

感じる 26% どちらかといえば感じる 29% どちらかといえば感じない 23% 感じない 22%

感じる 26%
どちらかといえば感じる 29%
どちらかといえば感じない 23%
感じない 22%

回答が分かれる結果に。効率が上がると感じる人からは「通勤時間が有効に使える」「自分のペースで作業できる」、効率が下がると感じる人からは「報告・連絡・相談に対面より時間と労力を割かれる」「クリエイティブな作業の生産性が落ちた」との声が

Q リモートワークをしていて人間関係でもやもやした経験はありますか?

とてもある 25% ときどきある 49% あまりない 22% まったくない 4%

とてもある 25%
ときどきある 49%
あまりない 22%
まったくない 4%

「とてもある」「ときどきある」を合わせると7割以上に。読者の2大もやもやは「コミュニケーションがとりづらい」「リモート会議が難しい」との声。すぐ話しかけられない、頻繁な連絡が面倒など悩みは奥深い。社内の人間関係が悪化したという声も

バイラ世代に聞いた リモートワークのリアルな実態

●オンライン打ち合わせで自室の本棚がモニターに映って“どんな本読んでるの?教えて”と言われたとき気持ちが悪かった(31歳・メーカー事務)
●リモート会議だとうまく発言できません(31歳・メーカー事務)
●リモートだと会議が盛り上がらない!場の温度感や空気が共有できずよいアイディアが出にくくなった(34歳・メーカー)
●会社にいたらすぐ聞けるちょっとした確認がリモートだといちいち時間がかかる。返事がくるまで仕事が進まずもやもや(36歳・不動産)
質問するタイミングやツールに迷う。「今聞いても大丈夫かな」と考えすぎて気疲れします(30歳・メーカー)
●雑談などの仕事と直接関係ないコミュニケーションが減り上司や後輩との距離が遠くなった(32歳・商社)
●メールやグループチャットなど文章でのやりとりが多くなり冷たい印象になっていないか心配(35歳・IT)
●リモートワークになって一日中誰とも話さない日があり孤独を感じます(35歳・金融)
昔ながらの上司は対面重視でリモートワークに理解があまりなく出社を促されがちで不安です(36歳・営業)

教えてくれたのは
山藤祐子さん

ハラスメント対策専門家

山藤祐子さん


自身のハラスメント経験を生かした、ハラスメント研修専門講師として、年間150日以上登壇。キャリアコンサルタントとしても活躍。

田澤由利さん

㈱テレワークマネジメント代表取締役

田澤由利さん


㈱ワイズスタッフ、㈱テレワークマネジメント代表取締役。企業へのテレワーク導入支援や国や自治体のテレワーク普及事業を実施。

山名裕子さん

公認心理師

山名裕子さん


「やまな mental care office」を開設し、心の専門家としてストレスケアからビジネスまでカウンセリングを行う。メディアでも広く活躍。

イラスト/大窪史乃 取材・原文/佐久間知子 構成/田畑紫陽子〈BAILA〉 ※BAILA2021年9月号掲載

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