平和に穏やかに過ごしたいのに、なんだかすり減る…。“争いたくない”けど、ときどきもやもやする人へ、カウンセラーの大野萌子さんとイラストレーターの描き子さんがうまく立ち回る方法&心の持ちようをアドバイス! 今回は「意見を求められると困る」「意見の合わない話題は避けたい」というお悩みにアンサー。
相手に合わせたいのに意見を求められると困る
「争いたくないという気持ちが強いタイプです。そもそもそんなに強い希望がないからこそ、相手に合わせているのですが、たまに“あなたの意見を主張してほしい”と言われて困ります。主張しないことが争いの種になるなんて……」(34歳・金融事務)など多数!
希望を言うのではなく避けたいことをひとつだけ挙げてみる
(大野さん)
「おそらく相手は“何を考えているかわからない“と不安なのでは。もしくは、あなたとわかり合いたいと思っていたり、我慢させていないか気にしていたりするのかもしれません。強い希望がないなら、避けたいことを言ってみるのはどうでしょう。何食べたい?と聞かれたとするなら、“辛いもの以外!“と答えてみるとか。これも立派な主張です。“本当に不満がないんだ”ということが伝われば、相手も安心するはず」
相手にすべてを決めさせるのは負担をかけているのかも
(描き子さん)
「相手は自己主張をしてほしいわけじゃなく、ヒントを求めているだけじゃないでしょうか。“相手に合わせる”というのは何も言わないことじゃなくて、考えをまとめるヒントをあげることだと思っています。“私には意見がないから全部決めてほしいんだ!”というのは、相手に決断という大きな負荷をかけていることにもなります。“合わせていれば相手は嫌な気持ちにならないはず”という考えは、少しズレているかもしれません」
友達でも意見の合わない話題は避けるって、冷たい?
「コロナ禍になり、ワクチンや自粛の考え方の違いなどが明白になり、個人の考え方なので否定はしないけれど、考えが違うことを説明して理解してもらえるとも思えないので、上手にかわすようにしています。これって友達として冷たいのでしょうか?」(39歳・事務)という声も。
どうしても気になるなら自分がやった事実のみを感情抜きで伝える
(大野さん)
「いえ、むしろ素晴らしいと思います。価値観や感覚は人それぞれだし、説得することも無理です。相手にとっては信じているものが真実。相手を否定したり批判したりする必要はないし、関係性が悪くなるだけです。もし、考え方が違うことについて何も言わないのがどうしても気になるなら“私はワクチン打ったよ”など、自分の話をすればいいと思います。世間の常識や多数派についての話はナシにしたほうがいいでしょう」
争いになるような話題を避けるのは愛情ですよ
(描き子さん)
「もやっとするということは、ぶつかり合ってでも本音を言う!という友情を、心のどこかで求めているのかも? やってみてもいいけれど、おそらくケンカになるし、そうなってもあなたの責任です。友達は家族ほど密接な相手ではないから、適度な距離感が大事。争いになるような話題を振らないというのは、むしろ愛情だと私は思いますよ。それこそが、“多様性を大事にする”ということだと感じます。気にせずそのままで」
カウンセラー
大野萌子さん
日本メンタルアップ支援機構代表理事。人間関係改善コミュニケーション、ストレスマネジメントなどが得意分野。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える働く人のための言いかえ図鑑』(サンマーク出版 1540円)など。
イラストレーター。エッセイスト。『推しにも石油王にも出会えない私たちの幸福論』(ディスカヴァー・トゥエンティワン 1650円)など、エッセイ本も出版。生きづらさ解消に関する情報を主にTwitter(@kaqico)で発信している。
撮影/花盛友里 イラスト/いいあい 取材・原文/東 美希 ※BAILA2021年12月号掲載