平和に穏やかに過ごしたいのに、なんだかすり減る…。“争いたくない”けど、ときどきもやもやする人へ、カウンセラーの大野萌子さんとイラストレーターの描き子さんがうまく立ち回る方法&心の持ちようをアドバイス! 今回はパートナーへの上手な伝え方をご紹介します。
パートナーに不満を伝えると相手が不機嫌になるので言いづらい
「夫との家事分担について不満がありますが、争いたくないので妥協しています。そうすると夫がどんどん好き勝手して、私に家事の負担がくるんです! もやもやするので伝えると、すぐ不機嫌になるので困っています」(31歳・コールセンター業務)同意見がたくさん!
やってほしい家事を具体的に言うと相手も対応できるかも
(大野さん)
「程度によりますが、もはやモラハラではないでしょうか?機嫌が悪くなる=お前が家事をしろ、ということですよね……。とはいえ、うまく話し合いで解決したいのなら、やってほしいことを具体的に伝えるといいかも。もうちょっと手伝ってよ!だと何をしていいかわからない人もいます。“週末はお皿を洗ってほしい” “週に1回掃除機をかけてほしい”のように、いつ何をしてほしいか伝えたほうが相手も対応しやすいです」
ここで我慢し続けたらあなただけがずっとつらいまま
(描き子さん)
「すみませんが、これはもう争うしかないですよ。だって家事を全部負担したくはないんですよね。家事を我慢して続けるか、夫の不機嫌に耐えてでも分担するか、どちらかです。夫不機嫌になるんじゃねえよ!って話なんですが、ほうっておくともっとエスカレートする気がします。夫婦は二人で生きていかなければならないので、ここは腹をくくっていくしかない!争わないことを優先すると、つらくなるのはあなただけです」
相手の気持ちをおもんぱかっているのに向こうは気づかってくれない
「一緒に住んでいる彼が休日に予定を好き勝手に入れてしまう……。思うところはあるけれど、文句を言われると嫌な気分になるかなと思い何も言
えない。何も伝えてないから彼は“これで大丈夫だ”と理解しているのだと思う。でも、本当は私のことも考えてほしいと少しもやっとしている」(35歳・フリーランス)など。
パートナーとの問題は早めの話し合いですり合わせる!
(大野さん)
「これはお願いですむうちに伝えたほうがいいですね。予定を決めるときに相談してほしいとか、次の週末はどこにも行きたくないとか。イエスと言ってくれるとは限りませんが、すり合わせていくことが大事。話し合えないようなら、そもそも長続きする相手ではないですし、今の状態からさらに進んで怒りが乗ってくると、争いに発展しやすくなります。少しもやっとする、のうちに解決しましょう!」
私は自分の意見を言えない」と伝えてみよう
(描き子さん)
「伝えてないことって、絶対伝わらないんですよね。察してほしがるのはよくないと思います。不満を言うのが苦手なら、せめて“私は自分の意見を言えないタイプです”と彼に伝えましょう。そうでないと、彼はあなたに何が起きているかまったくわかりません。“私はなかなか自分の意見を主張できないから、たまにこれでいいかな?って確認してくれない?”とお願いすれば、きっとやってくれるはず」
好きな人ほど嫌われたくなくて思ったことを言えない
「仕事であれば意見を言えるけど、プライベートで好きな人には反対意見を言いづらいんです。考え方の違いで嫌われて疎遠になってしまうかもと不安になって、相手に合わせてしまいます」(34歳・メーカー)という声も。
好きな人だからこそ早期解決。プラスに働く可能性も高い
(大野さん)
「言う前にあきらめないで!相手にすべて合わせてでも仲よくいたい気持ちはわかりますが、自分ばかり我慢していると遅かれ早かれ破綻します。意見が違う部分は、早期発見早期解決がいちばん。反対意見を言うことは“自分に従え”と争うことではありません。すり合わせて、お互いが折り合いをつけられる地点を探すために言うんです。話し合うことでどちらかの考え方が変わったり、成長したり、プラスに働く可能性も高いんですよ」
パートナーだけは争いがあって当然。衝突を恐れないで
(描き子さん)
「ほかのお悩みにも共通することですが、ともに生きていきたいパートナーとだけは“争いがあって当然”と考えてほしいです。安心できる場をつくるには、数回の争いくらいは必要なもの。それによって傷つけたり傷ついたりすることも、避けられない。むしろ“なんであのとき言ってくれなかったの?”となるほうが話がこじれるので、つらい意見の相違があるなら、早めに言っておくほうが楽だと思います。パートナーに対してだけは衝突を恐れないで」
カウンセラー
大野萌子さん
日本メンタルアップ支援機構代表理事。人間関係改善コミュニケーション、ストレスマネジメントなどが得意分野。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える働く人のための言いかえ図鑑』(サンマーク出版 1540円)など。
イラストレーター。エッセイスト。『推しにも石油王にも出会えない私たちの幸福論』(ディスカヴァー・トゥエンティワン 1650円)など、エッセイ本も出版。生きづらさ解消に関する情報を主にTwitter(@kaqico)で発信している。
撮影/花盛友里 イラスト/いいあい 取材・原文/東 美希 ※BAILA2021年12月号掲載