リモートワークの普及や働き方の多様性がうたわれる今、メジャーになりつつある「副業」。今回は、大手IT企業で働く傍ら、フリーのデザイナーとして活動する山澤美貴子さんにインタビュー。フルリノベーション案件を担当するなど、自分の「好き」を最大限に活かせているよう。
“本業があるおかげで収入の心配なし。大好きなことを心置きなく楽しめています”
山澤美貴子さん
【本業】大手IT企業・ウェブディレクター
【副業】内装デザイン・施工
千葉県出身。大手報道機関を退職し、小さい頃からの夢だったインテリアデザインを勉強。IT企業で働きながら、休日を使い内装デザインやリノベーションなどを行う。
本業8:副業2
山澤さんの副業の日スケジュール
5:00 起床、ジムへ
6:30 シャワー後、帰宅
7:00 副業の資料作りなど
9:00 始業
13:00 昼食
18:00 終業、家事
19:30 夕食
21:00 副業の打ち合わせ
22:30 就寝
「頭を使う作業は、集中力がある朝に。コロナ以降はずっとリモートワークで、自由に時間を調整できて助かっています」
副業を始めた瞬間にストレスで疲れていた心がぐんと軽く!
幼い頃から部屋の内装をアレンジするのが好きだったという山澤さんが、デザイン学校入学の夢をかなえたのは27歳のとき。きっかけは、記者時代に経験した東日本大震災だった。
「就活時に、いつかデザイン学校へ進学すると決めて、まずはもうひとつの記者になる夢をかなえるために報道機関に入りました。配属先の福島支局で働いていたときに東日本大震災が発生し、後悔のない人生を送りたい!と退職を決意。デザイン専門学校に入学し、インテリアデザインの勉強を始めました」
卒業後はデザイン事務所への就職を検討していたが、当時の恋人の持病が悪化。生活を安定させるために、福利厚生が充実したIT企業に就職する。
「まもなくして、専門学校で仲のよかったクラスメイト(以下、Tちゃん)から、仕事を手伝ってほしいという連絡が。喜んで引き受け、デザイナーとして初仕事となった、パーティ会場のデコレーションを行いました。完成した瞬間、慣れない仕事やパートナーの介護で疲れていた心が、驚くくらい軽くなったんです! それを機にTちゃんとタッグを組み、副業としてデザインの仕事を受けるようになりました。すると直後に、ヨガスタジオを営む幼なじみからリフォームの依頼が。コンセプトの考案から施工までを一人で担当し、自信につながりました」
本業に支障をきたさないこと、そして無理をしないことをルールに、今も自分らしく、マイペースにインテリアデザインの副業を楽しんでいる。
「予定どおりに進まず、スケジュールがタイトになってしまうこともしばしば。週末にみっちり働いて疲れたときは、岩盤浴に行くなどして、体をいたわっています。インテリアデザインの仕事の大変さを肌で感じ、副業として携わっている今の環境がベストだな、と感じました。手を抜けない性格上、本業としていくつも案件を抱えたら、体を壊してしまっていた気がするんです。本業があるおかげで収入の不安もなく、心置きなく楽しめますし。ちなみにデザインの仕事のお給料はお小遣い程度ですが、楽しんでプラスになるなんてラッキー!という感覚。デザインの下調べとしての旅の予算や、副業に使うツールの経費にあてています」
インテリアデザインの仕事をするようになって視野が広がり、生活が豊かになっただけでなく、本業でもスキルアップ。いいことずくめだとか!
「行く先々で内装をチェックしては、インスピレーションを受けてワクワクするなど、ささやかな楽しみが増えました。クライアントに提出する資料作りのスキルが本業にも生かされ、仕事の効率も上昇。いい効果しかありません。今後も技術を磨きながら、いつか、古い民宿のリノベーションを手がけるのが目標です!」
[山澤さんのHistory]
26歳 2012年 新卒で入社した大手報道機関を退職
27歳 2013年 デザインの専門学校に入学。インテリアデザインを学ぶ
29歳 2015年 副業スタート 大手IT企業に転職・フリーのデザイナーに
30歳 2016年 一人でヨガスタジオのデザインから施工を担当
37歳 2022年 オフィスのフルリノベーションを担当中
デザインから施工まで手がけたヨガスタジオは「ナチュラル」がテーマ
山澤さんにとって副業とは…
楽しみながらスキルもお財布にもプラスになる、最高の趣味!
撮影/nae. 取材・原文/中西彩乃 ※BAILA2022年12月号掲載