リモートワークの普及や働き方の多様性がうたわれる今、メジャーになりつつある「副業」。フルタイムで働く本職がありながら、好きなこと・やりたいことも副業で仕事にしている方々にインタビュー。アパレル会社でプレスとして働く島村優子さんは、好きが高じてポールダンスの講師に! そこで得たスキルが本業でも活かされているよう。
“好きなことが、誰かの役に立つ。「自分のため」の枠を超えて趣味をもっと好きになりました”
島村優子さん
【本業】株式会社アダストリア プレス兼Eコマース
【副業】ポールダンスパフォーマー・講師
SNSを使った商品PRを主に、商品貸し出し作業、カタログやウェブコンテンツの企画&撮影立ち会いなどを行う。ポールダンスの副業は、30歳で始めた趣味から発展。
本業7:副業3
島村さんの副業の日スケジュール
8:00 起床、朝食
9:30 出社
10:00 始業
19:00 終業
20:00 スタジオに到着
21:00 レッスン開始
23:00 スタジオを閉めて夕食
24:00 帰宅
1:00 就寝
「平日に受け持つレッスンは木曜の夜のみ。本業のインスタライブなどが重なった場合は、レッスンをリスケしています」
趣味を極めた結果、人生の選択肢が増えて安心感につながりました
「アパートバイローリーズ」「イーアールエム」のプレスを担当する島村さん。以前登場していただいた連載「私と仕事と生理」のインタビューで意外な副業が判明!
「30歳を迎えた頃、猛烈に趣味が欲しくなったんです。ヨガやピラティス、日舞、ベリーダンスなど、片っ端から挑戦してみたものの、どれもハマらず悩んでいたとき、ふと頭に浮かんだのが転勤時代に大阪で見たポールダンスのショー。当時住んでいた三軒茶屋にスタジオを発見し、すぐにレッスンを予約しました。思ったよりも難しくなくて、続ければできるかも!とテンションが上がった結果、どハマり(笑)。2年後には、先生に誘われて、イベントなどで踊りを披露するようになりました」
パフォーマーになってからも、上達への欲望はとどまることなく、インストラクターコースを受講するにいたる。
「実は、講師になればスタジオを利用できる時間が増える!という下心で受けました(笑)。半年間のコースを終えて、気乗りしないまま、実際にレッスンを担当。もっと自分を好きになるためにポールダンスを始めたという生徒さんたちの表情が、踊るうちにみるみると明るくなっていく姿を見て、同じ気持ちだった自分を思い出したんです。好きで続けてきたことが誰かの役に立つこともあるんだ、と知って、講師の仕事にやりがいが芽生えました」
本職のライブ配信などの業務を夜に行うことが多いため、平日のレッスンは1コマのみ。週末を含めて毎週3〜4コマを受け持つほか、パフォーマーとして、年に数回のイベント出演を行う。
「しんどい日もありますが、教え始めると元気になるから不思議です。しかも数年前から、講師として得たスキルが本業で大活躍! インスタライブなどで商品の魅力を伝える際に、説明がうまくなったことがひとつ。二つ目は、ポールダンスで自分の見え方を研究した成果で、商品の見せ方も上達。ECの撮影などで、商品をより引き立たせるためのポージングやスタイリングを考案できるようになりました。本業で私を知った方が、レッスンを受けにきてくれることもあるんですよ」
ポールダンスを「行きすぎた趣味」と表現するも、コロナ禍で副業があることのありがたみを感じたという。
「パフォーマーや講師としての収入はわずかですし、生活の糧になる本業があるからこそできること。でも、コロナ禍の今後どうなるかわからない状況でも、どこか楽観的にいられる自分がいたんです。本業も副業も、大好きなことに楽しく取り組み、満たされているおかげ! あらためて、ポールダンスとの出会いに感謝しています」
[島村さんのHistory]
22歳 2001年 新卒でアダストリアに就職。販売員として全国を回る
28歳 2008年 転勤先の大阪でポールダンスと出会う
30歳 2010年 東京本社でプレス担当に。ポールダンスを習い始める
37歳 2016年 インストラクターコースを受講
38歳 2017年 副業スタート ポールダンスのインストラクターに
体のラインもきれいになり服の見せ方も上達。プレスの仕事に生きてます
島村さんにとって副業とは…
何か足りない。何かあるはず。そんな、心のすき間を埋めてくれるもの
ポールダンススタジオ Grace a
東京都世田谷区三軒茶屋2の14の12三元ビル403
www.poledance.jp
Instagram @gracea_official
撮影/千葉タイチ 取材・原文/中西彩乃 ※BAILA2022年12月号掲載