実は気になっているお金の疑問や不安をバイラ読者にリサーチ。特に多く寄せられた質問から具体的なお悩みまで、リアルな声をお金のプロであるFPのお二人に聞きました。今回は、医療費控除、ふるさと納税、副業に関する疑問にアンサー!
ファイナンシャル プランナー
松嶋真子さん
大手英会話学校の運営を経て、結婚を機にファイナンシャルプランナーに転職。FPバンク(https://fpbank.co.jp/)で年間100世帯前後の相談を受けている。
ファイナンシャル プランナー
風呂内亜矢さん
CFP®認定者。『つみたてNISAの教科書』(ナツメ社)など、これまで手がけた著書は20冊以上! YouTubeチャンネル「FUROUCHI vlog」も更新中。
Q.美容医療とか歯列矯正とか、どこまで医療費控除の対象になるの?
A.「治療かどうか」がポイントに
「国税庁のHPにある『タックスアンサー』や税理士さんの話によると、『治療目的かどうか』が判断の線引きになっているようです。たとえば、歯の治療のために保険適用外の材料(セラミックなど)を使った場合は医療費控除の対象ですが、審美目的の歯列矯正は対象になりません。全国に支部を持つ日本税理士会連合会が実施している無料相談や、住んでいるエリアの税務署など、専門の窓口で確認しましょう」(風呂内さん)
医療費控除の対象となるもの、ならないもの
医療費控除の対象となるもの
□ 医師に支払った診療費、治療費
□ 治療のためのレーシック手術や角膜矯正療法
□ かぜ薬の購入費用
□ 虫歯の治療費
□ 入院時にかかる食事代やクリーニング代
□ 妊娠中の定期健診費用、出産費用
□ 通院のための公共交通機関の交通費
医療費控除の対象とならないもの
□ ホクロを取るなどの美容整形費用
□ 通常のメガネ・コンタクトレンズの購入費用
□ 人間ドックの費用(重大な疾病が見つかり、治療を受ける場合を除く)
□ 審美目的の歯列矯正
□ 疲労回復などのために購入したビタミン剤や漢方薬
□ 出産のため実家へ帰省する際の交通費
□ 自家用車での通院にかかるガソリン代や駐車場代
出典/国税庁 所得税目次一覧 医療費控除
Q.流行りのふるさと納税をやっているけど、いまいち基本の仕組みを理解できていません。あらためてよくある失敗例を教えて!
A.「ワンストップ特例制度」の申請を忘れずに!
「応援したい地域を選んで寄付(納税)する『ふるさと納税』。総務省によると2020年度の寄付額は6725億円、10人に1人が活用していたそうです。寄付から自己負担額2000円を差し引いた額が所得税および住民税から全額控除されますが、寄付の上限額は収入によって異なります。失敗例で多いのが「ワンストップ特例制度」の申請もれ。申請書類を送るだけで控除が受けられる仕組みですが、忘れると確定申告が必要です。決済したクレジットカードがパートナー名義だった……というケースもあるので要注意。一方で、控除額は居住地の自治体から還付されるので、その分居住地の税収が減るという側面も。たとえば川崎市では2019年度の税収が63億円の減少に。制度を批判するつもりはまったくありませんが、こうした事実があることも知っておいてもらえたら」(松嶋さん)
ふるさと納税の仕組み
制度の目的は、納税金で応援したい地域が発展すること。「ワンストップ特例制度」の上限は5つの自治体まで。それ以上は確定申告が必要
Q.副業で1円でも稼いだら確定申告が必要って本当ですか?
A.所得20万円以下なら不要です
「副業をしている人は、所得が年間20万円を超えた場合に確定申告が必要になります。ここでいう『所得』とは、ハンドメイドの作品のように自分が付加価値を与えたものの売買で得たお金を指します。たとえばフリマアプリなどで不要になった生活用品を売っても、『生活用動産』の売却として課税対象にはならず、確定申告も不要です。ただし、1品の価格が高額の場合は所得と認定されることも」(風呂内さん)
イラスト/田中麻里子 取材・原文/国分美由紀 ※BAILA2022年9月号掲載