今はお金を貯めながら自分で増やす時代。手軽にネットで少額からできる投資が増加中。大人気FPの高山先生が超ビギナーに向けて、初めての投資をわかりやすく解説! 「つみたてNISA」にトライした編集Mの失敗談も参考に。
投資してる働く女性、増えてます!
久保田舞さん(34歳・会社員)
「自粛期間中にスタート。少額でも始めてよかった」
「昨年の株価の値下がりに後押しされて始めました。たまに運用状況を確認したときに利益が出ていると嬉しいです。思い切って一歩踏み出してよかったです」
小濱香南さん(30歳・会社員)
「世界の優良企業を調べて視野が広がりました」
「気軽に取り組める投資として、つみたてNISAと1株から株を購入できるシステムの株式投資を選択。商品やサービスを応援している企業の株を保有しています」
佐々木加菜さん(30歳・会社員)
「20~30年後に向けて老後資金をコツコツ積み立て」
「銀行預金だとそこまで増えませんが、同じ金額を投資に回しただけでお金が増えているのをより実感します。張りついて相場を見なくてよいので続けやすいです」
諸田景子さん(31歳・会社員)
「しばらく使わないお金をボーナス感覚で投資してます」
「非課税期間が5年のNISAを選び、しばらく使わないお金を将来生活を潤わせる資金として投資しています。直接会って助言をもらえる銀行を利用しています」
編集Mが投資に関する素朴な疑問をask!
ファイナンシャルプランナー
高山一恵さん
Money&You取締役。女性と女性FPのマッチングメディア「FP Cafe®」運営。女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えるため講演や執筆など幅広く活躍。近著に『はじめてのNISA&iDeCo』(頼藤太希氏との共著・成美堂出版)。
Q.そもそもなぜ預金じゃダメなの?
A.銀行預金はあまり増えず、実質的に目減りするかも!?
「今は低金利の時代です。現在の普通預金の金利はわずか0.001%。銀行預金ではお金はほぼ増えません。加えて物価がジワジワと上昇中。消費者物価指数という物価の変動を表す指数が2015年を100とすると2021年6月の東京の指数は101.9。これは2015年に1万円で買えていたモノが、今年は1万190円出さないと買えないことを意味します。低金利と物価上昇により、銀行預金ではお金の価値が相対的に減ってしまうのです」
Q.でも、やっぱり怖いイメージが…
A.長期・積立・分散で、リスクを減らせる!
「投資をしようと思ったとき心配なのは値動きでお金を失う可能性でしょう。その値動きとつきあっていく方法が『長期・積立・分散』で投資をすることです。『長期』とは長い時間をかけて投資を行うこと。短期で相場を見るとグラフのリーマンやコロナショックのように一時的な大変動がありますが、長期で見れば変動幅がならされ、増えたお金が新たなお金を生み出す複利効果も得られます。『積立』とは一定額を続けて投資すること。価格が高いときに少なく、安いときに多く買いつけられます。『分散』で値動きの異なる対象に投資することでリスクを軽減できます」
Q.今すぐ預金全額を投資しても大丈夫ですか?
A.生活費は投資NG!少額でも続けることに意味があります
「日々の生活費まで投資してしまうと、お金が減ったときに生活が立ちゆかなくなります。投資はお金が増えることがある一方、減ることもあり、元本保証はありません。最低でも6カ月分の生活費を銀行預金などで確保してから始めましょう。今は月100円から投資できる金融機関もあります。少額でも経験を積むことで投資の感覚を磨くことができます」
Q.初めての投資、おすすめは?
A.初心者におすすめはつみたてNISA!
「今、国は私たちが安定的に資産を形成できる制度を次々に創設しています。その代表格が、『NISA』『つみたてNISA』『iDeCo』。通常、投資の利益には約20%の税金がかかりますが、どの制度も非課税! 特に初心者のバイラ世代にはつみたてNISAがおすすめです。『長期・積立・分散』投資ができて、商品は金融庁の基準を満たした投資信託のみ。一度始めれば自動的にコツコツ積み立てられ、忙しい人でもOK。ライフステージの過渡期にある30代にとって、いつでも資産を引き出せるのもメリット。改正により制度が5年延長され2042年までになる予定なのもいいですね」
ということで…編集MがつみたてNISAにトライ…!?
編集Mのマネースキル修業の道は続く…
先生!つみたてNISAの気になるところ、全部教えてください!
編集M(以下M) まさかつみたてNISAができていなかったなんて……(涙)。NISA口座を作ったからといって自動的につみたてNISAの買付設定になるわけじゃないんですね。
高山先生(以下高) そうなんです。初心者の人によくある間違い。つみたてNISAの枠を使わずに、収益が課税される一般の投資信託を買いつけている状態になっています。
M 心新たに、つみたてNISAを始めます! 買付前までの道のりはOKでしたか?
高 問題なかったですよ。金融機関に商品数や投資情報が豊富なネット証券を選んで、口座開設はオンラインからでしたね。つみたてNISAは金融機関によって商品が異なります。店舗型の銀行や証券会社は商品をしぼり込んでいるのが特徴。多すぎると商品が選べない人や窓口で手厚くサポートを受けたい人にはいいですね。
M 商品の買付設定後は、そのままほうっておいて大丈夫ですか? もしも大暴落したら?
高 定額をコツコツ積み立てる投資なので特に何もせず、半年に1回程度、取引状況を確認すればOK。もしもコロナショックのような大暴落が起きても、価格が低いときは買いつけできる口数が増えるので「たくさん買えているな」と思うくらいで継続して投資し続けることが大切です。
M 配当金や株主優待はもらえるんですか?
高 つみたてNISAの商品は投資信託のみです。特定の株式を選んで購入しているわけではないので配当金や株主優待は受け取れません。ちなみに、投資信託には分配金という投資家に還元される利益がありますが、つみたてNISAの場合は効率的にお金を増やすため、自動的に分配金が再投資される仕組みになっています。
M 確定申告は必要ですか?
高 つみたてNISAは、運用収益に税金がかからない非課税制度なので必要ありません。
M 投資を始めて、国際ニュースや株式相場を身近に感じるようになり視野が広がりました。
高 おっしゃるとおり、続けていくことでお金が増えるだけでなく、ニュースと自分が投資している商品との関わりを考えたり、経済に敏感な視点が培われたりすると思います。仕事にも大いに役立つ人生のスキルが磨かれますので、これからも頑張ってくださいね!
監修/高山一恵 イラスト/小林潤奈 取材・原文/佐久間知子 構成/松井友里〈BAILA〉 ※BAILA2021年9月号掲載