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尾上松也さんが『十二月大歌舞伎』に出演中!!【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い♯22】

「落ちるの一秒、ハマると一生」と言われる歌舞伎沼。その深淵をのぞき、沼への入り方を指南するこの連載。今月ご紹介するのは、花形歌舞伎俳優のリーダー的存在、尾上松也(おのえまつや)さん。現在、歌舞伎座で『十二月大歌舞伎』に出演中で、第一部の舞踊『弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり )』で四変化にチャレンジしています。先月行われた合同取材会では、久しぶりの舞台への思い、そして演目の見どころについて教えていただきました!!

尾上松也の十二月大歌舞伎の記者会見

■『三社祭』は、ずっとモモ上げ運動している感じです(笑)

ばったり小僧 部長、今月の歌舞伎座、もうご覧になりましたか?

まんぼう部長 まだなのよ。12月は年末進行で忙しくて、全然余裕がなくて。でも、20日を過ぎれば一段落するから、そのあたりで観ようと思っているわ。

小僧 私もです。先月、松也さんの取材会で、お話を聞いて、ぜひ観たいと思いました。超ハードな踊り『弥生の花浅草祭』にチャレンジしているんですよね。

部長 そうそう。『弥生の花浅草祭』は、三社祭で賑わう浅草で、山車に飾られた人形に魂が宿って踊り出すという舞踊。『神功皇后と武内宿禰』、『三社祭』、『通人・野暮大尽』、『石橋』という趣きの異なる4つのパートからなっていて、俳優二人がペアで4つの役柄を次々と早替りで踊り分けるという難しい演目。今月、松也さんは片岡愛之助(あいのすけ)さんと二人で演じているのよね。

尾上松也の十二月大歌舞伎の舞台写真

↑2020年12月歌舞伎座『弥生の花浅草祭』。最初は神功皇后で登場。愛之助さんが勤める老臣の武内宿禰と戦物語や恋の話などを語り合う。松也さんの久しぶりの女形!! 美しい。

小僧 おおっ、愛之助さん!! そうすると『半沢直樹』の国税庁の黒崎さんと、スパイラルの瀬名社長の共演ということですね!? これは、ますます楽しみになってきました。でも、4役もやるなんてたいへん!!

部長 取材会では、「最初の『神功皇后と武内宿禰』は静の状態から始まって、『三社祭』で一気にボルテージを上げて、『通人・野暮大尽』では、歌舞伎らしいほんわかとした空気感を味わっていただいて、最後に『石橋』では、獅子となって荒々しく、華やかに決める」と松也さんも意気込みを語っていたけれど、踊り分けがやっぱり楽しみよね。

小僧 中でも注目は、『三社祭』ですかね。

部長 そうね。二人の漁師に善玉と悪玉が取りついて踊るという内容で、『三社祭』だけでも上演されることがある有名な舞踊。そしてこの踊りがめちゃくちゃきつそうなの。アップテンポで動きが激しいというだけでなくて、重心を低~く保ったままの踊りで、「舞踊の中でも一番たいへん」と松也さんも言ってたわ。

尾上松也の十二月大歌舞伎の記者会見

↑通人を演じるにあたって、「周りの人からもよく、父(六世尾上松助)が『助六』で勤めた通人の話を聞きます」と松也さん。「父の持っていた空気感は、なかなか出せるものではないと思いますが、DNAを受け継いでいることを信じて、どこかに一片でもそれを表現できたらいいなと思っています」。

小僧 はい。「エクササイズで例えると、モモあげをずーっと20分くらいしているような感じ」「空気イスにすっと座っている感じ」って(笑)。しかも後半はお面をつけて踊るのがたいへんだと。

部長 そうなのよ。二人がそれぞれ「善」「悪」のお面をつけるんだけど、「お面を口でくわえた状態で踊るから、鼻呼吸しかできない」って。私たちもマクスしてると、少し動いただけで呼吸が苦しくなるのに、お面つけて踊るなんて、本当にすごいこと。

小僧 さらに『三社祭』の次の『通人・野暮大尽』もラクじゃないと言ってましたね。「通人も地味にきびきびと動く」って(笑)。

部長 地味にきびきび。じわるわ(笑)。「『三社祭』で息があがったところで、通人らしい空気感をいかに出せるか。そこが一番のポイントだと思う」とのことなので、舞台ではそこに注目して観なくっちゃ。

尾上松也の十二月大歌舞伎の弥生の花浅草祭

↑2020年12月歌舞伎座『弥生の花浅草祭』。『三社祭』で、漁師浜成を勤める松也さん。このポーズひとつとっても脚腰の負担が半端ないのがわかる!! これは辛そう~。 さらにこのあと、善玉のお面をつけての試練の踊りが待ち受けている。客席から「頑張って!!」と心の中でエールを送ろう!!

■コロナ自粛明け、久しぶりの撮影現場で泣きそうになりました

小僧 松也さんは、2011年に自主公演で『三社祭』をやったことがあると言ってましたね。でもその理由が、自分は踊りが弱点だと思っていたから、あえてたいへんな演目を選んだって。

部長 「自分はストイックとは真逆の人間だから、できればやりたくなかったけれど、無理にでもやって、自分を追い込んで糧にしたいと思った」と言ってたわね。でも、それって結局、すごくストイックということだど思うんだけど(笑)。

小僧 本当ですよ。でも、その自主公演のときに、ひとつ後悔したことがあって、 それが『三社祭』のあとに、『源氏店』(げんやだな)をやったことだと。「切られ与三郎は全身白塗りで、傷も全身に描かないといけない。それをまったく考えてなくて、『三社祭』で汗だくになっているところに、その準備をしなくちゃいけないからたいへんだった。演目の順番を逆にすればよかった」って。想像すると、もうおかしくて。

尾上松也の弥生の花浅草祭の通人

↑2020年12月歌舞伎座『弥生の花浅草祭』。松也さんが勤める通人と、愛之助さんが勤める野暮な国侍のほろ酔いでのやりとりが楽しい場面。クスっと笑える演技は松也さんの本領発揮!?

部長 ちょっとした話でも松也さんがしゃべるとおもしろいのよね。コロナ自粛中、体を鍛えたりしていたのか聞かれたときも、「近所のジムに通い始めてたんですけれど、担当のトレーナーが独立しまして、すごく遠いところに行ってしまいまして。移転先に来てくれと言われたんですけれど、そこまでストイックになれず、それ以来、ジムも行ってません」って(笑)。

小僧 5月に緊急事態宣言が解除されて、初めてお芝居したときの話も印象的でした。『半沢直樹』の現場で、「撮影初日にビルの大きな窓から空を見上げて、泣きそうになったのを覚えています。芝居ができるってこんなに楽しいんだって」って言うから、思わずしんみりして聞いてたら、でも「3日目には『また朝から撮影か!』って思いました」って(笑)。爆笑でした。

尾上松也の十二月大歌舞伎の記者会見写真

↑コロナ自粛中に、いろいろな新しい発見があったそう。その中のひとつがキャンドル。「ハマりましたね。今でも部屋はキャンドルでいっぱいです。炎をじっとみつめていると心穏やかになります。まさか自分がそんなことにハマるとは思いませんでした」。

部長 松也さん、話し方が、また独特の間合いなのよね。よく響くいい声で、ゆったりした雰囲気なんだけど、どこかすっとぼけてるというか。

小僧 そう、なんか膝カックンをされたような気持ちになります(笑)。

部長 わかるわ~!! あれはさあ……相当モテると思うの。

小僧 はい、絶対モテますね(笑)。

部長 そんな素敵な松也さんが大活躍する12月の歌舞伎座!! 華やかで楽しくて、クリスマスシーズンに観るにはぴったり。デートにもおすすめ!!

小僧 そうですね。私もそれまでに素敵な彼氏をみつけて(笑)、二人で行きたいと思いまーす♪

部長 はいはい、それまでにしっかり仕事を終わらせてね!!

尾上松也の十二月大歌舞伎の石橋の獅子

↑2020年12月歌舞伎座『弥生の花浅草祭』の『石橋』で獅子の精を勤める松也さん。ダイナミックな踊りと毛振りで、最後は締める!! 会場のボルテージも最高潮に。愛之助さんとの呼吸もぴったりでカッコイイ!!

■『十二月大歌舞伎』

会場:歌舞伎座 日程:2020年12月1日(火)~26日(土)

【休演】8日(火)、18日(金)



第一部  午前11時~

戸崎四郎 補綴

『四変化 弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり )』

神功皇后と武内宿禰

三社祭

通人・野暮大尽

石橋

武内宿禰、悪玉、国侍、獅子の精   片岡愛之助

神功皇后、善玉、通人、獅子の精   尾上松也

                                                      

第二部 午後1時30分~

落語「星野屋」より 小佐田定雄 脚本 今井豊茂 演出

『心中月夜星野屋(しんじゅうつきよのほしのや)』



おたか  中村七之助

星野屋照蔵 市川中車

母お熊  市川猿弥

和泉屋藤助 片岡亀蔵



第三部 午後4時~

近松門左衛門 作

『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)』

土佐将監閑居の場


浮世又平  中村勘九郎

女房おとく  市川猿之助

狩野雅楽之助  市川團子

土佐修理之助  中村鶴松

将監北の方  中村梅花

土佐将監光信  片岡市蔵



第四部 午後7時15分~

近松門左衛門 作

『日本振袖始(にほんふりそではじめ)大蛇退治』


岩長姫実は八岐大蛇  坂東玉三郎

稲田姫  中村梅枝

素盞嗚尊  尾上菊之助

尾上松也さんが『十二月大歌舞伎』に出演中!!【まんぼう部長の歌舞伎沼への誘い♯22】_8

◆公演詳細

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/695/

◆公演チケット情報

https://www.kabuki-bito.jp/ticket.html

取材・構成/バイラ歌舞伎部  

まんぼう部長……ある日突然、歌舞伎沼に落ちたバイラ歌舞伎部部長。遅咲きゆえ猛スピードで沸点に達し、熱量高く歌舞伎を語る。 

ばったり小僧……歌舞伎歴2か月。やる気はあるが知識ゼロの新入部員。若いイケメン俳優より、本当はオーバー40歳の熟年役者好き。

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