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大江麻理子さんと一緒に考える!「円安」の背景や経済への影響【働く30代のニュースゼミナール vol.23】

テレビ東京『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の大江麻理子キャスターがセレクトした“働く30代女性が今知っておくべきニュースキーワード”を自身の視点から解説する連載。第23回目は、「円安」について大江さんと一緒に深堀りします。

今月のKeyword【円安】

えんやす▶他国通貨に対する円の相対的な価値が低下すること。たとえば、円相場が1ドル=100円から1ドル=110円になれば、円の価値が下がったことになるので「円安」と呼ばれる。逆に1ドル=90円となれば「円高」と呼ばれる。為替相場は、外国為替市場での取引における円の需給が変化することで生じる。

今月のKeyword【円安】

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2022年1月

円相場が一時1ドル=116円台まで下落し円安水準に 

1月4日、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利の引き上げが意識され、円を売ってドルを買う動きが進み、5年ぶりの円安ドル高水準に
2022年1月

日銀総裁が為替状況を「悪い円安ではない」と述べる  

1月18日、日銀の黒田総裁は金融政策決定会合後の会見で「悪い円安というものは今考えていない」、利上げに向けた議論を「まったくしていない」と述べた
2022年1月

米中央銀行にあたるFRBの議長が利上げを示唆 

1月26日、FRBのパウエル議長が、3月以降速いペースで利上げする見通しを表明。日米の金利差拡大から円安ドル高基調が続くとの見方が広がる

バイラ読者127人にアンケート

Q あなたは「円安」の意味を人に説明できますか?

Q あなたは「円安」の意味を人に説明できますか?

説明できる人は4分の1。約6割は自分の理解が足りないと感じているよう。「円安の範囲や定義がわからない」「円安と円高の違いはわかるけれど、経済への影響などについては説明できない」との声も

Oeʼs eyes

よく聞く言葉ではありますが、いざ説明するとなると「どこからが円安なのか」「いつと比べて」など見方によっても色々で、確かに円安の定義ってひと言でいえない難しさがあるような気がします。そこを読者の方も感じていて「なんとなく」や「自信がない」と答えていらっしゃる人が多いのだと思います

Q 為替のニュース(1ドル=〇〇円など)に関心はありますか?

すごくある 17%

どちらかというとある 39%

あまりない 33%

まったくない 11%
多かったのは「ニュースで流れる為替の円相場は聞く」という声。そのせいもあってか3分の2が今の円安ドル高傾向を認識。約2割の「すごくある」と回答した人のなかには「コロナ禍で投資を始めた」という声も

Oeʼs eyes

きっと普段の生活、たとえばスーパーで食料品の買い物をするときなどはそこまで為替を意識することはないだろうと思います。ただ関心があると答えた方が半数以上いて、現在の円安ドル高傾向を多くの方が知っていたということで、あらためて皆さんがいかにニュースに敏感か感じました

Q 円安が、自分の生活にどのように影響するか具体的にイメージがわきますか?

はい 42%

いいえ 58%

約4割の「イメージがわく」と答えた人のなかで多かったのが「多くの輸入品の物価が上がる」との声。勤め先に円安の影響がある人は約2割。影響がプラスかマイナスかは企業によってそれぞれだった

Oeʼs eyes

具体的なイメージがわく人が半数より少ないのは、やはりある程度まとまった金額の海外製品を買うときや投資をするときに為替を意識する人が多いためだと思います。勤め先の業種によって輸入原料価格高騰のマイナス影響と、海外販売分の為替差益によるプラス影響が出た人がいたのが印象的でした

Q あなたは2022年の日本の景気はよくなると思いますか?

Q あなたは2022年の日本の景気はよくなると思いますか?

今回のアンケートはオミクロン株の感染が急拡大する時期に実施。「悪くなる」と回答した人からは「景気より感染予防のほうが優先だから」「物価上昇とコロナのダブルパンチが心配」などの声が

Oeʼs eyes

欧米の金融政策の変化やウクライナ情勢に代表される地政学的リスクの高まりなど、今年に入ってから気になるニュースが多いですよね。それだけでなくコロナの収束が見えづらいことも経済の不透明な要素となっていて、皆さんそのあたりをよく感じ取っていらっしゃるようですね

「日本とアメリカの 金利差が広まって、 円安ドル高の傾向が 続く見通しに」大江さん

「日本とアメリカの金利差が広まって、円安ドル高の傾向が続く見通しに」

年初に円相場が約5年ぶりの円安水準に。

「円安ドル高が昨年末くらいから進み始めているなかで、『これは悪い円安なのではないか』という議論が起こったことが気になり、今回は円安を取り上げました。円安の背景や日本経済への影響について考えたいと思います」と大江さん。なぜ円安ドル高の傾向が続いているのですか。

「一つ目に、日米の金利差が広がる見通しが挙げられます。今年1月にアメリカの中央銀行にあたるFRBのパウエル議長が、3月以降に速いペースで金利を上げる方針を示しました。アメリカでは、コロナ禍で急激に景気が悪化したため、金利を下げることによって企業や個人がお金を借りやすい状況つくり、市中に出回るお金を増やして、経済活動を活性化させ景気が回復してきました。ただそれに伴って、物価が押し上げられてインフレが起こっているんですね。そこでインフレが加速しすぎないように、利上げに舵を切りました。お鍋がふきこぼれるのを止めるために火を弱めるイメージをしていただくとよいかもしれません。一方、日本はまだまだ世界のなかでも物価の上がり方がゆるやか、経済もそんなに温まっていないという状況で、しばらく利上げをする必要がない。そのため日米の金利差が広がるとの見方がされています」

金利差がどう円安につながるのですか。

「世界中のお金は、金利が高いところに集まるんですね。金利の高い国の通貨を保有していると利子によって増えていくため、人気が集まり、その通貨が高くなっていく傾向があります。今は金利の高いアメリカのドルが高く、相対的に日本の円は安くなっているんですね」

地政学的なリスクも円安に関わりが。

「二つ目にウクライナ情勢への懸念が挙げられます。地政学的なリスクや有事が起こったときは、投資家の間でいったんリスクを回避するために比較的安全な資産にお金が集まる動きが強まります。『有事のドル買い』とよくいわれます。ただ今回アメリカは当事国なので、それが当てはまるかはわかりません。この局面では、金利のほうが為替に大きく影響を与えることになりそうです」

「外需のメリットと内需のデメリット。そのバランスをどう見極めるかが重要」

円安が日本経済に及ぼす影響にはメリットとデメリットの両面があると大江さん。

「たとえば自動車メーカーなど海外に向けて多くのものを売っている外需型の産業にとっては、為替の差益により利益が押し上げられるメリットがあります。一方、国内での販売やサービスをしている内需型の産業では輸入原材料価格の高騰がデメリットになります。日本はエネルギーや食品など様々なものを輸入に頼っているため、消費者にとっては身のまわりの多くのものの値段が高くなることもデメリット。海外で稼ぐメリットと国内の物価高のデメリットのバランスがどうなっているかが為替を見る上でとても重要だと思います」

そもそも、議論されているという『悪い円安』とは何ですか。

「円安のメリットよりデメリットのほうが大きいという意味で『悪い円安』という言葉が使われることがあります。これまで日本では、輸出産業に日本経済の牽引役として頑張ってもらえるよう円安を是としてきた歴史がありました。ところが輸出産業も、輸出先である現地で生産することが多くなるなど、性質が変わってきました。現地の収益を国内に戻さず現地の生産コストや設備投資に回すことも増えたため、円安のメリットは以前より少なくなってきているのかもしれません。一方で、いま上昇局面にあるエネルギーや原材料の輸入価格が円安により一段と高くなると、企業や家計の負担が増すデメリットが目立ってきます。それで『悪い円安なのでは』と議論されるようになりました。しかし、今年1月には日銀の黒田総裁が定例記者会見で、相対的に見て外需が伸びることが日本経済にとっては非常に重要なので『悪い円安ではない』という見解を述べています」

読者からは今後の景気を心配する声も。

「確かに今年は不透明感が強い一年になるかもしれません。オミクロン株の感染拡大で、いつまでコロナ禍が続いていくんだろうと不安になっているところに、ウクライナ情勢をめぐってアメリカとロシアの緊張が高まっています。また、アメリカでコロナからの急激な経済回復により金融政策が引き締められる局面を含めて、不安定で方向性を見極めにくい要素がとても多いんですよね。それを読者の方も感じているのでしょう。国内外のニュースに加え、それによって為替がどう動くかにも注目し、世界の変化を把握していきましょう」

大江麻理子

大江麻理子


おおえ まりこ●テレビ東京報道局ニュースセンターキャスター。2001年入社。アナウンサーとして幅広い番組にて活躍後、’13年にニューヨーク支局に赴任。’14年春から『WBS(ワールドビジネスサテライト)』のメインキャスターを務める。

撮影/木村 敦 取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2022年4・5月合併号掲載

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