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「K字経済」って何?大江麻理子さんが解説!【働く30代のニュースゼミナール vol.16】

テレビ東京『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の大江麻理子キャスターがセレクトした“働く30代女性が今知っておくべきニュースキーワード”を自身の視点から解説する連載。第16回目は、バイラ読者の認知度約2割の「K字経済」について大江さんと一緒に学びます。

今月のKeyword【K字経済】

けーじけいざい▶経済状況が、特にコロナ禍においてアルファベットのKの形のようにはっきりと二極化していること。世界的な金融緩和や財政支出による株高の恩恵を受ける富裕層となかなか恩恵が行き渡らず雇用環境が悪化する中低所得者層、コロナ禍で好調な業種とあおりを受けた業種などの差が鮮明になっている。

大江麻理子キャスター 今月のKeyword【K字経済】

バイラ読者92人にアンケート

「K字経済」という言葉を知っていますか?

はい 23%
いいえ 77%

2割強の認知度だが、「最近出てきた言葉なのに知っている人が多く驚きました」と大江さん。「身のまわりの景気が悪い」「勤め先の業績が悪化している」と回答した人は半数以上。「収入が減少した」と答えた人の業種には飲食・旅行など、「収入が増加した」と答えた人の業種にはIT・電気機器メーカーなどが多かった


あなたの勤め先は社会全体の変化に柔軟に対応できていると思いますか?

はい 49%

いいえ 51%

回答が見事に二分する結果に。「はい」と答えた人から「テレワークの導入が早かった」「本業の需要がコロナ禍で減ったため新規事業を複数立ち上げている」という声がある一方、「いいえ」と答えた人からは「いまだに在宅勤務が進んでない」「組織の動きが鈍い」との声が

「コロナ禍においてより鮮明に経済の二極化が進んでいる」

大江麻理子キャスター「コロナ禍においてより鮮明に経済の二極化が進んでいる」

上下に開くK字の形で経済の二極化を表すK字経済。「コロナ禍で経済の二極化がいろいろな分野でより鮮明に進んでいるなか出てきた言葉です」と大江さん。その要因とは?


「コロナ禍になって、国によっては都市封鎖などを実施して強制的に経済や人の流れを止めることになり、全体的にガクンと景気が落ち込みました。そこで経済を支えるために世界的に金融を緩和し、財政出動をして世の中に流通するお金の量を増やしたのですが、そのお金が行き渡るところと行き渡らないところの差が出たのがK字化した要因のひとつです。また、コロナ禍でサービスやモノが売れる業種と、飲食店などを中心に営業すらままならない業種とで差が生まれたこともあります」

なぜ、経済政策によるお金が公平に行き渡らないのでしょうか。


「やはりお金がダイナミックに動くのは株など金融の世界ですので、株高でもともと資産を多く持ってい富裕層に資産価値が上がった人がいる一方で、中低所得の人はその状態が続いたり、深刻化したりしている側面があります。特に先進国ではもともとの二極化がより進むかたちでコロナの影響が出てきています」

特に日本はどういった状況ですか。


「ワクチン接種が先行したアメリカや中国の経済回復の恩恵を受けるかたちで外需(外国からの需要)が伸び製造業は回復しているのですが、内需(国内の景気)がなかなか回復しておらず、サービス業を含む非製造業が厳しい状況にあります。特に緊急事態宣言が出されている地域では、お酒の提供や営業時間に制限が加わった影響が飲食店やその関係業種に幅広く出ています。コロナが長期化するなかで体力が弱っている企業も多く、心配な状況です。実質無利子・無担保の特別融資などの資金繰り支援はありますが、これ以上長引くと業態転換や閉店を強いられるところも増えてしまいそうです」

「K字の下向き部分だけでなく上向きにも目を向けてほしい」

アンケートでは、多くの読者が日本経済の未来を心配し、上向くために必要だと思うことが寄せられた。


「皆さん鋭い意見ばかりでした。『柔軟な働き方ができるよう働き方改革を進めてほしい』『物価と賃金の上昇』『少子化対策』『男女平等』『若い世代にスポットライトを』など、コロナ禍の対症療法だけでなく、根本的な治療が必要だと感じている声が多かったです。私も重要だと思います」

勤め先が時代の流れや変化に対応できていると感じる人は約半数。


「これまでにない局面に直面したことで企業の対応力が明らかになりました。今後は企業の規模にかかわらず、事態に柔軟に対応できるかどうかが明暗を分けるのではないでしょうか」

読者から「今後の日本の景気回復の道すじをどう見れば」との質問も。


「K字の下向きの大変なところばかりを見てしまうと、日本の将来に対して希望を持ちづらくなってしまうと思います。ただ、落ちる一方ではありません。外的要因ではありますが外需が伸びていて製造業が元気だったり、厳しい状況のなか知恵をしぼって工夫を凝らしK字の上のほうに向かっているたくましい企業もたくさんあったりします。そしてワクチン接種が順調に進めば非製造業、特にサービス業が大きく回復すると期待されています。二極化が進むと格差の拡大にもつながるためできるだけ是正していく必要がありますが、同時に、K字の上向きのほうにも目を向けて、『こういうところに光があるんじゃないか』『可能性があるんじゃないか』という意識を持っていただけるといいなと思います」

大江麻理子

大江麻理子


おおえ まりこ●テレビ東京報道局ニュースセンターキャスター。2001年入社。アナウンサーとして幅広い番組にて活躍後、’13年にニューヨーク支局に赴任。’14年春から『WBS(ワールドビジネスサテライト)』のメインキャスターを務める。

撮影/中田陽子〈MAETTICO〉 取材・原文/佐久間知子 構成/松井友里〈BAILA〉 ※BAILA2021年9月号掲載

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