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大江麻理子キャスターが注目する「グリーンリカバリー」って?【働く30代のニュースゼミナール vol.15】

テレビ東京『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の大江麻理子キャスターがセレクトした“働く30代女性が今知っておくべきニュースキーワード”を自身の視点から解説する連載。第15回目は、バイラ読者の認知度がかなり低い「グリーンリカバリー」について大江さん一緒に学びます。

今月のKeyword【グリーンリカバリー】

ぐりーんりかばりー▶新型コロナウイルスの感染拡大によりダメージを受けた経済を、環境分野に投資をして、従来型の経済活動ではなく環境に優しい次世代型の未来をつくるかたちで回復させようという動きのこと。EUをはじめカナダ、英国など、先進国を中心に環境を意識した景気刺激策への取り組みが広がっている。

大江麻理子キャスター 今月のKeyword【グリーンリカバリー】

バイラ読者94人にアンケート

「グリーンリカバリー」という言葉を知っていますか?

はい 13%
いいえ 87%

認知度はかなり低め。ちなみに「グリーンニューディール」は約2割、「SDGs」は約9割の人が知っていた。ワードを知っていた人からは「環境分野への投資と景気回復のつながりがイメージできない」「環境問題にまじめに取り組むとお金がかかりそう」という声が


この一年で環境に配慮した持続可能な暮らしに関心が増しましたか?
はい 77%

いいえ 23%

約8割の人が関心が増したと回答。現在、環境に配慮した取り組みをしている人はなんと97%!「マイバッグを持つ」「ごみを減らす・分別する」「節電」「不用品をフリマアプリで販売したり、寄付やリサイクルする」という心がけを多くの読者が行っていた

「コロナで落ち込んだ経済をグリーンの力で回復させる!」

大江麻理子キャスター「コロナで落ち込んだ経済をグリーンの力で回復させる!」

政府が力を入れているグリーン社会の実現。大江さんが注目しているのが、先進国を中心に取り組みが進められているグリーンリカバリー。


「意味合いが似ている言葉にグリーンニューディールがありますが、こちらは今までにも米政権などで謳われていて環境に優しい技術革新で経済を発展させる考え方です。一方、今回取り上げたグリーンリカバリーは“リカバリー”がポイント。『コロナで落ち込んだ経済を回復していくときに、環境分野に投資をして、これまでの状況に戻るのではなく環境に優しい次世代型の未来をつくる回復にしましょう』という考え方です。

過去のCO₂排出量を見てみると、2008年のリーマン・ショックによる景気後退で一回下がったあと、経済回復に伴いグンと伸びています。2020年にコロナ禍で大幅にまた下がった今、経済回復による再上昇を避けたい背景があると思います」

読者からは「環境対応が経済回復とどうつながるのですか」との声が。「これまでは経済活動=環境よりも利益や便利さを優先するものだったわけですが、ここ数年でSDGsやESG投資(環境・社会・企業統治を重視する投資)が浸透し、持続可能でないサービスや製品が受け入れられなくなってきています。そうしたなかで経済とグリーンは相反するものではなく、連動できるようになってきているんですね」


EUをはじめ各国が再生可能エネルギーなど環境分野への投資を実施。「日本もこれから環境技術への投資を経済の回復や成長に資するかたちにしていかなくてはなりません。アンケートに『日本の再エネ導入をもっと早く進めてほしい』という声がありましたね。これからは、『どのように発電した電力を使って作ったものなのか』も重視され、ビジネスに影響を与えそうですので、日本でも再エネなど『非化石』での発電に投資し、促進していくことが不可欠です」

「消費者、また作り手としてバイラ世代から積極的に発信を」

大量生産・大量消費社会から脱するために経済はどう変わるのですか。

「これまでと同じ産業構造ではなく、環境分野にニーズが移り変わり、モノやサービスの付加価値のつくり方が変わっていくのではないでしょうか。より環境に優しいかたちで便利をつくり出すイノベーションが大きなビジネスになっていくんだと思います」

この一年で環境に配慮して何かを始めたり、やめたりした読者が多数。

「バイラ読者の皆さんは本当に意識が高いです。環境に配慮された電力を選択するようになった人もいましたね。家にいる時間が長くなり、自分の生活と丁寧に向き合われたのだと思います。私もお風呂上がりに炭酸水を飲むのが好きなのですが、最近ペットボトルのごみを減らすために炭酸水メーカーを購入しました」

一方、「環境に配慮した生活のなか矛盾を感じたことがある」との声も。「確かに、今は時代の変革期でまだまだモノがあふれていますし、『自分が頑張っても意味がない』と感じることがあると思います。たぶん過渡期ってそういう思いをするものなんだと思うんですよね。環境意識の高い人が増えてくるなかでそれぞれが『自分の価値観に合うか』を基準に意志ある消費行動をしていけば、環境に優しいモノが歓迎されて持続可能な社会につながっていくと思います。

また、そのような一人ひとりの行動が周囲に影響を与えます。働いている皆さんは、消費者であるとともにサービスを提供する、商品を作り売る側でもあるわけですので、積極的に会社の中でも発信をしていただけるといいなと思います」

大江麻理子

大江麻理子


おおえ まりこ●テレビ東京報道局ニュースセンターキャスター。2001年入社。アナウンサーとして幅広い番組にて活躍後、’13年にニューヨーク支局に赴任。’14年春から『WBS(ワールドビジネスサテライト)』のメインキャスターを務める。

撮影/中田陽子〈MAETTICO〉 取材・原文/佐久間知子 構成/松井友里〈BAILA〉 ※BAILA2021年8月号掲載

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