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アクティビスト紗栄子さんは牧場を経営! 芸能活動をセーブし多岐にわたって活動中【仕事の景色が変わった日】

芸能活動はもちろん、牧場の経営、社会支援活動をする一般社団法人「Think The DAY」の代表など、多岐にわたって活動している紗栄子さん。そんな彼女に、人生のターニングポイントを聞いてみました。

自分のためではなく誰かのために生きている

自分のためではなく誰かのために生きている

那須塩原駅から車で約30分。田んぼが広がるのどかな田舎道を抜けると、突如、息をのむほど広大な牧場が広がっていた。360度見渡す限りの緑、緑、緑。そこは、紗栄子さんが経営を担う「NASU FARM VILLAGE」だ。芸能活動はもちろん、牧場の経営、社会支援活動をする一般社団法人「Think The DAY」の代表など、彼女の活動は多岐にわたる。現在の肩書を尋ねると、逡巡しながらも「アクティビスト」との答えが返ってきた。「今は経営者としても2年生だし、“女優”はやってない(笑)。“モデル”もセーブしているからどの肩書もしっくりこないなと思っていて。以前、ある人に『紗栄子はアクティビストだね』と言われたんですが、当時はなんだか恥ずかしかったんです。でも昨日の夜ふと、今の自分にとってはその肩書がしっくりくることに気づいたんです」

キャリアを振り返ると、自らの意志でたくましく道を切り開いてきたイメージが。ところが意外にも、「大きな目標を立てたことはない」と言う。

「私は21歳でお母さんになったから、そのときから自分のためだけに生きていないんです。本当に自分のやりたいことを貫き通していたら、きっと女優を続けていたはず。でも、子どもたちとの時間を大切にしながらできる仕事はなんだろうと考えたときに、雑誌のモデルの仕事に出会いました。結果的に、そこは本当に自分にとって心地よかったし、すごく向いている場所だった。それ以降も、自分ができることを探したり、必要とされる場所を求めて流れるように生きてきた気がします」

2019年に設立した一般社団法人「Think The DAY」も、運命の流れの中で「今だ」と意識する瞬間が。「2019年に千葉で関東最大級の台風被害が起きたときに、初めてSNSを使って物資の支援を呼びかけたんです。ありがたいことに2日間で4tトラック15台分が集まりました。社会支援活動は12年前からライフワークとして続けてきましたが、どうしても個人だとスムーズに物資の受け入れをしてもらえないことが多くて。そのときも法人ではなかったので、受け入れ先とのやり取りの中でつまずいてしまったんです。困っている方の架け橋になるためにプラットフォーム化するべきだと思い、翌月には法人化しました。たくさんの方たちが私と同じ気持ちを抱いて、力を貸してくださった。その思いの大きさにも驚きましたしね」

そのことを、紗栄子さんは「影響力を正しく使う道」と表現。芸能人としての知名度の高さは、かつて紗栄子さん自身を苦しめてきたことでもある。

「表立って支援活動をすることは、やっぱり怖かったです。言わずにやるほうが美徳とされる社会でもありましたし。もちろん活動はひけらかすことではないけれど、恥ずかしいことではない。何かをしたいけど、どうしたらいいかわからないみんなが、確かにあの日にいましたから。求心力を持たせてもらっているからこそ、困っている人に当たり前に手を差し伸べる社会の空気をつくりたいし、単発で終わらせないシステム作りが必要だと思いました」

2020年から携わっている「NASU FARM VILLAGE」も、お客さんとして訪れた際、経営が危ぶまれていることを知ったことがすべての始まり。馬の命や働いているスタッフの雇用を守りたいという思いだけで栃木に引っ越したが、牧場経営のスキルは皆無だった。「どのポジションの人とも共通言語で話をしたかったから、すべての場所に実務として入りました。それは今も変わりません。牧草管理部は上が74歳、いちばん下でも60代のおじいちゃんたち。その方たちと芝の種の金額を確認したり、何ヘクタール植えるかといったミーティングもします。飲食部のみんなみたいに美味しいラテはいれられないけれど、何をしているか知りたいから教えてもらったり。芸能の仕事をセーブしながら、ファームの仕事にものすごく向き合った2年間でした」

会社のみんなが大好きだし誇りに思っています

会社のみんなが大好きだし誇りに思っています

社員やファンを「みんな」と呼ぶ。紗栄子さんの目線は、常に対等だ。

「もちろん何かあったら責任を取るし、セーフティネットを張る立場でいなきゃと思うけど、実際は助けてもらうことが多すぎて。みんなに対して感謝とリスペクトを持って接しています。支援活動でもそうですけど、誰かのためにしたことで、逆に自分がいただくことのほうが多いんです。『ありがとう』の言葉だったり、笑顔をもらうことが私のエネルギーになるし、生かされてもいる。自分のためだけに頑張ることは限界があるから、一緒に生きていきたい人や守りたい人の数が増えると、より自分自身が強くなれる気がします。うちの会社では、困っている人がいたら部署間を超えて当たり前のように手伝ってくれる。そんなみんなが大好きだし、誇りを持っています」

取材で訪れた日は平日。にもかかわらず、カップルや家族連れ、地元のおじいちゃんおばあちゃんたちで、ファームはとてもにぎわっていた。「異世界に来たようなこの場所の特別感は、お客さまに体感していただいているのと同時に、私たちも毎日感じていること。ここにいるだけで『本当に幸せ。ありがとー!』って思うし、芝生が青いだけでもハッピー。幸せの感度を低くしているから、キャッチアップできる要素も多いんです。自分のご機嫌を取るのは得意だと思います」

そう言って、はじけるような笑顔を向ける紗栄子さんに、「毎日、楽しいですか?」と聞くと、意外な答えが。

「楽しい、楽しくないで分けると色々あるんです。明日も、市役所でプレゼンをしなければいけないですしね。すごくプレッシャーもあるけれど、それが私の仕事。『仕事だからやる』、そんな感じかな。大変なことや苦手なこともあるけど、克服したときに、きっと達成感があると思うから」

仕事終わりにはスタッフとお菓子パーティを開いたり、一緒に銭湯に行くことも。この日も営業終了後に「みんなとバーベキューをするんです」と教えてくれた。その表情はとっても穏やかで、大きな大きな包容力に満ちていた。

Tシャツ¥17600・ニット¥28600・スカート¥40700/ガニー ピアス¥134200・ネックレス(三日月)¥88000・ネックレス¥137500/マリハ15 

NASU FARM VILLAGE
東京ドーム11個分の広大な敷地を有し、ホーストレッキングや馬とのふれあい体験が楽しめる観光牧場。
栃木県大田原市狭原1298の1
☎0287(54)0009 
営9時~17時
㊡水曜、第2・4木曜

紗栄子さん

アクティビスト

紗栄子さん


さえこ●1986年11月16日生まれ、宮崎県出身。2019年に一般社団法人「ThinkTheDAY」を設立。2020年8月に「NASUFARMVILLAGE」の運営に参画。2児の母。YouTubeチャンネル「SaeChannel」が好評配信中。今後はライフスタイル商材を扱うECサイト「Think.」を年内ローンチ予定。売上の一部は確実に支援活動に充てる仕組みに。

撮影/彦坂栄治〈まきうらオフィス〉 ヘア&メイク/美舟〈SIGNO〉 スタイリスト/安西こずえ 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2022年9月号掲載

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