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【大久保佳代子さんインタビュー】30代も40代も女の人生は大変

結婚、家族、仕事、女友達…。様々な環境や人間関係の中で揺れ動く心。大久保佳代子さんが妙齢女子の「あるある」が詰まったエッセイ『まるごとバナナが、食べきれない』を発表。大久保さんの40代がギュッと詰まったエッセイの見どころとは?

友達の幸せはいつだってねたましい。所詮、人間なんてそんなもん

大久保佳代子

「友達の結婚式に行って、初めて会う旦那さんが冴えない感じだと嬉しくなるし。友達から恋愛がうまくいかないという話を聞くとホッとする……。友達のことは好きだし幸せになってほしいハズなのに、“私を置いていかないで”という思いからついつい不幸を願ってしまったりして。所詮、人間ってそんなもんだと思うんですよ(笑)」

妙齢女子ならば誰しもが「わかる、わかる」とうなずいてしまうエピソードが満載。他人になかなか言えないネガティブな思いや心の中のモヤモヤを赤裸々に綴り、“大久保節”で笑いに昇華してくれるのが、エッセイ集『まるごとバナナが、食べきれない』だ。

「42歳から50歳までの約8年間、雑誌に連載していたエッセイを一冊の本に。今作には私の40代がギュギュッと詰まっているんですけど。読み返すと、希望とあきらめの間を行ったり来たり。タイムリミットを感じ始めてはいるものの、選択肢や可能性はまだ残されている。だからこそ、心がものすごく揺れ動いたりして。でも、それはバイラ世代の30代もきっと同じだよね。それどころか、30代はまだまだエネルギーがあり余っているから。見なくてもいいことまで見ちゃうし、ねたまなくていい人のことまでねたんでしまう。自分を責めたり悩む体力もあるから、どこまでも引きずってしまったりしてね」

30代も40代も悩みは尽きない。「自分が主人公である限り、人生はずっと大変」と大久保さんは言葉を続ける。

「今の若い人たちって“老後が不安だ”とかよく言うけど。老後がリアルに迫っている私なんてもっと不安。でも、よくも悪くも年齢を重ねるとエネルギーが失われていくから。不確かな未来を先読みして悩む時間をもったいないと感じるようになるんだよね。で、さらには記憶力の劣化により不安を感じてもすぐに忘れちゃうっていう(笑)」

悩んだり不安になるのはエネルギーが満ちあふれている証拠。「大丈夫、それもいずれ枯れていくから」と笑う。「もうね、手首も痛いし、老眼で視界もボンヤリしてくるし、少し動いただけで疲れちゃうから。エネルギーを失う分、小さなことが気にならなくなるというか、いい意味で開き直ることができるというか。それを世間は“おばさん”と呼ぶのかもしれないけど。今日も、散歩しながら“う◯ち出たのぉ、偉いねぇ‼”と、周りのことなんて一切気にせず、愛犬のパコ美と大声で会話している自分がいたりして(笑)」

どんなに「年を取るのが怖い」と言ったところで誰もが平等に老いていく。そんな現実を受け止めながら、悩んだり、愚痴ったり、ぼやいたり。自分のダメな部分をさらけ出し「人間はそんなもんだ」と笑い飛ばす。大久保さんのエッセイは読む人の肩の力をゆるめてくれる。「モヤッた夜はこの本をパッと開いてもらって。ひざが痛いよねとか、親も年取ったよねとか、いいかげんに結婚したいよねとか。傷をなめ合いながら一緒にお酒を飲んでいるような気持ちになってもらえたら、嬉しいですね(笑)」

『まるごとバナナが、食べきれない』 大久保佳代子著 集英社 1540円

『まるごとバナナが、食べきれない』
大久保佳代子著 集英社 1540円

家族と囲んだ食卓、酒の勢いで攻めた恋、仕事の達成感を肴に飲む一杯……“食”をテーマにしたエッセイ。様々な思い出や“老い”と向き合い揺れ動く女心が“大久保節”全開でユーモラスに描かれている。

大久保佳代子

大久保佳代子


おおくぼ かよこ●1971年5月12日生まれ、愛知県出身。千葉大学文学部卒業。幼なじみの光浦靖子と「オアシズ」を結成。「めちゃ×2イケてるッ!」でのブレイク後、数多くのバラエティ番組などで活躍中。

撮影/彦坂栄治〈まきうらオフィス〉 スタイリスト/野田奈菜子 取材・原文/石井美輪 ※BAILA2022年12月号掲載

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