「でも、主食を抜けば簡単にやせられる?」いえいえ、減ったとしても一時的。だって、ご飯やパンの糖質、おいしいですよね。ダイエット成功の秘訣は、ただ制限するだけではなく、「持続できる」がマストなんです!ご飯やパンの糖質をあきらめたくない、そんなバイラ世代のためのダイエットメソッドをご紹介。
ダイエットアドバイザー 岸村康代さん
管理栄養士、一般社団法人「大人のダイエット研究所」代表理事。がまんや無理をしない、という画期的な考え方・指導で多くの人を適正体型に導いている。
「バイラ世代は20代前半のころと比べて人間関係が広がり、食事や飲み会も増えがち。かつ、無意識のうちに若いころより運動量が減っているので、太りやすくなっているといえるでしょう。だからといって、糖質オフや単品食べ、1食抜きなど、気持ちにも体にも負担が大きいダイエット法は続きません。食べ方のコツを押さえるだけで、自然とやせられますよ!」(岸村さん)
『最強のやせ方』
岸村康代さん自身の失敗、挫折から得た結論を、栄養学と組み合わせて解説。「食欲スイッチOFF」と「リセットごはん」を中心に、誰でも継続できるダイエットを提唱。東洋経済新報社 1300円
<糖質オフダイエット>あなたはできた?読者からリバウンドのお悩みが続々!
■糖質オフダイエットをやったことある?
約6割の読者が経験アリ! 米やパンなどの主食を抜く、という方法が一般的。「2年ほど前からお弁当にお米は入れない」(30歳)というつわものも!
■糖質オフダイエットの効果はあった?
「5㎏やせてキープできている」(27歳)という人がいる一方、もとの食事に戻した途端リバウンド、というケースが多い様子。一時的な効果は実感するものの、その後が……。
■糖質オフダイエットは持続できてる?
女子会や会食が多いバイラ世代のライフスタイルでは、ここが問題!「糖質オフダイエットって簡単そうで交友関係を保とうとすると難しい!」(30歳)という声が。
2.伝説のダイエットアドバイザーの続けられるダイエットって?
伝説のダイエットアドバイザーと呼ばれる岸村康代さん。彼女がダイエットのトライ&エラーを繰り返してたどりついたのは、自分本来の姿に戻る方法。「ダイエットしている」という意識もなく、生活と体質が変わる──これこそが「持続可能」なダイエット! 岸村さんのダイエット哲学を伺いました。
\2000人をヤセさせた/岸本さんに聞いた【持続可能ダイエット】の極意
ダイエットを続かなくさせている考え方とは?
①食べる量を減らせばやせられるでしょ(Aさん)
→ダイエットで大事なのは量より質!
食べないダイエットは、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの大事な栄養素がとれず、代謝の悪い痩せにくい体に。また食べる量が少ないと便のかたさが少なく、便秘になってまた代謝が落ちます。量を減らすことよりも、バランスよく適量を食べることが大事!
②ダイエットはやっぱり低カロリー重視よね(Bさん)
→低カロリー食品だけではかえってやせない!
野菜やこんにゃく、栄養補助食など低カロリーのものばかり食べていると、筋肉がやせて代謝が落ち、かえってやせにくく。また、満足感も得にくく、食欲のコントロールがきかなくなりがち。カロリーだけに目を向けず、タンパク質や食物繊維をしっかりとれる食事を!
③ケーキ?ラーメン?それは禁断フードだよね(Cさん)
→ストレスはリバウンドに直結します
本当に好きなものを「絶対にダメ」とすると、ストレスがたまっていつかドカ食い……。夜でなく昼に食べる、野菜を先に食べてから、など食べ方を工夫すれば、ラーメンやケーキだって食べてOK。そして、習慣化させずに「ご褒美」の位置づけにすればいいのです。
④我慢!食べないガッツでやせる(Dさん)
→ガッツは不要!工夫をすればいい
我慢が大きく心に無理を強いるほど、反動も大きいもの。健康的に1カ月に1㎏ペースでやせるには、1食にしてたった80キロカロリー減らせばいいだけ。ご飯なら3口分、揚げものなら1口分です。大きな我慢ではなく、小さな工夫の積み重ねで確実にやせられるんです。
⑤苦しくたって運動マストですよね?(Eさん)
→運動は食事で結果が出てからに!
太っていて体を動かすのがおっくうなときに、無理に運動をしても、くじけてしまい自信喪失……となりがち。嫌いなことから始めるのはハードルが高すぎます。食事の工夫で少しでも結果を出すと、体が軽くなって自然と動かしたくなるもの。運動はそこからで充分です。
3.【メソッド1】食欲をスイッチオフして無理なく痩せるには?おすすめ習慣5
「食べたい」という気持ちに火をつけるのが「食欲スイッチ」。これをオンにしない食べ方を習慣化して、適量でちゃんと満足できる体質に!
空腹感は主に「血糖値」が決めている
体が食べ物の消化吸収を始めると、血糖値が上昇。するとインスリンというホルモンが血糖値を下げようと働き、脳は「おなかすいた」と感じる仕組み。血糖値の上昇と下降が急激なほど空腹を強く感じるので、血糖値を急変動させないことが重要。
スイッチオフ1:その食欲は本物?おなかがすいたらまず水を飲んで、ニセモノの食欲か本物の食欲かを判断!
「おなかすいた~」と感じたとき、実はそれは本物の空腹ではなく、脳がそう感じているだけかも! 体にエネルギーや栄養が不足しているわけではなく、糖質や脂質を我慢することによる、反動の場合も。その食欲が本物かニセモノか、見極めるには水をコップ1 杯飲むのがおすすめ。それで収まるなら、その空腹感はニセモノ!
スイッチオフ2:OKな糖、NGな糖の2種類を覚えておく!
ひとくちに「糖質」といっても、太りやすい糖質とそうでない糖質が。太りやすい糖質は、ジュースやお菓子など甘みづけに使われる「果糖ぶどう糖液糖」。太りにくい糖質は米や根菜など、食物繊維やビタミンも含む食材の糖質。一律に糖質を制限するのではなく、前者を避け、後者を適量摂取にすれば、過剰に糖質を恐れなくて大丈夫!
スイッチオフ3:本当に食べたいものは我慢せず食べる!(食べたいものはランチで)
とんカツや唐揚げ、生クリームのスイーツetc.ダイエットの大敵だけど食べたい! そんなときはランチや昼間の時間帯に。昼間ならこれから体を動かして消費できるうえ、「昼なら食べていい」という気持ちの余裕があれば、我慢するつらさは減るもの。絶対禁止にして、反動で寝る前や夜中にドカ食い……という悲劇が起こりにくい!
スイッチオフ4:野菜や海藻類をひと口目に食べることを意識!
血糖値を急上昇・急降下させないためには、ひと口目がカギ。ひと口目にパンやお菓子など糖質たっぷりのものを食べると、血糖値が急上昇し、すぐ急降下するため太りやすく。それを防ぐには、最初に野菜や海藻類など食物繊維の豊富なものを食べること。野菜がない状況や野菜が苦手な人は、野菜ジュースで代用もOK!
スイッチオフ5:間食は午後4時に
朝・昼と頑張って食事制限しても、夜にドカ食い……なんてことにならないためには、夕方の間食をうまく利用すべし。おなかがすきすぎた状態で夕飯を迎えなくてすむように、おやつを午後4時ごろ食べるのがおすすめ。その際は糖質の高いパンやスイーツではなく、甘栗やプチトマト、ナッツ、無糖ヨーグルトなどに。
4.【メソッド2】食べすぎた翌日は“リセットごはん”で代謝のいい体に
食べすぎた翌日は夜まで食べない、なんて方法はむしろ太るモト。代謝のいい体づくりのため、3食、野菜とタンパク質をしっかりとるべし! 2000人をヤセさせたダイエットアドバイザー岸村康代さんに、食べすぎをなかったことにできる、翌日の“リセットごはん”を教えてもらいました。
働く女子に多い、【朝は家、昼夜は外食】の食べ過ぎた翌日のリセットごはん
<食べ過ぎた翌日の朝食>
野菜サラダ、納豆や卵、フルーツなど食材を豊富に用意。食物繊維、タンパク質、ビタミンをバランスよくとれる。おかずが多ければ、ご飯やパンなどの糖質なしでも満足。
<昼食・外食>
パンや麺類など単品に偏りがちなランチ。ハムやレタスなどが入った食事系のパン、野菜など具がたくさんのった麺類を選んで。タンパク質豊富な豆乳を最初に飲めばなお◎
<夕食・外食>
外食もメニューの選び方次第。野菜メインのメニュー2つ、タンパク質のメニュー1つを目安に選んで。シメのご飯や麺は糖質が高いので食べないほうがベター。
Point1 一日3食手のひらいっぱいの野菜
野菜には、ダイエットに欠かせない食物繊維やビタミン&ミネラルがたっぷり。1食あたり手のひらいっぱい(加熱野菜なら片手いっぱい、生野菜なら両手いっぱい)の量を目安に、朝昼夜すべての食事で、野菜をたっぷりとるようにして。
Point2 食物繊維をとる
食物繊維には、血糖値の上昇をゆるやかにする、余分な脂質やコレステロールを吸着する、腸内環境を整えて便通をよくするなどの働きが。また、満腹感を感じさせやすくするうれしい作用も。リセットごはんの基本は食物繊維、と考えて。
Point3 リセットはその場か翌日
食べたものが脂肪になる前に、リセットは当日か翌日がベスト。当日の場合は、糖質や脂質をとる前に、野菜や海藻類など食物繊維やビタミンB1、亜鉛などを含む食品を食べておくこと。翌日なら、一日3食しっかり野菜をとる食事を心がけて。
Point4 食べすぎた翌日こそしっかり食べる
食べすぎを調整するには、食べないことではなく逆にきちんと食べること。野菜類や海藻類、卵や大豆製品などのタンパク質を中心に、3食きちんと食べて代謝を助けることが重要。胃腸が重くて食欲がなければ、これらの入ったスープ類でもOK。
5.<糖質OFFが苦手な人へ>ダイエット中の炭水化物はこう食べるが勝ち!
ダイエットの大敵・炭水化物も、全部断たずに食べ合わせや食べ方次第では楽しんでOK!賢く食べて太らない、食べ方の法則を伝授します!
炭水化物のかしこい食べ方って?
精製された白米は、それ単体で食べると血糖値が急上昇。毎食食べるのではなく、昼だけにしたり夜は週3までと決めるなど、まずは回数制限を。さらに、食べ合わせを工夫して、糖質の吸収を抑えると◎。
食べ方のコツ
A お昼に食べる
まだまだ活動量が多い昼に食べれば、午後~寝るまでの時間にしっかり消化できる。ただし、おにぎりなど「白米単品」で食べず、おかずも組み合わせるようにして。
B 食前に野菜、豆乳
食物繊維やタンパク質を先に食べておくと、それらが糖質の吸収をガード。その効果を得るには、白米を食べる5 分ほど前に、野菜や豆乳をとっておくのがおすすめ。
C おかずの味を薄めに
白米が大好きな人は、味の濃いおかずを好む傾向に。濃い味を薄めるために白米が進んでしまうので、自分で料理する際にはおかずの味を薄くすることを心がけてみて。
ふわふわの焼きたてパンの魅力はあらがい難いものだけれど、精製された小麦粉は血糖値を急激に上げてしまう食べ物。クリームやチョコレートなど、糖分もたっぷりの菓子パン系はさらに危険!
食べ方のコツ
A 食前に豆乳とヨーグルト
タンパク質の多い豆乳やヨーグルトをパンの前に食べれば、糖質の吸収が抑えられるうえ、代謝UPにもひと役。その際、豆乳やヨーグルトは、無糖タイプを選ぶのが正解。
B フランスパンなどかみごたえのあるもの
やわらかいパンは、どんどん入ってしまい知らないうちにたくさん食べてしまいがち。かみごたえのあるパンなら咀嚼に時間がかかり、その間に満腹感も得られて食べすぎ防止に。
ランチや女子会で多いイタリアン。特にパスタやピザは、単体でオーダーしがちなぶん、糖質が多くなってしまうメニュー。パスタは、量が調整できるようなら少し減らすなどしてみるのも有効。
食べ方のコツ
トマトソースを選ぶ
カレー同様、パスタやピザもトッピングをして具だくさんでいただくのがおすすめ。ソースは、トマトや玉ねぎなど野菜をたっぷり使ったトマトソースを選びたい。
ご飯やナンなど主食と一緒に食べるカレーは、糖質の量が多くなりがちなメニュー。また、市販のカレールウは多量の糖質・脂質を含むので要注意。できればご飯の量を減らすなどしたい
食べ方のコツ
たくさんトッピング
ほうれん草、きのこ、卵など、食物繊維やタンパク質もきちんととれるように、トッピングは豪華に! カレー単品で食べず、サラダやスープとセットにできればさらにgood。
6.ダイエット中でも我慢しない!大好きなお肉を食べるときのひと工夫♡
タンパク質が豊富な肉は、ダイエットの味方になることもあります。ただ、糖質や脂質が多いメニューは、中毒性を緩和する食材を組み合わせることが必要。賢く食べて太らない、食べ方の法則を伝授します!
お肉を食べる前に、食物繊維をたっぷりと
とんカツやハンバーグなど、糖質や脂質が多いものがやめられない人は、中毒の可能性も。糖質、脂質の中毒性を緩和する食材を組み合わせて食べることで、食欲をコントロールできるように。
食べ方のコツ
玄米を食べる
揚げ物やハンバーグなど高脂質の食べ物の中毒性をリセットするのが、玄米に多く含まれる「γ-オリザノール」という成分。玄米だけで食べにくい場合は、白米に混ぜても。
つけあわせのキャベツは、ぜひ活用を。先にキャベツを食べれは、満腹感が得られて食べすぎの防止に。食物繊維やビタミンCが豊富なので、メインの前にたっぷり食べて。
タンパク質が豊富な肉は、実はダイエットの味方になるメニュー。ただし、動物性脂肪が多いので、食べすぎには要注意。サンチュやサラダなど野菜を一緒に食べるのはいいけれど、ライスはNG。
大根サラダやナムルを食べる
焼き肉の脂質をリセットするのに効果的なのが、大根サラダ。食物繊維が余分な脂質を吸着するうえ、食前にたっぷり食べておくと自然と肉の食べすぎを防止。ナムルもおすすめ。
7.ダイエット中、スイーツやお酒を"食べすぎ・飲みすぎ"ないためには?
ダイエット中もついつい手が伸びてしまい、制限することが難しいスイーツやお酒。完全に断つのではなく、食べすぎ・飲みすぎないことが重要です。ひと工夫して嗜好品とのうまい付き合い方を身につけて。
ダイエット中、嗜好品との上手な付き合い方って?
気持ちも小腹も満たしてくれるスイーツやおやつは、糖質が高いものが多い。また、空腹時に食べると一気に血糖値が上がって太りやすく。できるだけ糖質の少ないものを選び、飲み物にもひと工夫を。
食べ方のコツ
A かぼちゃやさつまいもに置き換える
根菜類は、糖質も含まれるけれど食物繊維も豊富な「食べてOK」な糖質。甘いものを欲して口寂しくなったら、ケーキやクッキーの代わりにふかしたかぼちゃやさつまいもなどに。
B 炭酸水をたっぷり飲む
炭酸水に含まれる二酸化炭素が胃を膨らませ、満腹感が得られるので、スイーツを食べる前にたっぷり飲んでおくと◎。炭酸水がなければ、豆乳や野菜ジュースでもOK。
お酒には食欲増進作用があり、食べる量がつい増えがち。高脂質・高カロリーのものが多いつまみにも注意が必要。アルコールを代謝する際に活性酸素が発生するので、飲みすぎは老けの原因に。
A トマトジュースを飲む
トマトにはアルコール代謝を高め、二日酔いを予防するほか、脂肪燃焼を助ける働きも。飲む前にトマトを食べるか、より手軽なトマトジュースで、お酒のデメリットをリセット。
B 水分をとる
お酒には脱水作用があり、飲むほどにのどが渇いて、さらにお酒が進んでしまうという面も。水を一緒に飲むとおなかもふくれ、脱水予防にもなるので、飲みすぎ予防に効果的。
イラスト/沼田光太郎 取材・文/遊佐信子