免疫力を高めるパワーフードとして、人気急上昇中の「お漬物」。 実は、お漬物には美肌、自律神経を整える、整腸作用など、今の私たちに必要な長所がたくさん。自炊が増えたり、体のケアに時間がかけやすくなった今こそお漬物に注目してみませんか?
今回、教えてくれたのは……
井澤由美子さん
手軽に作れて、美味しくて、内側からキレイになれるレシピが人気の料理家。世界中の発酵食・保存食作りをライフワークとし体に良い手作りの奥深さを伝えている。「レモン塩」や「乳酸キャベツ」の火付け役。著書『体がよろこぶお漬物』(誠文堂新光社)は常備しておきたい名書。
免疫力アップのカギを握るのは「乳酸菌」
お漬物と免疫力の関係を語るときに欠かせないのが、お漬物に含まれる「乳酸菌」の存在。乳酸菌は腸内環境を整える善玉菌の一種で、腸内は常にこの善玉菌と悪玉菌が戦っている状態。乳酸菌を積極的に摂取して善玉菌を加勢することで、悪玉菌が減り、腸内環境が整って免疫力もアップします。ウイルスや細菌と戦う免疫細胞の60%以上が集まっていると言われる腸を乳酸菌でケアすることは、食生活の乱れや仕事のストレス、ウイルスなど様々な脅威に晒されている今の私たちにはとても重要なこと。
「ちなみに乳酸菌には動物性乳酸菌と植物性乳酸菌がありますが、お漬物に含まれているような植物性乳酸菌は、動物性乳酸菌に比べると酸に強いのが特徴です。胃酸や胆汁酸に強いので、その為、生きて腸に届く可能性が高いと言われています。手作りすると、『本物の漬物』ができ、生きた乳酸菌を摂取することができます。」(井澤先生)
お漬物は「乳酸菌×野菜」の最強タッグ!
免疫力アップに欠かせない乳酸菌を、さらに効率良く、おいしく摂取できるのが「お漬物」。
「実は、ほとんどの野菜にもともと乳酸菌が付着しているんです。野菜を塩やぬか床に浸けることによって、浸透圧で野菜の細胞からブドウ糖や果糖が流れ出すと、それを栄養に乳酸菌が増え続けていきます。また、野菜に含まれる食物繊維やビタミンも摂取できるので、まさに良いとこどりのパワーフードです。」(井澤先生)
「それから、ちょっと余談ですが、ぬか漬けがその家庭によって味が違うなんて話がありますよね。それは、かき混ぜる人の手に付いた乳酸菌・常在菌が合わさってぬか床に移動し、味が変わるからと言う説です。もちろん野菜の菌による影響もあると思いますが、例えばぬか床を作り続けているおばあちゃんの手で作られたお漬物は、美味しい気がします。」(井澤先生)
お漬物づくりを通じて、きれいのもとである乳酸菌を育てていく、という考え方も面白いですよね。
日常にお漬物を取り入れるだけで、美肌効果が狙える!?
「漬物の植物性乳酸菌が生み出すアミノ酸の一種GABAには、自律神経を穏やかにさせる効果があると言われています。脳をリラックスさせ、ストレスなどを緩和し、眠りを誘う働きがあることが分かってきています。ですからぜひ、夕飯にもお漬物を添えてください。良質な睡眠は、免疫力アップや美肌向上を促します、きっと皆さんの肌もキレイになっていくと思いますよ。」(井澤先生)
お漬物と免疫力アップのおいしい関係をおさらい
すぐにでも実践したくなる、お漬物のポイントを総ざらい!
✓免疫力アップに欠かせない、乳酸菌を効率よく摂取できる
✓野菜に含まれる元々の栄養素と食物繊維をたっぷり摂取できる
✓アミノ酸の一種であるGABAで自立神経が穏やかになる
✓発酵食は胃腸を整える効果が高く、消化を促進する
✓野菜の保存性を高める
良いこと尽くしのお漬物。一番のメリットはヘルシーかつ毎日の食卓で気軽に食べられること。今日からでも、ぜひ取り入れてみてくださいね。
次回は、数あるお漬物の種類別に、効果効能を詳しくご紹介。ちゃんと理解してから摂取することで、自分に合った最高のサプリメントになるはず。お見逃しなく!
取材・文/高橋夏果 監修/井澤由美子