プライベートやキャリアにあらゆる選択肢が増え、悩みも迷いも多くなるバイラ世代。自分らしく、心地よく過ごすためにはどうすれば? あらゆる経験を積んだ同志のような3人が、人生を広げるきっかけについて本音でトーク。
自分らしさを作るために服とメイク以外で大切なこと
“自分の価値や奥行は、自ら経験したことからできていく”――河北裕介
貪欲に生きることが自分の人生を広げるきっかけに
百々 “もっと知りたい”と思う人って、私的にどこか人間味がある人なんですよ。河北さんもヨンアもそうだけど、色々挑戦したり経験したり、ときには傷ついたりしているけど、そこに屈することなく、貪欲に這い上がるというか……。それが人生のネタになっているし、人間的魅力につながっていると思う。
ヨンア 貪欲(笑)。でも、人間だもん。欲は深くていいと思う。
河北 俺らは欲深いよ〜。でも、それがあるから頑張れるんだよね。あれ欲しいとか、こうなりたいとか。欲望があるからこそ、目標になるし、そのために努力をする訳だし。
ヨンア 私も子どもに色んな経験をさせたいし、一緒に経験もしていきたい。そのためにお金や体力が必要だから、毎日頑張って仕事しているし、体力作りもしているよ。
百々 “いい子ちゃん”に収まる必要はないんだよね。欲しいものは欲しい、と欲望に素直に従っていいの。それが原動力になるわけだから。
ヨンア 私も日本に来たばかりのとき、“日本の雑誌で表紙になりたい”“コンビニの雑誌のラックに毎月私の顔が置かれるようになりたい”というのを目標にして頑張っていたな。
河北 ヨンアなんて、今でこそ華やかな世界の中心にいるように見えるけど、単身で異国に来て、そこから這い上がってきたわけでしょ。努力も並々ならないものがあるわけよ。
ヨンア 過去に戻れって言われても、絶対に戻りたくない(笑)。毎日帰りたいって泣いてたし、いつもつらかった。だけど、その経験があるから今につながっていると思うと、それはそれで大事な経験!
百々 そうなんだよね。今って失敗したくない人が多いじゃない? 傷つきたくないし、安定して過ごしたいと思うと、トライすることを躊躇する。もちろん自ら茨の道を選択する必要はないけれど、リスクヘッジして行動する前に自分の人生に制限かけちゃうのはもったいないなと思う。
河北 今は、経験しなくても、SNSとかで何でも答えが出る時代だからね。だけど、正解はひとつではないし、自分なりの回答に行き着くまでの過程が大事なんだよね。俺らなんて失敗だらけだけど、その経験をただの失敗で終わらせず、じゃあどうしようか?と切り替えることで、知識やスキルに変えてきたわけで。その経験があればあるほど、その人の可能性を広げる糧になるからね。
百々 そうなの。興味があることは、小さなことでもチャレンジする。そうすれば人生マンネリしないから!
ヨンア 私はせっかちだし、飽き性だからこそ、色んなことに手を出している。おかげでマンネリを感じない、というか感じる暇がないのかも。
百々 そうなんだよね。人生にマンネリを感じている場合、“好き”ではなく、“無難”を選択しているからなんじゃないかな。もちろんそれで満足しているならそれも個性でいいと思う。でも不満があったり、迷いがあるのなら、今一度、自分は何が好きで、何に興味があるのかを自問して、自分の人生を貪欲に生きてほしい!
ヘア&メイクアップアーティスト
河北裕介
ヘア&メイクアップアーティスト。鋭い観察眼でその人の美しさを瞬時に見抜き、ミニマムメイクで最大限のよさを引き出す。
スタイリスト
百々千晴
スタイリスト。シンプルながらも、その人のバックボーンと魅力がすっとのぞくようなエッジィなスタイリングを得意とする。
ヨンア
ヨンア●1985年10月29日生まれ、韓国・ソウル出身。2004年よりモデルとして日本での活動をスタート。バイラでは2012年〜2020年までの約8年半、カバーを始めとする数々のテーマでモデルとして活躍。一児の母。
撮影/岡本 俊 ヘア&メイク/河北裕介 スタイリスト/百々千晴 モデル/ヨンア 取材・原文/谷口絵美 ※BAILA2024年4月号掲載