空気が乾燥し、気温が低くなるほど増えてくる肌悩み。その原因や対策を専門家である美容皮膚科医・髙瀬聡子先生に伺いながら、おすすめのコスメを提案するこの企画。2回目は乾燥が進んで皮膚が粉吹き、あかぎれし、ささくれたりする“冬の肌荒れ”がテーマ。潤った肌を取り戻して冬をのり切ろう!
東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学付属病院で皮膚科勤務を経て、2007年、美容皮膚科クリニック『ウォブクリニック中目黒』を開院。メスを使わずに女性の美しさを引き出す、安全かつ効果的なアンチエイジング治療を提供。その丁寧で的確なカウンセリングに定評があり、美容のプロやモデル、女優の顧客も多い。本誌をはじめ女性誌や美容専門誌などのほか、テレビなどでも活躍。著書に『いちばんわかるスキンケアの教科書 健康な肌のための新常識』 (講談社)など多数。最新著書『お肌は最強の「バリア」です!ーー美容皮膚科医が伝える、〈病気〉と〈老化〉を防ぐ肌を育てる方法』(晶文社)を上梓したばかり。
冬の深刻な肌荒れ。発生原因はなに?
冬になると、口角周りの乾燥が激しくて、悪化すると粉が吹いたように皮がめくれてしまうという人も多いはず。
さらには頬があかぎれのようにピリピリと刺激を感じたり、指周りのささくれがなかなか治らない…と、肌荒れにまつわる悩みは尽きません。
「口角周りも、頬も、指先も日常生活でよく動かす部分。その分、乾燥しやすく炎症を起こすことも多い。また、頬や口角などは、ターンオーバーが乱れて、古い角質が溜まってしまったり、クレンジングや洗顔で摩擦を与えたりすることで、皮めくれてしまうなども考えられます」と髙瀬先生。
対策としては、「“こまめな保湿”に尽きます!」と断言。
「肌めくれを感じたら、いつも以上に丁寧に優しくお手入れをするように心がけましょう。そして、潤いが蒸発しないようなオイルやバームといったテクスチャーを選ぶことも大切です。あまりに炎症が進んで、切れて痛いということがあれば、皮膚科に相談することをおすすめします」
【髙瀬先生が回答】よく動く&刺激の多い口角。「粉吹き」の対策は?
Alexander Sobol/shutterstock
気づくと粉吹き状態の口角周り。なぜ、特にこの部分が皮めくれしやすいのでしょう。
「マスク生活以降、口角下あたりが粉吹きしている人が増えました。口をよく動かすことや、食べものや飲みものなどが付きやすく、口紅を塗るなどで刺激の多い部位であることから、炎症が起きやすく乾燥しやすいのが原因です」とた髙瀬先生。
「保湿をしても、また飲食をしたり口紅などの化粧品を塗布すればその保湿剤は取れてしまうことも事実。なるべく粉吹き部分を潤いで密閉させるためにも、“保湿バーム”の使用をおすすめします。
また、リップバームなどを日中も携帯して、乾く前にこまめに塗ることを意識してみてください」
「口角の粉吹き」はバームでしっかり保湿対策を
口元だけでなく、顔・手・髪などの乾燥や荒れ対策に大活躍
植物性ロウ配合&ミツロウフリーのヴィーガン処方で作られたマルチバーム。バームの油膜が肌上に潤いの膜を形成し、長時間水分蒸発を防いでくれる。生後1日の赤ちゃんから使用できるので、敏感肌さんに特におすすめ。カレンドラ ベビーマルチバーム 25g ¥2420/ヴェレダ・ジャパン
唇に“擬似バリア膜”を形成し、荒れや乾燥を先回りケア
乾燥などの外部刺激を受けやすく、荒れやひび割れ、皮むけを起こしやすい“弱バリア状態”の唇を保護。肌荒れ防止成分や細胞間脂質成分から成る“うるおいバリア成分”を配合。フイルナチュラント エクスバリア リペア リップバーム 8g ¥1650/ドクターフィル コスメティクス
オイルマスク効果で、艶やかなぷっくり唇に♪
保湿・ハリ成分4種のコンセントレイト オイルが、高い保湿効果を発揮。ねっとりととろけるようなテクスチャーで、唇や周りの皮膚をしっかりと包み込む頼もしい使用感が◎。就寝前にたっぷり塗布すれば、翌朝、プルンとしたふっくら唇を実感できる。 リップ コンセントレイト バーム 7.5g ¥5500/SUQQU
【髙瀬先生が回答】スキンケアがしみる!「頬のあかぎれ」ってどんな状態?
ISSEN STOCKER/shutterstock
「頬があかぎれを起こして、何を塗ってもピリピリ痛いというときは、化粧水など角層に浸透するスキンケアは使うのをやめてみましょう」と髙瀬先生。
「皮膚のもっとも外側にある角層には、バリア機能があります。皮膚のバリア機能の役割は、紫外線や異物の侵入など、外部からの刺激を防ぎ、肌内部の水分を保持することです。
ところが肌が乾燥すると、皮脂や角層の水分が減少して、このバリア機能が低下してしまいます。バリア機能が低下すると外部からの刺激を防ぐことができず肌内部に侵入してしまい、肌が炎症を起こしあかぎれする原因となるのです。
刺激を感じたら肌に浸透しやすいものは避けて、バームやオイルなど潤いの膜を形成するものを使いましょう。特に今は、サラリとしたテクスチャーのオイルが増えていますので、負担なく肌を潤いで守ってくれます。
また、睡眠不足や食生活の乱れなども、バリア機能を低下させる原因に。よく眠る、ビタミンやミネラル、タンパク質をバランスよく摂取するなど生活習慣の見直しも大切です」
「頬のあかぎれ」はサラッとしたオイルで肌負担のない潤いの膜を
濃密な潤いの膜で肌をラッピング
過酷な乾燥環境でも潤い続ける肌を目指す「エスト ザ ローション シリーズ」のオイル。砂漠の塩湖でも自らの水分を逃がない、極限環境生物が生み出す成分“エクトイン”と、ホホバオイルをキー成分に採用。角層内に水分を留めて、長時間潤いをキープ。エスト ザ オイル 50㎖ ¥6600/花王
イキイキとした輝きを放つ極上の肌へ
南仏グラース産のジャスミンを丁寧に手摘みし、抽出したジャスミン エキスを核に、ホホバ種子油やスクワランなどの数種の上質なオイルをブレンド。肌本来のもつバリア機能をサポートし、健やかな肌状態に整える。ユイル ドゥ ヴィザージュ 50㎖ ¥16500(オンライン・一部店舗限定品)/シャネル カスタマーケア
ケアする度にローズの香りで幸福感を堪能
むくみやゴワつきの原因にアプローチする超臨界抽出ローズエキスを配合。加えて、オリーブオイルやホホバオイルなどの植物オイルとスクワランオイルを絶妙なバランスで組み合わせたことにより、ツルンとしたなめらかな肌が育まれる。RO フェイスオイル 30㎖ ¥5500/ジュリーク・ジャパン
【髙瀬先生が回答】繰り返す「指先のささくれ」は今日からできる対策を
Yaya Photos/shutterstock
ハンドクリームを塗っているのに、乾燥が止まらないという人や、指先のささくれが気になり、引っ張って化膿させてしまうという人が多い冬の手肌。
髙瀬先生は、「手を洗ったらすぐにハンドクリームをつける、を習慣にしましょう」と呼びかけます。
「ネイルオイルやコクのあるハンドクリームをたっぷり塗るに限ります。塗った途端に手を洗うことが多いのも“ハンドクリームあるある”ですが、それでもしつこく塗り直します。夜寝るときは、ハンドクリームの上から手袋をする、食器洗い時は、ハンドクリーム&手袋の上からゴム手袋をするのが効果的です」
ここでは、コクがあり潤いの密閉効果は高いものの、ベタつかないハンドクリームをご紹介。台所や洗面所、トイレなど水回りのそばに常備して“手を洗ったら塗る”を実践してみて。
「指先のささくれ」は濃密なハンドクリームでマメにケア
花々の恵みを1本にたっぷりと凝縮
ブランド内の数種のハンドクリームの中でも、濃厚な使用感の“リッチカメリア”。カメリアオイルやイブニングプリムローズエキス、ゼニアオイ花エキスなどの植物成分が、ふっくらとしたハリのある手肌へと導いてくれる。リッチカメリア ハンドクリーム 30g ¥1980/フローラノーティス ジルスチュアート
併せ使いをすれば、効果的にしっとりとしたしなやかな手肌に
ほんのり苦みが感じられる柚子を基調に、安らぎのあるセダーウッドなどが調和するシトラスウッディの香り。土佐ユズエキスやアンズ果汁、黒大豆エキス、シアバターなどの高い保湿効果を発揮する植物成分を贅沢に配合。手触り&通気性の良いてぶくろを就寝中に併用すれば、より高い効果実感を得られる。(左)ナイトウェル ハンドトリートメント 80g ¥3300 (右)同 お手入れ てぶくろ 1セット(2枚入) ¥1320/イグニス
世界で3秒に1本売れているという大人気ハンドクリームが初のパケ変!
発売から20年以上、パッケージを変えず、多くの人々に愛され続けてきたブランドのアイコンのハンドクリームが、サスティナブルの観点からリニューアル。コクのあるテクスチャーながら、肌にスッとなじみ、乾燥から手肌を守り抜く。シア ハンドクリーム 30㎖ ¥1760(1月31日発売)/ロクシタンジャポン カスタマーサービス
冬の深刻な乾燥を感じたら、スキンケアの見直しどき
肌のいちばん外側の角層部分のバリア機能や水分保持能力が低下して、さまざまな炎症を起こす、いちばんの元凶が乾燥。
乾いたまま放置せず、炎症を起こしてピリピリ刺激を感じるときには、肌に浸透しやすい化粧水はストップして潤い膜を形成する保湿バームやオイルをたっぷり塗る、など意識してみて。
構成/小内衣子(PRIMADONNA)