30代。今までは“なんとなく”程度だったけれど、そろそろ現実になり始める老化現象。少なからずショックを受けたり、あらがったり、受け入れたりと価値観は多種多様。誰しもに訪れる加齢による変化とどう向き合えばいい? 美容エディターの松本千登世さんにお話を伺いました。
明日を見る視点で自由度が増す
昨日である過去に執着せず、明日である未来へ目を向ける。
「まだ何が起こるか、何ができるかわからない」は、裏を返せば、自由度の高さ。
その自由に対応できる備えを身につけて。
人生100年時代と言われる今。バイラ世代って、先も見えるし、過去もすぐ振り返れる端境期にいて、迷ったり、落ち込んだりすることも多いかもしれません。でも大丈夫。実は今がいいときだから。
私が編集者時代、美容ジャーナリストの齋藤薫さんとメイクアップアーティストの藤原美智子さんの対談を取材する機会があって、美容レジェンド二人が口をそろえて仰っていたのが、“38歳、美の最強説”。仕事もプライベートも様々な経験を積み、知識も増え、見る目も養われてきた。まだまだ体力もあるので、挑戦も吸収もできる。そんな風に、できることとやりたいことのバランスがとれるようになるのが、ちょうど38歳頃なのだとか。
だからこそ、大切にしたいのが昨日ではなく、明日を見る視点。確かに美容の面では年齢を重ねるごとに失うものは大きいし、簡単だと思っていた昨日を再現することが、だんだんと難しくなっていく。
そこで嘆いても恐れても、皆平等に明日はやってくるので、だったら明日をどう過ごそうか?と考えるほうが、ワクワクするし、はたから見ても魅力的。まだ何も決まっていない明日へと視点を移すので、未来への自由度も増す。
その自由を楽しむためにも維持しておきたいのが、肌はもちろん、髪も体も、健やかで安定している状態。たとえば、将来髪を伸ばしたくなるかもしれないし、インテンスなカラーメイクで遊びたくなるかもしれない。そんなとき、コツコツとケアを続けていれば、自信も同時に育んでいるので、選択肢の幅も広げられる。
精神面での安定ももちろん重要で、昔とあるメーカーの方に「波乱万丈ほど肌を老けさせるものはありません」と言われ、深く納得したことがありました。ともに過ごす人や環境も、大いに美しさに影響する。
もし不安や迷いがあるのなら、私はどんなことに幸せを感じる?心穏やかでいられる人や居場所は?と自問しながら取捨選択を。それを積み重ねていくことで、明日も健やかで自由な未来が待っているはず。
松本さんの老化への備え方
レザーの経年優過を楽しむように肌もいたわりながらお手入れを
レザージャケットをクリームで丁寧にお手入れすると、しなやかさが生まれ、美しさが長もちする。肌も同じように、クリームや乳液でほぐすことで柔らかな肌へ。
肌を引き締め、全方位から潤いとハリで満たす。トータル V ファーミングクリーム 50g ¥11000/エリクシール
角層深部と気持ちまでほぐす先行乳液。AQ アブソリュート エマルジョン マイクロラディアンス Ⅱ 200㎖ ¥11000/コスメデコルテ
表情のあとをはね返す柔軟な質感を育むアイケア
思い切り笑ったり、瞳で語ったりと、感情の自由度が高い目もとでいたいので丁寧なアイケアは必須。目まわりに自信が持てれば、ためらいなく相手の目を見て話せる。
まぶたの影をケア。エピステーム ステムサイエンスアイ 18g ¥19800/ロート製薬 エピステームコール
角層深部までヒアルロン酸を浸透。ふっくらハリのある目もとに。リバイタル アイゾーンブースター 15㎖ ¥11000/資生堂
自由にヘアスタイルを楽しむために頭皮ケアに投資をしておく
もともと剛毛でハリコシは強いので、ややボリュームダウンした今のほうが扱いやすい。とはいえ、薄毛や白髪などで髪型の選択肢を狭めないためにも頭皮ケアを。
独自開発の2種のEMSが頭皮を効率的にケア。バイタリフトブラシ EH-SP60(オープン価格)/パナソニック
薄毛や抜け毛を予防しながら発毛まで促進。薬用 メディカル アンチヘアロスセラム(医薬部外品) 50㎖ ¥5280/ ロクシタンジャポン
美容エディター
松本千登世
近著に『顔は言葉でできている!』(講談社)がある。
撮影/山根悠太郎〈TRON〉、さとうしんすけ(物) ヘア&メイク/RYO 取材・原文/谷口絵美 構成/渡辺敦子 ※BAILA2024年2・3月合併号掲載