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美術とミステリーが交差する——『楽園のカンヴァス』原田マハ

ルソーの大作『夢』を巡るドラマ

原田マハ著/『楽園のカンヴァス』

美術小説の第一人者・原田マハの代表作『楽園のカンヴァス』は、アンリ・ルソーの幻の名画をめぐる物語です。2012年に刊行され、第25回山本周五郎賞の候補にもなった本作は、美術ファンはもちろん、ミステリー好きにも愛されています。

物語は、ニューヨーク近代美術館のキュレーターである主人公が、未公開のルソー作品をめぐる謎に挑むところから始まります。カギとなるのは、ある画家の日記。日記の内容と絵画がリンクし、100年前と現代の時間が交錯しながら真実に迫る展開は、最後の一行まで目が離せません。

原田マハといえば、元キュレーターという経歴を活かし、リアルな美術描写と人間ドラマを融合させる作風が魅力。本作でもルソーの生涯や当時の美術界の空気感が生き生きと描かれ、美術館にいるかのような臨場感があります。

美術とミステリーが交差する——『楽園のカンヴァス』原田マハ_1

また、絵画の価値や芸術の本質について考えさせられる深いテーマ性も特徴。単なる謎解きではなく、「芸術とは何か」という普遍的な問いを投げかけてきます。

美術に興味がある人も、普段は小説をあまり読まない人も、この物語の美しさと余韻にきっと心を奪われるはずです。

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