普通の服をこよなく愛するスタイリスト、佐藤佳菜子さんが考えるバイラ的「洒落感ベーシック」とは? 誰もが今すぐ取り入れられるサトカナのおしゃれエッセンスをご紹介します。
サトカナ的「洒落感ベーシック」のエッセンス
私のワードローブのベースは、すべて普通の服。去年シンプルだったのに今年突然奇抜な服ばっかり着るという人はあまりいないので、BAILAでも基本は着回しが効いて、社会性も失わないベーシックなスタイリングを考えています。
そんな中でも、トレンド感や今どきのムードはやっぱり入れていきたい。「普通の服なのに素敵だな」と思ってもらえるのがベストですよね?
たとえば「色」。2色にしぼって小物までそろえてみる。
「色をそろえるのが難しいなら、セットアップがおすすめ。スーツ同様、それだけで完成されていて印象的」。ジャケット¥33990・パンツ¥27940/アンクレイヴ(アンクレイヴ ホワイト) ニット¥31900/スローン バッグ¥440000/エイチ アイ ティー(ロウナー ロンドン)
そうすることで、地味色同士でも「“あえて”そういうふうに合わせたんだな」と意志を感じるコーディネートになる。
この“あえて”が、とても大事! そこらにあるものを適当に合わせても素敵に見えないのは、この“あえて”がないからです。カジュアルな服に“あえて”パールとか、
スウェットにパールの違和感だけでなく、スカーフを仕込んでいるのもポイント。詳細はこちら
“あえて”いつもと違うボリュームや立体感を効かせてみるとか、
今着たい「3D服」。トップス¥27000・スカート¥36300/シーニュ
ボリュームを変えるアイテムとして、こんなバッグも一手。「チェーンショルダーがすごく太いアンバランスさが新鮮」。バッグ¥133100/ピエール アルディ 東京(ピエール アルディ)
“あえて”質感が違うものを組み合わせるとか。
もはやシーズンレスな時代。薄いサテンにざっくりニットやエコファー合わせも素敵。(右から)ワンピース¥36300/カオス表参道(カオス) ニット¥57200/プルミエ アロンディスモン ニット¥22000/デパリエ ニュウマン新宿店(デパリエ) コート¥39600/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム(ジャッキー)
この理由のある“あえて”が「洒落感ベーシック」の素!
それから、よく「あのバッグが可愛い」とか“点”のアイテムありきで選ぶ人が多いのですが、そうすると、後から合わせるものがなかったり、全体がバラバラなイメージになってしまったりと実は失敗しがち。
なので、私は最初になりたい女性像を決めて、その人のスタイルに必要な要素をそろえていく、ということをよくやります。
目指すのは誰でもいいけれど、女性としてスタイルが印象的な人。「普通なのに素敵」と思われる人を遠目から観察すると、どんなときも“彼女らしい”という統一感がある。
50代のインスタグラマーとして注目されるグレース・ガネム。「将来、この髪型になりたいんです♡」
こちらのコーディネートのもとになった、若い頃のリンダ・エヴァンジェリスタの写真。「時代のムードを感じるスタイルが好きです」
そのバッグを持っているから素敵、なのではなく、その人のスタイルの一部だから素敵なんですよね。
そして最後に。おしゃれに手を抜かないこと!
普通の服だからこそ何も考えず適当にコーディネートしていては、無難な印象にしかなりません。細かいところに気を配ってほんの少しバランスを変えるだけで、「ただのベーシック」が「洒落感ベーシック」になると思うのです。
「違和感といえど、たとえばここに突然ピンクのソックスとかを合わせたりとかはしません。同系色でまとめたなかにちょっとテイストが違うものがある、くらいのさりげなさがポイント」
ジャケットを迷っているところ。コーディネートルームでは日々、ディテールまで吟味
スタイリスト
佐藤佳菜子
通称サトカナ。BAILAのファッションページを牽引する存在。ベーシックを基本に今っぽさと華のあるスタイリングに定評が。
撮影/赤尾昌則〈whiteSTOUT〉(モデル)、魚地武大〈TENT〉(物)、新谷真衣(佐藤さん) ヘア&メイク/笹本恭平〈ilumini.〉 スタイリスト/佐藤佳菜子 取材・原文/東原妙子 撮影協力/太田市民会館 ※BAILA2023年2.3月合併号掲載