スタイルがある人の、素敵な出会いとは一体どんなものなのだろう。スタイリスト辻直子さんが30代で出会った一生ものの服&小物、それにまつわるストーリーをご紹介。今回は、辻さんのおしゃれ概念を変えたという2つのハイブランドをピックアップ。
辻さんの30代に幸せをくれた服と小物
「自分に変化を与えてくれるもの」だったり「自分の中で変わらない不変の魅力を感じるもの」。こういった服と小物が30代で出会い、今もそしてこれからも長くつきあっていくものなのかなと思います。
30代は自分の大好きなスタイルのひとつでもあるコンサバティブなアイテムもたくさん買ったし、かと思えばひと目ぼれし惹きつけられるようにして購入したものがあったりと“守りと攻め”のバランスというものが無意識にとれていたような気がします。特に“攻め”の発見があったことがすごく自分にとってもよかったと感じています。
私でいうとコンサバなアイテムというのは間違うこともほとんどないけれど、大ヒットや大正解にはならずいい意味で平均点なものたち。一方、このテーマ内で紹介しているエルメスのバッグのように自分の守備範囲外のアイテムは思わぬ結果をもたらしてくれる。そのおかげで自分の可能性が大きく広がっていくんです。読者の皆さんも変化を恐れずに、少し冒険してみるとまた30代からのおしゃれが楽しく、豊かになっていきますよ。
SAINT LAURENT《サンローラン》
素材やパターンのこだわりが故に時間の経過までもが違う、私にとって愛する一枚
「過去に何枚も似たタイプのスカートを所有してきました。そんななか、30代から今もずっとつきあえているのがこちら。手をかけて作られた服というものは、簡単に古くならず長生きするものなんだということを実感させてくれた一枚です。長くつきあえる洋服というのはほんの一握り。そんな幸運な服と出会えたことも嬉しく思います」
Skirt/SAINT LAURENT
Tops/3.1 Phillip Lim
Sunglasses/GENTLE MONSTER
Hermès《エルメス》
コーディネートの幅を広げ、自分の成長を促してくれたバッグ
「ロンドンのお店でひと目見て、即購入。柄という個性はそれまでの自分にはないものだったので、最初はTシャツとデニムといった定番と合わせていました。そして色々と学んだ今では全体を複雑にくずしたいときによく手に取ります。自分一人では思いつかなかった着こなしや組み合わせの可能性を教えてくれて、今も私を鍛えてくれているスキルアップできる逸品です」
Bag/Hermès
Tops & Pants/COMPTOIR DES COTONNIERS
スタイリスト
辻 直子さん
本誌をはじめ、多くの女性誌、広告で活躍する人気スタイリスト。女らしさとコンサバをベースとした独自のスタイリングに長年のファンも多い。世界観あふれ、親近感も感じるインスタ@naoko.tsもぜひチェックを。
撮影/金谷章平 ヘア&メイク/菊地美香子〈TRON Management〉 構成・原文/倉田明恵〈BAILA〉 ※私物につきブランドへのお問い合わせはご遠慮ください ※BAILA2021年6月号掲載