女性の体に関する“もやもや”を専門家に尋ねる連載企画。今回のお悩みは生理前の気分の落ち込みと食欲の増進。産婦人科医の松村圭子先生に、原因と対処法を聞きました!
生理前の気分の落ち込みがひどく、悩んでいます。 どうして私だけこんなに大変なんだろう…?
いわゆるPMSの症状だと思うのですが、毎月、生理前の気分の落ち込みがひどく、些細なことで泣いてしまったり、不安からパートナーにあたってしまうことが。また食欲も抑えられません。職場で私ほどひどそうな人を見ないのですが、どうして自分はこんなに症状が重いのでしょうか。改善方法があれば教えてください。(30歳・マスコミ)
産婦人科医
松村圭子先生
2010年に成城松村クリニックを開業。院長として、婦人科診療とエイジングケアの最先端治療を行う。『女性の悩みはFemtechで解決! オトナ女子のためのカラダの教科書』(宝島社)、『女性ホルモンを整えるキレイごはん』(青春出版社)など、著書も多数。
PMSの症状は、体質や性格、生活環境によって程度が異なります。日常生活に支障をきたすほどつらい場合は、我慢せずに薬に頼って!
PMSの症状は100種類以上もあると言われており、気分の落ち込みは代表的な症状です。PMSの原因のひとつは自律神経の乱れですが、それぞれの体質や性格、生活環境なども影響します。たとえば、普段から繊細だったり、ストレスを溜め込みやすかったりする人は、根っからポジティブな人と比べて、PMSによって気分が落ち込みやすい傾向にあります。
食欲の増進に関しては、プロゲステロンと呼ばれる黄体ホルモンの増加が主な原因。体が妊娠の準備をするために分泌され、排卵直後から量が増えて、生理が始まる前から徐々に減ります。妊娠に向けて体に栄養や水分を溜め込む働きをするため、食欲の増進に加えて、むくみや体重の増加につながることも。つまり理にかなった症状のため、不安視する必要はありません。
PMSの原因は解明されていない部分もあり、自分で実践できる、確実な改善策はありません。相談者さんのように、日常生活に支障をきたすほど症状がひどい場合は、低用量ピルで排卵を抑制し、女性ホルモンの変動をなくすことをおすすめします。
「自然の原理に逆らうようで抵抗がある」という人もいますが、そもそも昔と比べて、妊娠しない/妊娠の回数が極度に低い現代の女性は、体に備わる自然の原理に逆らって生きているとも考えられます。妊娠・出産によって数年ほど止まるはずの排卵が常に起き続けている状態は、肉体にとって大きな負担。薬に頼って快適に過ごしたほうが、精神にも体にもよいと私は考えます。
私たちが日常で実践できること
ピルや漢方薬で心身の負担を軽減!
「低用量ピルのほかには、漢方薬で体質を改善する方法も。PMSや生理痛には、婦人科三大処方である当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸の3種類が効果的です。体質によって摂取量や相性が異なるため、漢方薬に詳しい婦人科医や漢方内科を受診しましょう」
イラスト/green K 取材・原文/中西彩乃 ※BAILA2024年10月号掲載