働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない(!?)アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第2回! 今回は「自分を好きになることができない」というお悩みに対して、ポジティブな思考グセを教えてくれました。
《今月のお悩み》自分を好きになることができない。 “自己肯定感”が低く、生きにくいです(35歳・金融関係)
数年前からテレビや雑誌で「自己肯定感」という言葉が流行っていますが、一向に自分のことを好きになれません。特に自分の容姿が嫌いです。太っているし、可愛くないし、全然モテないし、仕事もプライベートも引っ込み思案になりがち。どうやったら自分のことを好きになれると思いますか。
田中先輩の答え…自分の“粗探し”ではなく、日々の“幸せ探し”をする
そんなに自分に興味を持たなくていいんですよ
たまに、バラエティ番組のアンケートで「自分の好きなところは?」なんて質問に答えることがある。僕はアンケート用紙に印刷されたその文字を見るたびにいつも思う。「これ、すんなり答えを書ける人っているのかな?」って。たとえば、そこに“面白いところ”なんて書いた日には「この人、自分のことを面白いと思っているんだ」と失笑されてしまいそうだし。とにかく、何を書いても恥ずかしい。これが短所についての質問なら「ガリガリ」だの「声が高い」だの、何も気にせずいくらでも書けるんですけどね(笑)。
堂々と「自分が好き」と言える人はすごいと思う。でも、お近づきになりたいかどうかは別のハナシ。これは僕の勝手なイメージなんですけど、他人にもポジティブ精神を押しつけてきそうだし、その人の前では弱音を吐けなそうじゃないですか。だったら、少しくらい卑屈でもいいから「オレなんてダメだ」と言ってくれる友達のほうがつきあいやすい気がするんですよね。
自分の長所を答えるアンケート同様に「自分のことが好きですか?」の質問も答えに困ってしまう。そもそも、自分のことを好きとか嫌いとか考えながら生きていないし。そんなふうに自分の内側に評価の矛先を向けると絶対に「ここもダメ、あれもダメ」って粗探しが始まると思うんですよ。そんなことして無駄に落ち込むくらいならば、視線を外側に向けて幸せ探しをしたほうがいい。「今日のランチは美味しいな」「道が混んでなくて嬉しいな」なんて、目の前のいいことを拾って生きたほうがラクだし楽しいと思うんだよね。またさ、相談者さんは「容姿がコンプレックスで自分を好きになれない」と言うけれど……。ここで僕は声を大にして言いたい。「皆が皆、モデルのような女性が好きなわけじゃないんですよ‼」と。太っている女性が好きな人もいれば、素朴な女性の隣に居心地のよさを感じる人もいるし。遊んでいる女性が苦手という男性にとっては「モテない」がプラスになることだってあるんですから。逆に30代や40代になってまで、容姿にこだわるような男はやめたほうがいいですよ。お互いにいずれはおじいちゃんおばあちゃんに。最終的に容姿なんてシワシワになるのは決まっているんだから。
僕自身、容姿を気にしたこともあります。あまりにも周りから「気持ち悪い」と言われるもんだから「せめて、歯並びが悪い口もとを治そう」と。歯医者さんから「いつか地面と平行になるかも」と言われるくらい、年々せり上がっていた前歯を矯正したんですよ。だがしかし、その後も変わらず『抱かれたくない芸能人ランキング』の上位に君臨。前歯を治したところでモテることも、何かが大きく変わることもなく、なんなら気づいていない人も多いっていうね。他人にとっては自分の前歯なんてそんなもん。容姿なんてね、そんなもんなんですよ。
今でも「ハゲ」だの「気持ち悪い」だの言われることはありますが、僕はまったく気にしません。そんなとき思うのは「あ、あなたはそう思っちゃったんですね」だけ。あなたはそう感じるかもしれないけど、そんな気持ち悪い僕のことを好きになってくれる人もいるんだから。いちいち傷つく必要もないというか。そんなことで落ち込む時間があるのなら、美味しい店のひとつでも探したほうが、人生はきっと楽しいと思うんだよね。
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田中卓志
1976年生まれ、広島県出身。大学時代の友人、山根良顕とお笑いコンビ「アンガールズ」を結成。「呼び出し先生タナカ」(フジテレビ系)など多数のバラエティで活躍中。
撮影/黒沼 諭〈aosora〉 ヘア&メイク/高橋将氣 スタイリスト/高山良昭 イラスト/ますこえり 取材・原文/石井美輪 撮影協力/アワビーズ ※BAILA2022年9月号掲載