働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない(!?)アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第4回! 今回は「人見知りで、大人になっても人とうまく話せません」というお悩み相談。実は芸能界に入ってから人見知りを克服したという田中さんはどう答える…⁉︎
《今月のお悩み》大人になっても人見知り。 本当はもっと人と関わりたいのに(35歳・事務)
人見知りで、大人になっても人とうまく話せません。仕事でも、プライベートでも、緊張が顔に出てしまい、相手から見て「なんだか近づきにくい人」になってしまいます。本当はもっと人と関わりたいのですが、どうしたらいいでしょうか。
田中先輩の答え…自分がうまく話せないのなら、相手に話してもらえばいい
人間は少しダメなほうが親しみを持つことができる
僕も高校時代までは人見知りで。学校で話すのは仲のいい友達数人だけ。教室の中ではずっとモジモジしていたんですよ。そんな僕の人見知りが直ったのは芸能界に飛び込んでから。テレビに出るようになって、「アンガールズ」の名前が認知されるようになってからは、僕のことを知ってくれる人も増えたから。モジモジする必要がなくなったんですよね。そもそも、人見知りはお互いのことを知らないから起きる現象。相手を知らないから「どんな人なんだろ」とかまえたり、相手が自分を知らないから「変な人だと思われたらどうしよう」と緊張してしまう。つまり、お互いを知れば人見知りはしなくなるわけです。だからこそ、僕は初めて仕事をする人がいたらまず相手のことを調べる。Wikipediaを見たりして、自分との共通点や盛り上がりそうな話題を探してから現場に向かうんですよ。
なんて言うと「私の仕事相手はWikipediaに載っていない‼」というバイラ読者の声が聞こえてきそうですが、大丈夫。そういうときは質問をぶつけて相手を知ればいいんですよ。たとえば「好きな食べ物はなんですか?」「出身はどちらですか?」「学生時代、部活やっていましたか?」なんて、誰でも答えることができてふくらみそうな質問を常にいくつか用意しとく。すると、話すうちに相手の素顔が見えてきて「怖い人かと思ったけど優しい人なんだな」なんて次第に緊張が解けていったりしてね。また、人見知りの原因には“うまく話さなければいけない”もあると思うんですよ。うまくやろう、盛り上げたい、いいところを見せたい、そんなプレッシャーがより緊張感を高めてしまうというか。だからね、話すのが苦手なら無理しなくていいんです。相手に話してもらえばいいんです。そこでもまた質問がいいツールになったりしてね。
話題の映画や漫画は見ている人も多いから。それが共通の話題になることも。周りの会話に参加するために、アンテナを張って最新情報をゲットする。それは多くの芸人がやっていること。芸人のなかには人見知りの人もいるんだけど、この仕事はコミュニケーションをとってこその仕事だから。やっぱり、みんな必ず直す努力をするんだよね。極度の人見知りだった、あのオードリーの若林ですら言っていましたからね。「ガールズバーに行って、初対面の人と話す練習をした」って(笑)。
質問や会話のネタをうまく投げられるようになれば、人見知りは意外と簡単に直る。慣れないうちは失敗することもあるかもしれないけど、僕ね、失敗するくらいでいいと思うんですよ。かくいう僕も大学デビューで大失敗。イケてると思い込んでいたサテンのシャツを着て、つまらないギャグ言って、飛んだり跳ねたり。「一気に面白いヤツになってやろう」と浮かれた人間の真似事みたいなことをしたけど、次第にその痛さと寒さに気づいて、3カ月もしないうちにサテンのシャツは脱ぎました。でも、そのときに相方の山根をはじめ大切な友達が何人もできたんだよね。そこで、僕が気づいたのが完璧な人間よりもちょっとダメなくらいがとっつきやすいってこと。話しかけようとしてちょっとかんじゃうぐらいのほうが、周りから親しみを持って接してもらえるかもしれませんよ(笑)。
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田中卓志
たなか たくし●1976年生まれ、広島県出身。大学時代の友人、山根良顕とお笑いコンビ「アンガールズ」を結成。「呼び出し先生タナカ」(フジテレビ系)など多数のバラエティで活躍中。
撮影/黒沼 諭〈aosora〉 ヘア&メイク/高橋将氣 スタイリスト/高山良昭 イラスト/ますこえり 取材・原文/石井美輪 撮影協力/アワビーズ ※BAILA2022年11月号掲載