バイラ世代で家族との付き合い方や距離感について、もやもやを抱えるBさんが、実際にオンラインカウンセリングを体験。許可をいただきその様子を潜入取材しました。
Bさん
32歳・会社員・既婚(夫と二人暮らし)
【今日の相談内容】
家族とのつきあい方や距離感について。結婚後、実家の両親の価値観に違和感を感じるように。夫に相談してサポートしてもらっているがなかなか解消されない。自分の両親にもやもやを抱えている人は少ないのではと友人にも話せず、「もやもやの正体は何なのか?」を知りたいと思い初めてカウンセリングを予約。
カウンセラー:今日はどこからお話を伺いましょう。こんなことについて話したい、何か困っていることを解決したいなどありますか?
Bさん:家族のことについてなんです。昨年、結婚したのですがその後から実家の両親の価値観に違和感を持ち始め、どういう距離感でつきあえばいいか聞いていただけたらと思います。
カウンセラー:どんなところに違和感を持たれたんですか?
Bさん:うちの家族は親戚で集まる機会が多いんですね。しかも半ば強制的で、なかなか「行けない」とは言いにくい雰囲気で。結婚前は感じなかったんですけれど、常に両親の考えが優先で、こちらの意見が尊重されないことにだんだん違和感を覚えるように。まさに今、年末の集まりの連絡がきていて、返信しづらい状況になっています。
カウンセラー:ちなみに断れたら行きたくない気持ちはあるんですか。
Bさん:本音ではありますね。やはりとても気をつかう場なので。兄弟が多くて日程調整の段階から大変で。子どもがいない私たち夫婦は融通が利くと思われていて、連絡も後回しされがちで平等じゃないんですよね。
カウンセラー:Bさんは30代に入り結婚もされて、人生の変化が起こっていて、親御さんとの関係性を少し変えていくときかもしれないですね。旦那さんもBさんの今抱えている状況や気持ちをご存じなんですか?
Bさん:全部話しているので知っています。私の気持ちをいつも応援してくれて、意見を求めるとアドバイスや改善案をくれたりします。
カウンセラー:つらい状況を一緒に受け止めて、力強い味方になってくれていますね。年末の話はどんなふうに聞いてくれているんですか?
Bさん:なるべく家族の集まりだけで終わらないように、実家周辺で旅行しようかと話しています。ただ、前は両親には即返信していたんですけれど、そんなに一生懸命返さなくてもいいんじゃないかと思い始めて。まだ返信できてない状態ですね。
カウンセラー:そこに気づけたことが大きいと思います。「行く」「行かない」の二元論の話じゃなくて、「行きたくないけど行く」といった、あいまいで表と裏が違ったりする気持ちがありますよね。今までは言われたら、即返信、「行く」みたいな感じだったかもしれないですが、結婚して今まで感じなかった違和感に気づけた。もとの家庭、旦那さんの家庭、自分の今の新しい家庭があってこそ見えてきたんだと思うんです。味方になってくれる人ができて、Bさんの意識や思いが芽生えてきたのかなと。
Bさん:結婚して私の価値観が変わったんですね。確かに嫌なことにYESと言えなくなってしまったところがありますね。
カウンセラー:今、いちばんBさんの中で葛藤とか違和感、疑問みたいなものがあふれてるのかもしれません。これからどうつきあっていくかは、「すべて受け入れて行く」から「拒否して行かない」までバリエーションが豊かにあると思います。Bさんが、これだときついけれどこれくらいだったら今の自分も受け入れられそうといった気持ちの状態はありますか?
Bさん:たぶん逆にもう、主な目的を夫婦二人の旅行にしてしまって、家族の集まりをおまけぐらいに考えるほうが気持ち的に楽だったりするのかもしれません。
カウンセラー:そうですね。「旅行メインで家族にちょっと会いに行く」と思考を変えることで感情が変わることもあると思います。ただ心がどうしてもつらいときは「家族だから絶対こうじゃなきゃ」ではなく、「行かない」という選択肢もあります。Bさんがいちばん大切にしたいことを優先して、どうか自分を守ってくださいね。
Bさん:そうですね。長く続いてきた家族の習慣という無言の圧力があったんだなと。結婚して新しく家庭を持ったので、今までどおりに絶対しなきゃいけないわけじゃないんだなと考え方を変えられて、少し気楽になったかなと思います。
カウンセラー:今、Bさんは一人じゃなくて味方になってくれる人がいて強くなれている感じがします。お話を聞いて、尊重や平等感がBさんの譲れない部分かなと思いました。
Bさん:話せて穏やかな気持ちになりました。選択肢はひとつだけじゃなく、逃げることも含めた2番目3番目の選択肢も持って、自分の気持ちに合わせて変えていいんですね。
【初カウンセリング後の感想】
とても話しやすかったです。私の話を要約しながら共感して聞いてもらえたので、理解してもらえている安心感がすごくありました。過去に仕事でZoomを使った際、時間内に自分の言いたいことを言い切れなかった経験がありましたが、今日は自分の状況やもやもやを全部吐き出し切れました。
距離が近い友人や兄弟に話すと、私のことを知っているゆえに違った意見を言われたり否定されたりする心配があるなか、まったくの第三者に話すほうが楽なこともあるという気づきも。言いづらい悩みを誰かに聞いてほしいときにまた利用してみたいと思いました。
【カウンセリング後…】担当カウンセラーからのメッセージ
Bさん、大切なお話を聞かせていただきありがとうございました。自分と相手の価値観が異なり、もやもやすることはありますよね。そんなときは、自分と相手の心の距離感を調整したり、「私は何を大切にしたいだろうか」と自分に問いかけたり、自分と相手の価値観の違いをカウンセリングで言葉にしたり、Bさんにピッタリな方法を選択してくださいね。
イラスト/竹井晴日 取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2022年11月号掲載