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映画『かくかくしかじか』5月16日公開|漫画家・東村アキコさんインタビュー「日記を読み返すような感覚でときどき読み返す作品」

ユーモアあるキャラクターたちと唯一無二のテンポ感を持つ作品で、世間を魅了し続ける漫画家・東村アキコさん。実写映画化される自伝的漫画『かくかくしかじか』への想い、そして異なる世代の人との関わり方について伺った。

漫画家・東村アキコさん

東村アキコさんインタビュー 「“多重構造”な私」

映画化を通してさらに描いてよかったと思えました

『東京タラレバ娘』『美食探偵 明智五郎』など、数々のヒット作を生んだ漫画家・東村アキコさん。今回は学生時代に出会った恩師との日々を描いた自伝的漫画『かくかくしかじか』が映画化される。

「自分の作品を読み返す機会は少ないですが、この作品だけは自分の日記を読み返すような感覚でときどき読み返します。仕事がしんどかったり、“頑張んなきゃ”というときに。そういう作品があるのはすごく幸せなこと。連載中はしんどいときもありましたけど“描いてよかった”と本当に思っています。映像化していただいたことでさらにそう思いました」

自身がモデルの主人公・明子を演じたのは永野芽郁さん。東村さんから永野さんに演技のリクエストはしなかったと言う。

「恩師の日高先生を演じた大泉(洋)さんは、当時のことをたくさん聞いてくださったんですが、芽郁ちゃんとは一度も役について話したことはありませんでした。なのに、完璧な明子を演じてくれたので、とても不思議な感覚。明子はただの頑張り屋のいい子ではないんです。人間らしいちょっとずるい部分もあるので。明子が持つ多重構造感がびっくりするくらい再現されていて、芽郁ちゃんに演じてもらえて心から嬉しかったです」

今の30代の子たちは圧倒的情報強者で優秀

本作では恩師との関係が描かれるが、今の東村さんの仕事場には、20代、30代と異なる世代のアシスタントが集う。

「BAILA読者の方と同じ30代の子たちは、上は私のようにベタベタしてくる40代、下は振り切れていてドライな20代……に挟まれていてやりづらいですよね。特に上の世代にはどう接したらいいか難しいと思うかもしれませんが、30代の方のほうが自分たちよりも圧倒的に情報強者で優秀だと、私は思っているんです。簡単にいうと、私はデジタル系に疎い(笑)。下の世代の子たちに助けてもらって、SNSにログインできるようになったりして。なので、BAILA読者の方も、デジタル面で上司を助けてあげたら絶対感謝してもらえると思います」

下の世代を育てる立場として、東村さんが気をつけていることも?

「私は極端な例を言って、その子を奮い立たせるみたいなことをします。たとえば江戸時代のこととか……。20代前半の子が“すごい人が多くて疲れちゃいました”と言っていたら、“江戸はもっと人口密度高かったんだって! こんなもんじゃなかったらしいよ”と返すと“え、そうなんですか?”って興味を持ってもらえたり。よく言いがちな“私のときは〜”だと“世代ちげぇし”みたいになるじゃないですか。でも江戸時代とか戦国時代とかに規模を大きくして言うとエンタメの一環として聞いてくれたりするんです」

年下からの悩み相談もよく受けるという東村さん。バイラ世代がぶつかる“転職”の話も多い。

「私も30代前半のころは“作風を変えたいな”とよく思っていたんです。ギャグが多かったので、シリアスで文学的なものにチャレンジしてみたくなって。でも、全然うまくいきませんでした。それで、“やっぱり自分の得意技(ギャグ)でやっていくしかないのかな”と迷いを振っ切れたんです。その人の特技だったり、やれることって意外と2種類くらいしかないなと思っています。だから転職について相談されたときは、あまりすすめないことのほうが多いかもしれません。今の会社を辞めるつもりで、もうひと踏ん張りして一回だけやってみてもいいんじゃないかと、声をかけたくなっちゃいます」

映画 『かくかくしかじか』

映画 『かくかくしかじか』

©東村アキコ/集英社 
©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

出演/永野芽郁、大泉洋ほか
監督/関和亮 5月16日(金)全国公開
漫画家になりたい高校生・明子(永野芽郁)は、同級生の紹介で絵画教室へ行くことに。それが明子とスパルタ絵画教師・日高健三(大泉洋)との出会い。9年間にわたる恩師との実話を描いた不朽の傑作漫画がついに映画化。

東村アキコ

漫画家

東村アキコ


ひがしむら あきこ●1975年、宮崎県生まれ。1999年に漫画家デビュー。『かくかくしかじか』では、2015年第8回マンガ大賞、及び第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。5月24日(土)〜7月15日(火)に展覧会『東村アキコ かくかくしかじか展 -漫画と絵画 永遠のリグレット-』を旧尾崎テオドラ邸にて開催。

撮影/浜村菜月〈LOVABLE〉 取材・原文/上村祐子 ※BAILA2025年6月号掲載

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