名前が出てこない、ダブルブッキング…今、もの忘れやうっかりミスに悩む30代が急増中! 実はそれ、スマホが原因かも。日々スマホ漬けで脳疲労を感じている人必読! 脳の機能を回復させるべく、スマホとほどよい距離感を保つための6つの心がけをご紹介。
《1》単純作業で脳を休ませる
記憶を定着させたり、アイディアが浮かぶ「デフォルト・モード・ネットワーク」は、ぼんやり時間のほか、脳が退屈するような単純作業を行うと活発になる場合も。たとえばお皿を洗っているときや、じゃがいもの皮をむいているとき、靴を磨いているとき。単純作業に無心で打ち込んでいるときにこそ、脳の老化が抑えられるのです。あき時間にスマホではなく単純作業を行うこと=記憶力アップへの近道!
《2》睡眠で脳細胞修復
夜の睡眠は、脳内で疲労物質を代謝したり脳細胞を修復したりといった様々なメンテナンス作業が行われる重要な時間。最近の研究では認知症の原因物質を除去するのも夜の睡眠中とわかってきています。絶対にやめるべきは夜、布団の中でスマホの画面を眺める習慣。ディスプレイから放たれる光が睡眠物質のメラトニンを減少させ、充分な睡眠がとれなくなるおそれが。夜は寝る1時間前からスマホ断ちして脳を守りましょう。
《3》リアルの刺激で脳を活性化
スマホやパソコンを介し、ディスプレイの画面上で用事が完結することも多い現在。こうした状態で得られる情報は視覚刺激に偏りがち。ほかの刺激が少ない生活を長く続けていると、バランスが偏るため脳が疲れやすくなるのです。視覚だけでなく、嗅覚や聴覚、触覚など五感が刺激されるような体験を積むことが脳には大切。可能な範囲で外に出て、ジョギングなどリアルな体験を心がけましょう。
《4》思い切り泣く&笑う
脳に疲れがたまると、前頭前野の感情抑制機能がダウン。感情の起伏が激しくなったり、逆に起伏がほとんどなくなったりと、気持ちのコントロールがきかなくなるおそれも。「笑う」「泣く」といった感情をアウトプットする力が衰えた状態なので、お笑い番組や泣ける映画のDVDなどを見て、無理やりにでも「笑う」「泣く」のがおすすめ。脳内のストレスホルモンが減り、“その人らしい”感情に戻ります。
《5》一日5分、日光浴をする
朝起きたらいちばんにするべきことは、窓を開けて太陽の光を浴びること。いい睡眠に導くホルモン・メラトニンの材料となるセロトニンが朝に分泌されるため、夜も自然と眠くなり、脳を休ませることができます。日照量が不足する冬には冬季うつ病を発症する人がいるように、日光は心身の健康に欠かせないもの。日焼けが気になる場合は顔と手のひらに浴びるだけでもかまいません。ぜひ日々の習慣に!
《6》遠くを見ることで肩と首のコリ解消
スマホを長く見続けていると、首や肩のコリに悩まされるもの。簡単にできておすすめの解消法は、遠くを眺めること。顔を近づけて長時間スマホを見ていると、目のまわりにある眼輪筋に疲労がたまります。すると、連動している肩や首の筋肉も硬直してコリを感じるのです。1時間デジタルを見たら、遠くの景色を眺める休憩時間を習慣にしましょう。眼輪筋や頸部を支える筋肉をゆるめられます。
おくむらメモリークリニック院長
奥村 歩先生
「もの忘れ外来」の診療を中心に、これまで10万人以上の脳を診断。著書に『その「もの忘れ」はスマホ認知症だった』(青春出版社)など。
イラスト/沼田光太郎 取材・原文/櫻木えみ 構成/斉藤壮一郎〈BAILA〉 ※2021年7月号掲載