名前が出てこない、ダブルブッキング…今、もの忘れやうっかりミスに悩む30代が急増中! 実はそれ、スマホが原因かも。スマホと脳、どちらも上手につきあう方法、教えます! まずは、スマホ疲れ・スマホ依存のメカニズムを解説!
《働き盛りの30代こそ注意!》脳疲れの原因とは
スマホの情報過多を放置すると、言葉やアイディアが出てこない症状が進行
「この10年、スマホを操る若年層でもの忘れに悩む人が激増しました」と話す脳神経外科医の奥村歩先生。原因はスマホにあり!?
「脳内の記憶は『インプット』『整理』『アウトプット』の3過程で成り立っていて、どこかに支障が出るともの忘れが起きやすくなります。インターネットで新たな情報が大量に入ると整理が追いつかず、その結果、大事な言葉が出てこない、アイディアが浮かばないといった症状が出るのです」
さらに女性は脳疲労をため込みやすい行動が多く、要注意だとか。
「仕事に家事、SNS……と同時進行でこなせる女性が多いですが、これは脳に疲れがたまるNG行動。スマホ断ちとともに、脳を休める時間を意識してとりましょう」
《疲労の原因1》インプット過多は脳がゴミ屋敷状態
脳に不要な情報がたまると、必要な情報をど忘れしてしまう
スマホなどデジタルでの情報収集を習慣にしていると、自分にとって不要な情報まで大量に取り入れてしまうことに。脳内がいらない情報にあふれた“ゴミ屋敷”状態になると、必要な情報を探し出し、取り出す機能が低下。もの忘れするシーンが増加します。情報の取り出し機能が低下すると、記憶力だけでなく、思考力や判断力、集中力、感情コントロール力といった脳の働きも低下するおそれが。
《疲労の原因2》慢性的な不安感で体調不良やうつに
常に不安を抱えた状態で脳疲労が蓄積すると、心身に不調が
脳疲労に直結する原因のひとつが不安感。常に不安を抱えていると慢性的な脳疲労の状態に陥り、もの忘れが激増したりアイディアが浮かばなくなるなどの問題が起きます。疲れやすくうつっぽい、眼精疲労や肩こりなど心身にトラブルが現れるケースも。慢性的な不安感を抱きやすいコロナ禍。情報を精査せず取り込んでしまいがちなデジタルでは、不安をあおられることも多いので注意が必要です。
《依存の原因1》スマホ使用中の一時的な快楽で依存度UP
一時的な快楽により依存が一層深まり、脳疲れを悪化させがち
情報過多で脳が過労状態に陥っているときは、手っ取り早く快感が得られる“付け焼き刃”的な行動に依存する傾向が。アルコールや買い物、タバコ、ギャンブルへの依存が有名ですが、実はデジタルに依存するケースも同様のメカニズム。他人からの反応を得やすく、簡単に承認欲求が満たされるインターネットは一時的な快楽を生み出し、脳の健康を害するような過度な依存につながりやすいのです。
《依存の原因2》「ぼんやり時間」に記憶が定着する
実は「ぼんやり時間」に記憶力や発想力がアップ!
脳内で記憶を整理したり、定着させるのは、作業中ではなく、実はぼんやりとしている時間。「デフォルト・モード・ネットワーク」といって、ひらめきやアイディアが浮かびやすくなったり、記憶が定着、覚える力が向上します。ところがあき時間をスマホに費やす人は、脳は大量の情報処理のため常に使われっぱなしの状態に。疲労がたまり、発想力や記憶力が徐々にダウンしてしまうのです。
おくむらメモリークリニック院長
奥村 歩先生
「もの忘れ外来」の診療を中心に、これまで10万人以上の脳を診断。著書に『その「もの忘れ」はスマホ認知症だった』(青春出版社)など。
イラスト/沼田光太郎 取材・原文/櫻木えみ 構成/斉藤壮一郎〈BAILA〉 ※2021年7月号掲載