働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない(!?)アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第9回! 今回は人を惹きつける魅力がある人は、天性の才能?という読者の悩みにスッキリ回答! 「人間関係も恋愛関係も大事なのは相性」と田中さんがアドバイスしてくれました。
《今月のお悩み》話がうまい、一緒にいて楽しい、って何?(37歳・医療系)
友達に、誰と会わせても「この子面白いなあ」と思われて、人を惹きつける子がいます。外見はそこまででなくてもかなりモテますし、年齢や性別問わず、その子と話しているとみんな楽しそう。そうなりたいけど、話し上手で一緒にいて楽しい人って天性の才能ですよね?
田中先輩の答え…話し上手と話し下手が共存するから、楽しい空間は生まれる
にぎやかな男性の隣にはいつも物静かな女性がいる
“人を惹きつける天性の才能の持ち主”と聞いて、まず僕が思い浮かべるのがロッチ中岡です。別に刺激的な話題を振ってくるわけでもなく、中岡との会話は極めて普通なんですけど。「あれ見た?」「昨日は何してたの?」「こないだ、あそこ行ったよ」なんて、モジャモジャの頭を揺らし、ニコニコ笑いながら、隣でずっとしゃべってくれる、その空気感はすごく居心地がよくて。楽屋に中岡がいるだけで、その場の雰囲気が明るく楽しくなるんだよね。そんな中岡が昔からよく口にするのが「オレの腕枕はすごい」というパワーワード。一度してもらったことがあるんだけど、これがまた妙に居心地がよくて。中岡にはね、そういう謎の魅力があるんですよ。
芸人が集まる楽屋にはスキャンダラスな話題で盛り上げてくれる人もいる。たとえば、さらば青春の光の森田とか。会うたびに「この話、聞きました⁉」と刺激的なネタをぶっ込んでくる、それはそれで面白いんだけど。若干、胃もたれするんだよね。何時間も一緒にいたいと思える中岡とは違い、10〜15分たつとお腹いっぱいになっちゃう。ただ、それはあくまでも“僕の場合”のハナシ。僕は中岡だけど、森田みたいな人と一緒にいるほうが居心地がいいと思う人もいるわけで。すべては相性だと思うんだよね。
話が上手で面白い人ほど魅力的、世間にはそんな風潮がある。でも、全員が全員そう思うわけではないというか。その証拠に、宮下草薙の草薙君なんて“おしゃべり怪獣”こと明石家さんまさんと初めて仕事をした日「熱が出て寝込んだ」と言っていましたからね。「ブツブツまで出た」って(笑)。あんなに面白くて楽しいさんまさんですら、この世の一部の人にとっては、恐怖に変わることだってあるんですから(笑)。
ちなみに、今回のお悩みに関して、僕がずっとピンとこないことがある。それは「話し上手な女の子がモテる」というキーワード。実は僕ね、話がうまくて楽しい女性がモテている現場って、あまり見たことがないんですよ。というのも、芸人まわりでは意外と寡黙な女性のほうがモテるんです。周りを見渡すと、芸人に限らずにぎやかな男性のそばにいるのは物静かな女性が多い気がする。だからなのかな、合コンみたいなにぎやかな場所ではおしゃべりな女性も物静かになるというか。普段はしゃべり倒す知り合いの女性が“借りてきた猫”みたいになっていて、驚いたこともありますからね(笑)。
僕自身、にぎやかな女性より静かな女性のほうが好き。会話が途切れないようなハイテンションデートよりも、二人で美術館に行って静かな喫茶店で小声で感想を言い合う、そんなデートのほうが好き。でも、この世にはそんな僕とは真逆の男性も存在するわけで……。つまり、人間関係も恋愛関係も大事なのはやっぱり相性なんだよね。だからこそ、僕個人としてはこの相談者さんに「無理に話し上手になる必要はない」と伝えたい。静かな人とおしゃべりな人が互いに共存しているから、楽しい空間は生まれるんです。全員がワーワーしゃべってみなよ、うるさいし、気は休まらないし、それはもう大変なことになっちゃうから。だからね、本当に話すのが苦手な人には声を大にして伝えたいよね。「あなたにはあなたの魅力がちゃんとあるんですよ‼」って。
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田中卓志
たなか たくし●1976年生まれ、広島県出身。大学時代の友人、山根良顕とお笑いコンビ「アンガールズ」を結成。「呼び出し先生タナカ」(フジテレビ系)など多数のバラエティで活躍中。
撮影/黒沼 諭〈aosora〉 ヘア&メイク/高橋将氣 スタイリスト/高山良昭 イラスト/ますこえり 取材・原文/石井美輪 撮影協力/アワビーズ ※BAILA2023年5月号掲載