写真左から、尾上菊之助さん、寺嶋和史くん、尾上菊五郎さん。記者会見では、親子孫が勢ぞろい!
バイラ歌舞伎部が、『團菊祭五月大歌舞伎』の記者会見に行ってきました!!
小僧 よろしくお願いいたします! 歌舞伎、いろいろ盛り上がってますもんね。若い役者もかっこいいし、おじさま世代も素敵だし、観るなら「今でしょ!」って感じ。でも、正直、チケットの値段は高いし、ストーリーがわかりにくいし、なんか敷居が高くて……。
部長 バイラ読者の中にもそう思っている人、たくさんいると思うけど、それは本当にもったいないと思うのよ。私もアラサーくらいから歌舞伎を観ていたら、どれだけ沼を深められたことか……今、後悔しているところ(涙)。だからこそ、歌舞伎は難しいと思って敬遠している人のために、この連載では、ざっくばらんにいろいろ紹介できたらと思ってるわ。で、今月のピックアップは、5月の歌舞伎座公演「團菊祭五月大歌舞伎」。尾上菊之助さんの長男・和史くんの初舞台よ。
小僧 記者会見では、 尾上菊五郎さん、尾上菊之助さん、寺嶋和史くんと親子孫三代が勢ぞろいで、いかにも歌舞伎って感じでしたね。そして寺嶋和史くん、超かわいかった~!!
部長 うん、超キュートだったわ。
小僧 たくさんのカメラに目をしょぼしょぼさせて、かなり緊張してたと思うけれど、「5月に尾上丑之助の名跡を名乗らせていただきます。一生懸命頑張りますので、どうぞよろしくお願いします」って元気いっぱいで。そして「舞台で期待することはありますか?」って質問されて、「ありません!」ってきっぱり(笑)。なんて正直なの!! もうキュンキュンしちゃいました♪
部長 「やりたい役は?」と聞かれて、菊五郎さんの当たり役・弁天小僧と答えるあたりはさすがだったわ。「弁天小僧菊之助たあ、俺がことだあ」の名乗りの名セリフも堂に入ってたし、これは将来が楽しみね。
緊張している和史くんを終始かいがいしくサポートしていた父・菊之助さん。二人とも笑顔がキュート!!
和史くんは、おじいちゃん二人が人間国宝という超サラブレッド!!
部長 自分の初舞台のときは、「おたふく風邪になってカツラが入らなくなった」とか(笑)、話もおもしろくて、さすがの余裕だったわね。
小僧 それにしても5歳で初舞台なんて、歌舞伎役者って、やっばりすごいなぁ。
部長 そうそう。ただね、「初舞台」だけど、和史くん、正確には、初めて舞台に立つわけじゃないのよ。じつは2歳のときに、すでに舞台には出ているの。
小僧 2歳!? マジですか!?
部長 歌舞伎でいうところの「初お目見え」というもので、このときは、本名で舞台に出ているのよね。それに対して「初舞台」は、初めて歌舞伎役者としての名前を名乗って舞台に立つことを言うの。本格デビューという感じかしら。
小僧 なるほど。おじいちゃんやお父さんが名乗っていた「丑之助」を襲名して、本格的に歌舞伎役者の道を進むわけですね。
部長 そういうことね。ただ、芸名から芸名になるのは「襲名」だけど、今回のように本名から芸名になるのは、襲名ではなく、「名乗り」という表現になるそうよ。
小僧 初お目見えと初舞台、名乗りと襲名……ああ、ややこしい! メモメモ。
部長 ちなみに和史くんのお母さんは、これまた歌舞伎界のスター・中村吉右衛門さんの娘さんだって知ってた? しかも菊五郎さんも吉右衛門さんも人間国宝。 孫の和史くんは、その二人のDNAを受け継いでいる歌舞伎界のサラブレッドってこと。
小僧 ええっ、おじいさん二人が人間国宝!? それは荷が重い……いやいや、素晴らしい。
部長 さらに菊五郎さんの奥さまは、女優の富司純子さんで、菊之助さんのお姉さんは、女優の寺島しのぶさん。
小僧 なんと! 超芸能一家じゃないですか。これは和史くんは、将来、すごい役者になるかもしれないですね。
部長 そう。だからこそ、和史くんの名乗りは、絶対観ておくべきなのよ。歌舞伎役者ファンの醍醐味のひとつは、子どものときから大人になるまで、その成長をずっと見守り続けることができること。やがて和史くんが大スターになったとき、「私は、彼の名乗りを観たのよね」と言える喜びといったら!! 自分の孫子にもきっと自慢しちゃうと思う。
小僧 ふ~む。そういう歌舞伎沼の入り方もあるんですね。
部長 考えてみてよ。5歳の和史くんが、丑之助になって、菊之助になって、菊五郎になっていくのをずーっと観ていられるのよ。
小僧 5メートルくらいの歌舞伎沼が、65メートルくらいになってそう。で、ちなみにその頃、部長は90歳くらい?
部長 うるさいわね。とにかく5月、歌舞伎座に行くからね。和史くんの牛若丸を見るわよ!!
小僧 はい、ついていきます! それでは、本日はこれぎり~!!
七代目尾上丑之助の初舞台となる演目『絵本牛若丸』で、牛若丸を演じる和史くん。衣裳姿も決まってるぅ!!
東京・歌舞伎座にて、5月3日(金)から5月27日(月)まで公演
「團菊祭」とは、明治を代表する歌舞伎俳優の九世市川團十郎と五世尾上菊五郎を讃えるために、昭和11年に始まったもので、近年は歌舞伎座の五月興行として上演されてきた公演。今年の見どころは、七代目尾上丑之助の初舞台となる演目『絵本牛若丸』。丑之助は、源氏の再興を目指し、鞍馬寺で厳しい修行に耐える牛若丸を演じる。父・尾上菊之助、二人の祖父・尾上菊五郎、中村吉右衛門も出演する超ゴージャスな舞台は、ファンならずとも必見!
チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹で発売中。
まんぼう部長……ある日突然、歌舞伎沼に落ちたバイラ歌舞伎部部長。遅咲きゆえ猛スピードで沸点に達し、熱量高く歌舞伎を語る。
バッタリ小僧……歌舞伎歴2か月。やる気はあるが知識ゼロの新入部員。若いイケメン俳優より、本当はオーバー40歳の熟年役者好き。