漫画を愛するライター・中川 薫がバイラ女子におすすめの漫画をピックアップ! 今回は、注目作家・和山やまの最新作『カラオケ行こ!』をご紹介。地味男子中学生と怖いお兄さんの奇妙な友情物語を、とくとご覧あれ!
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中川 薫
漫画、酒、旅、K-POPを愛するライター。おうち生活充実のためiPadProを購入。作画って難しい!
©和山やま/KADOKAWA
デビュー作にして手塚治虫文化賞短編賞を受賞した『夢中さ、きみに。』や『女の園の星』で話題をさらった作者・和山やま。その最新作は、昨年同人誌で発表され大反響を呼んだ作品を再編集したもの。含みのある端正な絵柄と軽快なタイトルが織りなす戸惑いのハーモニー。そして、ふたを開ければ“刺青を彫られるのが怖いヤクザが合唱部員の中学生に泣きつく”という斜め上方向(?)の話だ。
地味なメガネ男子の聡実が、突然ヤクザにカラオケ店に連れ込まれる。「1曲だけ…聴いてくれるか?」と押し切られ、おびえながらも毒舌でやり返し、しまいには友情のようなものまで芽生え……という、ありそうでありえない展開に吹き出してしまう。「何がどうしてそうなった」と、ツッコむ間もなく巻き込まれていくこの感じは、会話が成立しているようで成立していない、だけど話が進んでいくズレ漫才のようで楽しい。
作者の全作品に共通するのは“まじめなのに、どこかズレている”おかしさ。その視点で世の中を眺めたら何にでもポジティブになれそう。
©和山やま/KADOKAWA
『カラオケ行こ!』
和山やま
KADOKAWA 全1巻 700円
合唱部員の中学生・聡実は、ある日突然、ヤクザの狂児に歌のレッスンを頼まれる。なんとしても歌がうまくなりたい狂児に毎週つかまり、やりたくもない歌唱指導を行うが……。
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『スインギンドラゴンタイガーブギ』
灰田高鴻
講談社 1巻~ 640円
戦後を生きる日本人たちの本気の“ジャズ”に圧倒される
舞台は太平洋戦争の爪痕残る東京。路上でウッドベースを弾き歌う少女・とらが出会ったのは。興奮と熱狂のジャズ漫画。
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2020年10月号掲載
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