ソロデビューして10周年を迎えた中山優馬さん。10年続けてきたことで得たものとは? 7月から出演する舞台『ダディ』についても伺いました。
中山優馬
中山優馬
なかやま ゆうま●1994年1月13日生まれ、大阪府出身。A型。ドラマや舞台を中心に活躍。最近の作品に、「全力!クリーナーズ」、現在、「ピーチケパーチケ」(関西テレビ 水曜25時25分~)に出演中。また、ラジオ「中山優馬の世紀末に生まれて」(bayfm 火曜24時30分~)でパーソナリティを務める。
10th Anniversary
芝居に一意専心で取り組み、気づいたら、10年があっという間
ソロデビューして10周年を迎えた中山優馬さん。18歳で大阪から上京し、一人暮らし歴も10年に。試行錯誤しながらも芝居に没頭、10年続けてきたことで得たものを伺うと――。
「自分が思い描いていたほどの、完成された大人の男性にはまだなっていないなと(笑)。もっともっと成長していかないといけないですね。東京に来たばかりの頃は電車の乗り換えすらスムーズにできなかったし、知り合いもいなくて、何をするにも大変でした。その頃に比べたら多少の知識は増えたとは思うけど、一人前の男というにはほど遠い……。ただ、一人暮らしをしたことで料理や掃除はできるように。今では朝起きたら、掃除をするのが日課です。犬を飼っているから、ホコリをためておくわけにはいかないしね」
「思い返してみると、時がたつのは早く、10年はあっという間! 不調な時期もピンチも山ほどあったけど、落ち込むってことはあんまりなかったかな。うまくいかない理由はなんとなくわかっていたからかもしれない。自分に向き合って、改善できることは次に生かす。その繰り返し。僕の場合は、10代の頃から一途にお芝居をやりたいと思っていて、今でも、その気持ちも熱意も変わっていません。昔、出演させていただいたドラマのオンエアを見て、“もっとできたかもしれない”と、悔やんだことがあるんです。当然撮り直すことなんてできない。そのとき、“もっともっと作品と向き合って、役に入り込まなきゃいけないんだ”と、15歳ながら決意したことを覚えています」
「芝居が好きだから、悩むし、苦しむ。でも、その時間すら幸せな時間だし、応援してくれる人がいてくれるからこそ、頑張って今まで続けてこれたんだと思います。人と比べてしまうことも多々ありますよ。劣っている部分を見つけては落ち込んで、イライラして悪循環に陥ったりして……。でも、あるとき、それって全然合理的じゃないなって気づいたんです。自分を許すことも大事だし、自分に甘くてもいいんだよって。“ま、いっか!”って声に出してみる。“それでいいの?”って思っても、“それでいいや!”っていう気持ちのほうを取れば、楽になれるはず」
「お芝居に関しては、自信を持って好きだと言えるし、そこに後ろめたさがないんです。確かな価値を見いだしているし、経験もそれを後押ししてくれる。変わっているって思われそうだから、わざわざ言わないけど好きなものもあって、それが懐中電灯(笑)。40個くらいコレクションしています。きっかけは、小さい頃キャンプで知ったランタン。電球一個で作り出される世界がすごく魅力的だったんです。形もサイズも、色合いも様々で、電器屋さんに行くと、ついつい懐中電灯コーナーをのぞいてしまうくらい夢中ですね」
「今度僕が挑戦する舞台『ダディ』は、同性愛や家族問題が絡み合う内容で気軽なテーマとは言えませんが、視覚的にも見たことのないものになるはず。演劇を通じて違う世界に触れることが、観てくださる方の安らぎや息抜きになったらいいなと思っています」
舞台『ダディ』
作/ジェレミー・O・ハリス 演出/小川絵梨子
7月9日~27日東京グローブ座公演、8月5日~7日COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで公演予定。
人種、セクシュアリティ、格差社会やアイデンティティなど現代的テーマを刺激的に描いたオフ・ブロードウェイ作品の日本版の初上演。中山さん演じるアフリカ系アメリカ人の若いアーティスト・フランクリンが、ロサンゼルスに住むセレブの初老アートコレクター・アンドレと出会い、関係を深めていく様子が描かれる。
取材・原文/山中ゆうき ※BAILA2022年8月号掲載