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地縁の温かさを描く長編小説『うらはぐさ風土記』をレビュー【バイラ世代におすすめの本】

書評家・ライターの江南亜美子が、バイラ世代におすすめの最新本をピックアップ! 今回は、中島京子の『うらはぐさ風土記』と、前田隆弘の『死なれちゃったあとで』をレビュー!

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江南亜美子

江南亜美子


文学の力を信じている書評家・大学教員。新人発掘にも積極的。共著に『世界の8大文学賞』など。

「よかったら、ごはん食べていく?」連綿と続く土地の歴史

『うらはぐさ風土記』 中島京子著  集英社 1870円

8年半の結婚生活と30年のアメリカ暮らしに見切りをつけ日本に戻った沙希は、空き家と化していた武蔵野の伯父の家に住むことに。時はコロナ禍、浦島太郎状態の日本の生活だ。

雇われた女子大で知り合った、とぼけた敬語のマーシーとその友達のパティ。伯父の囲碁仲間で庭手入れの師匠となる秋葉原さん、彼の妻の刺し子姫ら、縁のできた一風変わった人々と食べるごはんで、沙希はくつろぎの感覚を取り戻す。

「わたし、こっから見る景色が好き」。そこに浮上した道路整備計画で町の様子や地縁はどうなってしまうのか。ゆったりとした人と人のつながりを描き、読む人の心の緊張をほぐす群像小説だ。

『うらはぐさ風土記』
中島京子著 
集英社 1870円


年下夫のバートの「不実」をきっかけに帰国した沙希。うらはぐさと呼ばれる武蔵野の地区での暮らしは小さな驚きに満ちている。老いてなお元気な人々には人生の歴史があり……。地縁の温かさを描く長編小説。

これも気になる!

『みどりいせき』 大田ステファニー歓人著 集英社 1870円

『死なれちゃったあとで
前田隆弘著
中央公論新社 1870円

「感情を出し損ねてしまった」失うことの意味とその後
溺死した父、自死した後輩、交通事故死の社長……。自身が遭遇した様々な死別をローファイな文体で綴るエッセイ。死の軽重にあらがう著者のまなざしがいい。

イラスト/chii yasui ※BAILA2024年6月号掲載

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