2025年で創刊70周年。数々の名作がある『りぼん』に対して、それぞれの作品や作家についてのガチ勢が集合! 今こそ読んでもらいたい不朽の名作、高田エミ先生の『ねこ・ねこ・幻想曲(ファンタジア)』と水沢めぐみ先生の『姫ちゃんのリボン』を激アツに語ってもらいました。
倉持佳代子さんが語る、高田エミ先生の『ねこ・ねこ・幻想曲(ファンタジア)』

京都国際マンガミュージアム研究員
倉持佳代子さん
館で展示イベントを企画する傍ら、新聞・雑誌にコラムやエッセイなどの執筆業も。7月に共著『マンガぶらぶら 21世紀マンガをひたすら読む』を刊行予定。
大人になってから読んでも鼻水が出るくらい泣けました
猫好きの私に、友達がすすめてくれた作品が『ねこ・ねこ・幻想曲』でした。まず絵の可愛さであっという間に夢中に。
その友達の家にあった単行本を読ませてもらったのですが泣ける話が多くて。あまりに私が号泣するので友達に「涙で汚さないようにしてね」と怒られたほど。小学生だったからあんなに号泣したのかと思っていたのですが、大人になって読んでも、鼻水が出るくらい泣けました。
人間に変身できる猫・シロの飼い主である里子が、猫と話ができるムーンクリスタルブレスレットをお月様からもらうシーンなんかは、今でも心ときめきます。だって猫と会話ができる上にブレスレット! お月様に「私にもブレスレットをください」と当時懇願しました。今でも欲しいです。
さらに今は、シロのお母さん視点で読むなど大人になったからこそ深く読めたシーンもあり、名作は年を重ねるごとに深まるのだと実感しました。

7巻 ©高田エミ/集英社

『ねこ・ねこ・幻想曲(ファンタジア)』
高田エミ著
集英社 1〜16巻
飼い主の里子、パパ、ママの役に立ちたいと願う猫のシロ。ある日、お月様の魔力で人間の女のコに変身できるようになって……。
吉村麗さんが語る、水沢めぐみ先生の『姫ちゃんのリボン』

国立新美術館特定研究員
吉村 麗さん
2017年より国立新美術館の海外プロジェクトに関わり、現在はマンガを専門とした研究員として勤務。
姫ちゃんの変身を通し人間関係を築く上での大切なことを学べる
主人公の姫ちゃんが、魔法のリボンで色々な人に変身していく、“人の心を知りたい”というストレートな欲求が楽しく描かれている作品。姫ちゃん自身はよかれと思って解決しようとするも、結局は人それぞれの感情や関係性を尊重しなくちゃいけないという学びを得るエピソードの数々は、大人でも気づきになることがたくさん。むしろ社会に出て働く世代こそ大事にしなければならないことだらけです。
姫ちゃんが変身したまま戻れなくなるも、同級生の大地君が気づくエピソードのように、見た目じゃなく内面性こそにアイデンティティがあることも描かれています。このシーンは今読んでも感動しましたし、ロマンチック。
あとはぬいぐるみのポコ太も大好きで。ポコ太の恋人・ピンクちゃんが誤っておもちゃ屋さんに5000円で売りに出されてしまうシーンは、子どもながらに“高い! 絶対に取り戻せない!”とショックだったのも思い出深いです(笑)。

7巻 ©水沢めぐみ/集英社

5巻 ©水沢めぐみ/集英社

『姫ちゃんのリボン』
水沢めぐみ著
集英社 1〜10巻
活発な中学生・姫子のもとにある日、魔法の国の少女・エリカが現れる。姫子は彼女から誰にでも変身できる魔法のリボンをもらう。
取材・原文/上村祐子 ※BAILA2025年8・9月合併号掲載






















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