2025年で創刊70周年。数々の名作がある『りぼん』に対して、それぞれの作品や作家についてのガチ勢が集合! 今回は一条ゆかり先生の『有閑倶楽部』、黒崎みのり先生の『初×婚』について激アツに語ってもらいました。
有馬弥生さんが語る、一条ゆかり先生の『有閑倶楽部』

マンガ編集者
有馬弥生さん
集英社の女性向けマンガ編集部に定年まで在籍し、現在はフリー編集者。『ベルサイユのばら』の企画本などを担当。
有閑倶楽部のメンバーが事件に立ち向かう痛快な姿にスカッ!
一条先生の華やかさやスケール感を武器にした“ワクワクするようなエンタメがはじまった!”と思った作品。登場人物たちが通う聖プレジデント学園のグローバルな修学旅行を描いた9話の冒頭は、印象に残るシーンのひとつ。
掲載の1982年は女性解放などについて人々が声をあげ始めた頃。男性主体ではない性交渉についても論じられるようになり、そのひとつが“フリーセックス”でした。登場人物も物語も『有閑倶楽部』はとても自由。男女3人ずつで構成される有閑倶楽部のメンバーが、男女の差別・区別もなく、お互いの才能や性格を尊重し合い事件に立ち向かう姿は見るだけでスカッとしました。
当時の女子は“男性のサポート役”を期待されがちでした。それは今もですが、『有閑倶楽部』はその立ち位置の認識をひっくり返したと思います。私自身もこの作品を通し、勇気を振り起こされ、働くときの心の支えでした。

3巻 ©一条ゆかり/集英社

『有閑倶楽部』
一条ゆかり著
集英社 1〜19巻
セレブ学園の中でも一目おかれる6人がそろう有閑倶楽部。退屈を吹っ飛ばす豪快でハデな痛快学園アクションコメディ。
上村祐子さんが語る、黒崎みのり先生の『初×婚』

りぼんライター
上村祐子さん
大学の卒業制作で『りぼん』についての本を作成したのをキッカケにフリーライターに。女性誌でのインタビューなども担当。
小学生時代に『りぼん』で知ったあの感情に再び出会えた!
あの頃のワクワクとときめきと、再び出会えた『初×婚』。“マッチングシステム”や“卒業後に結婚”と、断片的な設定で“結婚することがゴール”と描かれているようにもとられるけれど、そうじゃないことはすぐわかります。
主人公・初の想いを見守り、ヒーロー・紺の言動に一喜一憂し、学校生活をともにするキャラに仲間意識が芽生え“みんなが幸せであれ”と思える魅力であふれていて、数話で心がきゅっとしました。それは私が小学生時代に『りぼん』で初めて知った感情そのもの。最終回の読後は幸福感と少しの寂しさで胸がいっぱいになったのも、あの頃と同じ。
現実主義な紺が赤面するシーンには“少女マンガって最高!”と思わずガッツポーズすら出ました。悲しみも幸せも、“自分の感情を共有したい”と思える誰かと巡り会えることは、自身と向き合い芯をもった先にこそあるものだとあらためて気づくこともできる作品です。

16巻 ©黒崎みのり/集英社

『初×婚』
黒崎みのり著
集英社 1〜17巻
マッチングシステムで選ばれたパートナーと成績トップでの卒業&結婚を目指す高校が舞台。令和の『りぼん』を代表する作品のひとつ。
取材・原文/上村祐子 ※BAILA2025年8・9月合併号掲載






















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