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#三宅香帆 が選ぶ「編み物を“読む”本」3選【働いていても読みたい本】

#三宅香帆 が選ぶ「編み物を“読む”本」3選【働いていても読みたい本】

文芸評論家の三宅香帆が、バイラ世代におすすめの最新本をピックアップ! 今回は、編み物を“読む”本として、ロレッタ・ナポリオーニ『編むことは力 ひび割れた世界のなかで、私たちの生をつなぎあわせる』など3冊をレビュー。

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三宅香帆

文芸評論家

三宅香帆


みやけかほ●1994年生まれ、文芸評論家。熱量の高い書評で注目を集め、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社)はベストセラーに。

【三宅香帆が選ぶ最新書籍】編み物を“読む”本

ロレッタ・ナポリオーニ 『編むことは力 ひび割れた世界のなかで、私たちの生をつなぎあわせる』

『編むことは力 ひび割れた世界のなかで、私たちの生をつなぎあわせる』 ロレッタ・ナポリオーニ著 佐久間裕美子訳 岩波書店 2970円

ひそかにブームが到来!? 編み物好きの方に“読む”という選択肢も

タイトルだけ見て、手芸の指南書と勘違いする人もいるかもしれないが、本書は「編み物」が歴史的、社会的にとても大きい影響を与えていることを解き明かす、壮大なエッセイなのだ。

作者自身の編み物に関する思い出を描くエッセイパートの魅力もさることながら、アメリカ革命時の女性たちの抵抗や第二次世界大戦中にセーターで暗号を伝えたスパイの話まで、一気に面白く読んでしまう。編み物が実は女性たちの声となり、連帯を生み出してきたということがよくわかる。編み物は心安らぐ趣味であるだけでなく、抑圧された人々が自らの生をつなぎ、世界を変えるための「力」だったのだ!

エッセイの文体も素敵で、きっと編み物がもっと好きになる一冊。

『編むことは力 ひび割れた世界のなかで、私たちの生をつなぎあわせる』
ロレッタ・ナポリオーニ著 佐久間裕美子訳
岩波書店 2970円

我々にとって身近な編み物。実はフェミニズムや社会運動を支えていた時代もあったという。フランス革命やトランプ政権時のあの瞬間……糸と針が一針ずつ社会を“編み直して”きた、愛のある歴史にご注目を。

これも気になる!

林ことみ 『北欧ニット旅』

『北欧ニット旅』 林ことみ著  日本ヴォーグ社 2200円

『北欧ニット旅』
林ことみ著 
日本ヴォーグ社 2200円

北欧に足を運んだ人気ニット作家が、現地での経験から得たエストニアのパターンやミュージアムの作品を紹介。手芸の具体的なテクニックも掲載されている。

三國万里子 『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』

『ファンたちの市民社会あなたの「欲望」を深める10章』 渡部宏樹著 河出書房新社 1155円

『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』
三國万里子著 
新潮社 781円

「書く」ことは「編む」ことと似ている――ニットデザイナーの著者初のエッセイ。昔の思い出と編み物を絡めながら、誰しもが抱える“あの頃”を丁寧に綴る。

イラスト/おおさわちか ※BAILA2025年12月号掲載

BAILA編集部

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30代の働く女性のためのメディア「BAILA」。ファッションを中心にメイク、ライフスタイルなど素敵な情報をWEBサイトで日々発信。プリント版は毎月28日頃発売。

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