文芸評論家の三宅香帆が、バイラ世代におすすめの最新本をピックアップ! 今回は、いま流行りの「推し活」を考察する本として、朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』など3冊をレビュー。

文芸評論家
三宅香帆
みやけかほ●1994年生まれ、文芸評論家。熱量の高い書評で注目を集め、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社)はベストセラーに。
【三宅香帆が選ぶ最新書籍】推し活を考察する本
なぜ私たちはこんなに推しの存在にのめり込んでしまうのか

推し活にハマったことのある方も、あるいは推しがいたことのない方も、「なぜこんなに推し活が流行ってるんだろう?」と思うこともあるのでは。
朝井リョウの作家生活15周年記念作品は、“推し”をめぐる三人の主人公の視点を描く。ブームをつくりだす運営たち、沼にハマる大人たち……その狭間で見えてくるのは私たちの生活がいかに不安定で自信が持てなくなっているのか、という切実な葛藤である。将来に希望が持てない、だけど誰にもその不安を喋ることができない。そんな日常生活に存在する唯一の安定材料が、“自分のためだけの特別な物語”すなわち“推し”なのではないか。「教会」にたとえて推し活と現代日本を描く怪作に、ぜひ飲み込まれてほしい。
『イン・ザ・メガチャーチ』
朝井リョウ著
日本経済新聞出版 2200円
アイドルの運営担当者、心労を抱える大学生、俳優のファンである女性という異なる世代の3人の立場で語られる。推し活の裏にある、人の心を動かす“物語”の功罪とは? 著者の作家生活15周年記念作品。
これも気になる!
オ・セヨン 『成功したオタク日記』

『成功したオタク日記』』
オ・セヨン著 桑畑優香訳
すばる舎 1540円
推しのアイドルが性加害で逮捕された。ファンがそのときの心情を記録した異色の日記文学。ありのままを綴る著者の姿勢は、自分の心と向き合う契機になるはず。
『ファンたちの市民社会 あなたの「欲望」を深める10章』

『ファンたちの市民社会 あなたの「欲望」を深める10章』
渡部宏樹著
河出書房新社 1155円
資本主義に囲まれる現代。推し活で結託することは、実はポジティブな市民活動につながるのでは?「ファン研究」を専門とする渡部宏樹さんが綴る初の単著。
イラスト/おおさわちか ※BAILA2025年11月号掲載
























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