文芸評論家の三宅香帆が、バイラ世代におすすめの最新本をピックアップ! 今回は、ファッションを通して社会を考える本として、鈴木公啓『子どものおしゃれにどう向き合う? 装いの心理学』など3冊をレビュー。

文芸評論家
三宅香帆
みやけかほ●1994年生まれ、文芸評論家。熱量の高い書評で注目を集め、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社)はベストセラーに。
【三宅香帆が選ぶ最新書籍】ファッションを通して社会を考える本
“社会と容姿はどうつながっているのか”を読み解く

服を買うことも、メイクをすることも、美容について調べることも、好きだ。だけど、大好きなはずなのに、たまにおしゃれや美容に疲れてしんどくなってしまう。あなたにもそんな日はないだろうか? 本書はおしゃれをはじめとする「装い」について、タイトルにある子どもだけでなく、大人にとっても新しい視点を与えてくれて、少し肩の力を抜かせてくれる一冊。
現代の低年齢の女の子は、身だしなみや装いについてどんな言葉をかけられがちなのか? そんな社会構造を説明しながら、女性と見た目の社会心理を説く本書。読み終えると子どもの見た目についての声がけはもちろん、自分自身の容姿へのジャッジも優しくなる、不思議なパワーのある本だった。
『子どものおしゃれにどう向き合う? 装いの心理学』
鈴木公啓著
筑摩書房 1034円
現代の子どもたちが容姿に対して持っている価値観を心理学的に解説。大人がなにげなく発する「ちょっとぽっちゃりした?」なんて声がけも、実は子どもにとっては大きな影響を与えていることが理解できる。
これも気になる!
スタジオジョネ 『イラストでたどる西洋ファッション年表 ビザンツ帝国時代から20世紀初頭のモダンファッションまで』

『イラストでたどる西洋ファッション年表 ビザンツ帝国時代から20世紀初頭のモダンファッションまで』
スタジオジョネ著
辻元よしふみ、辻元玲子監修
ホビージャパン 2530円
ファッションの変遷をたどると、それぞれの時代を生きた人の思想まで伝わってくるよう。ぼんやりイラストを眺めても、じっくり文章を読んでも楽しい一冊。
平芳裕子 『東大ファッション論 集中講義』

『東大ファッション論 集中講義』
平芳裕子著
筑摩書房 990円
服飾を研究する著者による、文化論としてのファッション講義録。服やデザイナーについての知識を歴史的に深めると、衣服を見る目がまったく変わるかも!?
イラスト/おおさわちか ※BAILA2025年8・9月合併号掲載
























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