わかりやすい文章と私たちの感覚にぴったりくる本のセレクトや評論が大人気の文芸評論家・三宅香帆さんに、バイラ世代が今読んでおきたい名作をセレクトし、魅力を語ってもらいました!今回のテーマは「家族の在り方を考える本」。
家族の在り方を考える本
『母は不幸しか語らない 母・娘・祖母の共存』

『母は不幸しか語らない 母・娘・祖母の共存』
信田さよ子著
朝日新聞出版 946円
母娘問題の第一人者による、三世代の家族・ジェンダー論。「あなたのために」という自己犠牲を盾に娘を支配する、日本の母親像を分析。親との健全な心の線引きの仕方を教えてくれる。
『娘について』

『娘について』
キム・ヘジン著 古川綾子訳
亜紀書房 2090円
老人介護施設で働く「私」のもとに転がり込んできた30代の娘。同性のパートナーを持ち、「私」が思う平凡な幸せとは異なる生き方をする娘へ向けた、母親目線からの葛藤を丁寧に描く一冊。

「『母は不幸しか語らない』は、祖母、母、娘の三世代にどんな葛藤が受け継がれているのか。生きてきた社会環境、夫や父親といった男性たちの存在も踏まえて書かれた傑作。母娘関係に悩んでいる人も、そうでない人も、信田さんの見解を読むことで、何かしら気づきが得られるはず。『娘について』は、母娘関係の難しさを、娘ではなくて、親側の視点から語っているのに惹きつけられる韓国の小説。自身の理解を超えた娘の言動に悩む母親の姿が描かれます。バイラ世代だったら、後輩との関係構築や自分よりも年が離れた人の気持ちを理解するのにも役立つかもしれません」
自分だけの文芸評論家像を発信することが目標!
「もっといろんな作品を読み、自分の中で感じたことを文章で表現して紹介していきたい。“書く”と同時に”話す”ことでも読書を身近に感じてもらいたいと思っていて、YouTubeなどでも情報を発信中。新しい文芸評論家像をつくりたいと思っています。メイク動画を観てやる気を出すように、私の書いたものやトークで本に親しむモチベを上げてもらえたらいちばん嬉しいですね!」
撮影/天日恵美子(人)、柳 香穂(物) ヘア&メイク/小澤 桜〈MAKEUPBOX〉 取材・原文/石井絵里 ※BAILA2025年6月号掲載
























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