文芸評論家の三宅香帆が、バイラ世代におすすめの最新本をピックアップ! 今回は、楽しく美術に浸る本として、ちいさな美術館の学芸員『忙しい人のための美術館の歩き方』など3冊をレビュー。

文芸評論家
三宅香帆
みやけかほ●1994年生まれ、文芸評論家。熱量の高い書評で注目を集め、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社)はベストセラーに。
【三宅香帆が選ぶ最新書籍】楽しく美術に浸る本
もっと気軽にアートを楽しむ。今週末こそ美術館へ出かけてみませんか?

美術館に惹かれながらも足が向かない現代人を救う一冊。学芸員の著者が、限られた時間で美術館を楽しむためのノウハウ、そして日本の展覧会の歴史まで楽しく教えてくれるのだ。
本書は「作品パネルの活用術」や「鑑賞メモの書き方」といった実践的テクニックを学べるだけでなく、忙しいなかでも美術館に行く意味まで気づかされる。ついコスパやタイパを重視してしまいがちだが、自発的に余暇を過ごすメリットにも目を向けたい。まずは“行動に意味がないと落ち着かない”というタイパからの呪縛を忘れよう。
読んだあとはきっと、美術館へ行く時間をつくりたくなるはず。この一冊を片手に今週末こそ、スマホから顔を上げて美術館巡りの計画を立ててみては?
『忙しい人のための美術館の歩き方』
ちいさな美術館の学芸員著
筑摩書房 1012円
時間もあるし美術館には行きたいのに、行けない。そんなタイパ志向のご時世を生きる大人に向けて、学芸員の著者が“美術館で過ごす余白”を楽しむコツをレクチャーする。
これも気になる!
山口桂 『死ぬまでに知っておきたい日本美術』

『死ぬまでに知っておきたい日本美術』
山口桂著
集英社 1320円
近くにあるのにハードルが高いように感じる日本美術も、目利きの独自目線で語られればなんとも面白い。いざあの名品に会う前に、まず読んでおきたい入門書。
中野京子 『西洋絵画のお約束 謎を解く50のキーワード』

『西洋絵画のお約束 謎を解く50のキーワード』
中野京子著
中央公論新社 1210円
美女のそばにバラがあればヴィーナス、ユリならマリア……西洋絵画はシンボルを覚えるだけで理解度が変わる! まるで単語帳のように絵画の必須知識を解説。
イラスト/おおさわちか ※BAILA2025年10月号掲載
























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