ライフプランとお金のスペシャリストであるファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんと風呂内亜矢さんに、気になるけれど聞きづらいお金の話を伺いました。
ワークライフバランスに合わせた働き方が選べる時代。スキルと同じくマネーリテラシーにも磨きをかけて。今どきの給料についてのギモンにアンサー!
ファイナンシャルプランナー
井戸美枝さん
社会保険労務士、産業カウンセラー。お金の話を簡単に読み解く経済エッセイストとしても活躍。『フリーランス大全』(エクスナレッジ)など著書多数。
ファイナンシャルプランナー
風呂内亜矢さん
TVや新聞、雑誌、YouTubeなど多数のメディアでお金に関する情報を精力的に発信中。著書に『コツコツ続けてしっかり増やす!誰でもできるNISAの教科書』(ナツメ社)など。
Q.今の給料を上げる方法を上司に相談してみるのはアリ?
A.資格取得の相談&情報収集はアリ
「給与額は賃金規程に基づく人事査定で決まるので、上司の判断で変わるものではありません。ただ、会社によっては能力給や資格手当を設けているので、該当する資格やスキルを上司に確認するのはアリです。30代は、会社から給与をもらいながら、どこへいっても通用するスキルに磨きをかけられる時期でもあります。スキルアップやステップアップに向けて、会社の資格支援制度をフル活用してキャリアを築いていきましょう」(井戸さん)
Q.転職するとき、今の会社で退職金はもらえますか?
A.自己都合の退職でも退職金はもらえます
「退職金は法律で定められたものではなく、企業が独自に行っている制度で、懲戒免職などの特殊な事情でない限り、理由を問わず受け取ることができます。主に『退職一時金』と、『企業年金』の2種類があり、退職一時金は、勤続年数や基本給、退職理由などをもとに会社の規定に基づいて算出された金額を一括で受け取ります。企業年金は、『年金として分割して受け取る』か、退職一時金のように『一括で受け取るか』を選ぶことができます」(井戸さん)
Q.副業を始めたいです。1円でも稼いだら、自分で「確定申告」が必要って本当ですか?
A.20万円以下なら不要。ただ、住民税は申告の必要アリ
「副業の所得(売り上げから経費を差し引いたもの)が年間20万円以下であれば、『所得税』の確定申告は不要です。ただし、『住民税』は所得額にかかわらず、1円でも稼いだら申告しなければなりません。住んでいる自治体の市役所や区役所の市民税課などで住民税の申告を行いましょう。その際、勘違いしやすいのがフリマアプリの売り上げです。これは、生活に必要な動産(不動産以外の財産)の売却なので収入にはあたりません」(風呂内さん)
Q.ボーナスや退職金をなるべく多くもらってから退職したい。狙うべきタイミングはあるのでしょうか?
A.会社によって支給日や規定がまったく異なるので賃金規程を確認
「ボーナスは会社によって支給日が異なるので、就業規則を確認しましょう。たとえば、『賞与は支給日の前月末に在籍していた従業員に支給』とあれば、ボーナス支給月の前月末に退職しても支給されますが、『賞与支給月の末日時点で在籍している人に賞与を支給する』とある場合、ボーナス支給月まで在籍していても月末日以前に退職する場合には支給されません。退職金については、まずは勤めている会社に退職金制度があるか確認を。勤続年数によってもらえる額に幅があり、3年未満はほとんど出ないことが多いのでよく調べましょう」(井戸さん)
イラスト/蔵元あかり 取材・原文/国分美由紀 ※BAILA2024年2・3月合併号掲載