ライフプランとお金のスペシャリストであるファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんと風呂内亜矢さんに、気になるけれど聞きづらいお金の話を伺いました。
ワークライフバランスに合わせた働き方が選べる時代。スキルと同じくマネーリテラシーにも磨きをかけて。転職の際の住民税・健康保険やクレジットカードのギモンにアンサー!
ファイナンシャルプランナー
井戸美枝さん
社会保険労務士、産業カウンセラー。お金の話を簡単に読み解く経済エッセイストとしても活躍。『フリーランス大全』(エクスナレッジ)など著書多数。
ファイナンシャルプランナー
風呂内亜矢さん
TVや新聞、雑誌、YouTubeなど多数のメディアでお金に関する情報を精力的に発信中。著書に『コツコツ続けてしっかり増やす!誰でもできるNISAの教科書』(ナツメ社)など。
Q.今の仕事を退職してから転職活動をする場合、その間の住民税・健康保険の支払いはどうなる?
A.住民税は収入があった年の翌年から支払うので、今のうちに備えを。健康保険の継続については現在の年収や扶養家族によっても変わってきます
「住民税は、所得があった年の翌年以降の支払いになるので、転職活動中でも支払えるようあらかじめ準備をしておくこと。健康保険は、①家族の扶養に入る②国民健康保険に加入する③前職の健康保険を最長2年継続できる任意継続被保険者制度を利用する、という選択肢があります。①の場合は、退職後1年間の見込み年収が130万円未満などの条件があるので要確認。②の保険料は前年度の所得で計算され、③は退職前と比べて自己負担額が2倍(上限あり)になりますが、健保組合の場合は高額療養費給付などのメリットがあります。②の保険料はネット上でシミュレーションできるので、③の保険料の倍額と比較しつつ検討してみましょう」(井戸さん)
[健康保険の切り替えチャート]
Q.フリーランスの場合、人間ドックや健診は全額負担ですよね?
A.負担額の差はもちろんありますが、自治体によっては検査費用の助成が受けられる場合も
「フリーランスは自己負担となりますが、自治体によっては人間ドック検査費用の助成が受けられることも。負担額や年齢制限は自治体ごとに異なるので確認を。もしこれからフリーランスになるならば、健診は会社員時代に済ませておくのがおすすめです。たとえばがんなどを発症した場合、初診日の時点で国民年金か厚生年金かによって、受け取れる障害年金の額が異なります。会社員のうちに、定期的にメンテナンスをしておきましょう」(井戸さん)
[障害厚生年金の受給対象]
Q.キャリアアップのために資格取得を考えています。将来のためなら、いくらでも投資していいですよね?
A.本当に自分にリターンがあるか考えてみて迷ったら、手取りの1割を目安に
「働きながら取れる範囲の資格取得を目指す人もいれば、高難易度の資格を取るために一時的に仕事をやめる人もいます。まずは、『自分にとって本当に投資になるかどうか』ということを客観的に確認しましょう。『いいことをしているから』と際限なく使うのではなく、取得することで投資分以上のリターンを回収できるのかを考えることが大切です。自己投資するならば、金額は手取りの1割ぐらいを上限の目安にして、その範囲内で検討を」(風呂内さん)
Q.フリーランスになったら、クレジットカードはつくりにくくなるって本当?
A.つくれるけれど、銘柄や上限が限られる可能性が高いです
「つくることはできますが、最低でも3年以上はコンスタントに収入がないと社会的信用が低いと見なされてしまうので、カードの銘柄や支払い上限額、グレードなどが限られます。クレジットカードは会社員時代につくっておくのがベスト。ほかにもフリーランスになると、賃貸物件の審査や住宅ローンの審査も通りにくい傾向があります。社会的信用を得やすい会社員のメリットを生かして、大きな契約なども在職中に済ませておくのがおすすめです」(井戸さん)
イラスト/蔵元あかり 取材・原文/国分美由紀 ※BAILA2024年2・3月合併号掲載