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【ヤマザキマリさんが回答!結婚のお悩みQ&Aまとめ】結婚していないと負け組?既婚女性は転職に不利?ほか

バイラ世代が抱える、結婚やパートナーシップへのモヤモヤや焦り。イタリアを始め世界各地で暮らし、様々な結婚観に触れてきたヤマザキマリさんのお答えから、新たな視点が拓けてくるはず!

目次

  1. 1. 結婚していない私は負け組ですか?(39歳・会社員)
  2. 2. 結婚休暇や産休に入る同僚のサポートにモヤモヤ(34歳・人材系)
  3. 3. 親友の結婚相手が気に入らない(30歳・マスコミ)
  4. 4. 既婚は転職に不利? 古い価値観の上司にギャップを感じる(31歳・医師)
  5. 5. 結婚に憧れはないけど、周りを見て孤独な気持ちに(35歳・不動産営業)
  6. 6. ハイスペと結婚した同僚と自分の夫を比べてしまう(31歳・介護)

1. 結婚していない私は負け組ですか?(39歳・会社員)

「周りに独身女性が減ってきており、結婚&出産をしている女性が勝ち組のように感じてしまいます。私は未婚で、職場は年下の女性が多い環境。後輩たちにとって自分は、怖いお局のように感じられているのではないかと被害妄想が入ることも。結婚したい気持ちもありますが、なかなか婚活にふみきれず、日々葛藤が……。どうしたらこの被害妄想状態を乗り越えられるでしょうか?」

ヤマザキマリさんのAnswer.

人生に勝ち負けはありません。生きているだけで大合格!

ヤマザキマリさん

まずは「勝ち組・負け組」っていう発想を世の中から無くしていきたいですよね。人の一生で、何が勝ちで何が負けなのか。そんなこと自分にも、ましてや他人になんてわかりっこないんですから。相談者の方が被害妄想に陥ってしまうのは、日本の教育にも関係があるような気がします。本当は今、あなたが生きているだけで完璧なんですよ。勝ちも負けもない。それが小・中・高と学校へ通う中で“何者かになれ”“社会に貢献せよ”って教わって育つでしょ。女性の場合は結婚や出産も達成すべき目標のひとつのような風潮さえある。でも、どちらもゴールではなく、プロセスのひとつ。結婚&出産に頼らなくても得られる幸せなんてこの世の中にはいっぱいあります。世間の“刷り込み”に気づいてください。そもそもあなたがこうした悩みを抱えていることは、自身が本当の幸せについて考えている証拠。新しい何かをやってみるにはいい機会じゃないですか。既存のフォーマットに取り込まれたり、へこんだりするヒマなんてないですよ!

2. 結婚休暇や産休に入る同僚のサポートにモヤモヤ(34歳・人材系)

「私は結婚願望や、子どもが欲しいと思う気持ちがありません。それはいいのですが、同僚が結婚式の準備、新婚旅行、産休前などで長期休暇を取る度に、私の元に引き継ぎなど細かい仕事が押し寄せます。結婚も出産もない身なので、『一生しわ寄せを受ける側かよ』と思うと、モヤモヤします。前向きに仕事に向き合いたいのに、気持ちが沈んでしまう……。切り替え方がわかりません」

ヤマザキマリさんのAnswer.

あなたも休みを取りましょう。また別の景色が見えてきます!

ヤマザキマリさん

いちばん手っ取り早いのは、そんなことなど気にならない、なにか強い好奇心を向けられる対象を見つけましょう。たとえば少し長めの休みを取って、いつもとは違う価値観を稼働できるような旅行に行くのはどうでしょう? まったく異なる環境に身を置き、いつもとは違う人たちと交流することで視野が広がり、瑣末なことが気にならなくなることもあるはず。またはそういう負荷のない職業に転職する。
でも、どこへ行ってもなにがしかのモヤモヤは発生するでしょう。とにかく世界は職場だけではないのですから、切羽詰まってきたらやはりその場所から一瞬でも遠のいて、そんなことなど気にならない新しい関心ごとを見つけてみることじゃないでしょうか

3. 親友の結婚相手が気に入らない(30歳・マスコミ)

「親友が結婚しました。お相手には結婚前に何度か会ったことがあるのですが、待ち合わせに遅刻する、店員さんに横柄な態度をとる。正直“彼女がこの人を選ぶなんて”と思わずにはいられませんでした。彼の話を聞くのも嫌になってしまい……。その結果、彼女とは疎遠状態に。大切な親友を失ってつらいです。私はどうしたらよかったのでしょうか」

ヤマザキマリさんのAnswer.

己の物差しで他者を測るな。もっと「人間図鑑」を広げて!

ヤマザキマリさん

厳しい意見かもしれませんが、余計なお世話というやつでしょう。かつて、私が飼っていた猫にお見合いをさせたことがあるんです。極上のお相手でしたけど、うちの猫は見向きもせず。結局はどこかで知り合ったワイルド系のきたない野良猫と相思相愛になって、子猫もいっぱい生まれちゃった(笑)。あ~あとは思いましたよ。でも人の嗜好に自分が口出しするのは野暮です。親友でも、夫でも、子どもでも、もちろん猫でさえ、自分の思いどおりになるわけがありません。つまり、あなたの物差しは万国共通じゃないということ。ミリだかセンチだかわからないけど、あなた基準で親友とその結婚相手を測って、自分の基準からはみ出せば交友関係をしぼり込んで……って、そんなことじゃ寂しくなって当たり前ですよ。自分から世界を狭くしてるのですから。人間は多種多様、人の嗜好も多種多様。そういう社会に暮らしているのだという自覚を持ってください。

4. 既婚は転職に不利? 古い価値観の上司にギャップを感じる(31歳・医師)

「上司(50代男性・妻は専業主婦)が、『女性は結婚して子どもができたら時短勤務になるし、退職される可能性もあるから雇いたくない』と言っていました。私は既婚でいずれ転職を考えていますが、採用担当はこの年代の人だと思うので、自分のステータスは転職に不利なの?と不安に。そもそも、こうした“おじさん”価値観の上司にどう対応すべきなのでしょうか」

ヤマザキマリさんのAnswer.

“おじさん”はじきに滅びます。雑音は気にせず能力を磨こう

ヤマザキマリさん

安心してください。あなたの上司のような“おじさん”的な価値観は、そのうち滅びていきますから(笑)。労働者人口が減り続ける日本社会の中、既婚だからと女性のパワーを排除していったらどうなるでしょう? 世の中は衰退の一途をたどるばかりでしょう。あとは、こういう発言の裏側に、どういう心理があるのかを読み解くのも手ですよね。これは先進国に共通して言えることなんですが、だいたいの“おじさん”は、家庭で奥様に強~い圧をかけられて生活しているもの。せめて職場では“俺様の持論”をふかしたい(しかし実際にはそれを行使する権力もない)というパターンが多かったりします。滅びゆくおじさんの“ふかし”を真に受けて、働き盛りのあなたが心を痛める必要はありません。ただし、こういう残念なおじさんは必ずどこの企業の中にもいるものだという想定は必要かもしれません。とにかくおじさんの存在に囚われず飄々と仕事をこなし、結果を出していけば、そんな瑣末なおじさんたちの雑音も気にならなくなると思いますよ。

5. 結婚に憧れはないけど、周りを見て孤独な気持ちに(35歳・不動産営業)

「自分の両親が不仲だったため、結婚に憧れを抱けません。彼氏ができても結婚を前向きに考えることができず、破局を繰り返すばかり。パートナーは欲しいものの、結婚話を持ち掛けられると思うと恋愛自体もおっくうで……。その一方で、既婚者の友達が増えていく今の状況に、孤独も感じています。こんなに寂しくなるのなら、いっそ好きでもない人と結婚してみたほうがいいのかと、悩んでいます」

ヤマザキマリさんのAnswer.

「結婚=不幸」も刷り込みかも。もう少しいろんな事例に触れて

ヤマザキマリさん

あなたのように、ご両親の結婚生活がトラウマになってしまった人は、私の知り合いにもいるので、お気持ちはよくわかります。でもあなたの場合、「結婚=デコレーションケーキのような楽しいものではない」という現実を知っている。さらにご両親を見てきたことで、ダメな関係にはすぐ終止符を打てる判断力も培われているのではないでしょうか。また結婚はハッピーという刷り込みからは解き放たれているんですから、その逆の「結婚=楽しくない」というのも、限られた事例での刷り込みかもしれませんよ。友人たちが結婚して寂しさを感じる、とのことですが、自分の中の孤独を感じ取れるのは、健全な精神の証拠。とは言え“好きでもない人と結婚”という解決策は極端すぎる(笑)。私も夫とは大恋愛をしたわけではないですが、お互いの仕事にはつねに尊敬を払っています。結婚や家族にはいろんな種類がある。結論を急がず、もう少しいろんなパターンの結婚観を知り、あなたらしい生き方を探ってはどうでしょう?

6. ハイスペと結婚した同僚と自分の夫を比べてしまう(31歳・介護)

「愛想がよく上司からも可愛がられている同僚が、いわゆる“高給取り”なハイスぺ男性と結婚しました。自分は若いうちに普通のサラリーマンと結婚したのですが、同僚の幸せそうな姿を見て、私だってもっと吟味すればいい人がいたのでは……と余計なことを考えてしまいます。自分の結婚を他者と比較せず過ごすコツがあれば教えてください」

ヤマザキマリさんのAnswer.

ほかの民族の結婚観を調べて。価値観は共同体によって異なる

ヤマザキマリさん

ハイスペ男性と結婚した同僚が、あなたの中で完結させていた「結婚観」の予定調和を乱したわけですね。とにかく比較は自分を苦しませるばかりですから、意図的にやめましょう。それがうまくいかないのであれば、試しに世界の人々の暮らしや結婚について調べてみてください(笑)。「現代日本人の結婚観」とは、異なる社会があることに気づくはずです。雲南省の少数民族では、男は働かないのが大前提。高給取り以前の話ですよね(笑)。恐らくそこに日本の結婚観を持ち込んでも「??(お前、何言ってるの?)」という感じでしょう。常識や価値観なんて、国や集団によって全然違うんです。ちなみに私と夫の場合は、額面だけ見れば私が稼いでいますが、年齢も職種も働く国も違うし、比較すること自体に意味がない。ましてや結婚のスタイルは皆違います。そもそも経済力で人間性の損得を推し量るのはナンセンス。どのくらいの稼ぎであろうと頑張って働いているご主人を、もっとリスペクトしてあげてください。

ヤマザキマリ

ヤマザキマリ


漫画家・文筆家・画家。1967年生まれ。’97年に漫画家デビュー。’10年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞受賞。第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。同作品は、現在も世界各地で翻訳出版中。エッセイなどの著書も多数。

ヤマザキマリさんインタビュー記事はこちら
ヤマザキマリさんが考える結婚観についてはこちら

撮影/ノザワヒロミチ 取材・原文/石井絵里 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載

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