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『続テルマエ・ロマエ』のキャラクターから読み解く!ヤマザキマリさんが考える結婚観

イタリアを始め世界各地で暮らし、様々な結婚観に触れてきたヤマザキマリさんに、国際結婚を経て見えた理想の家族のかたちを聞きました。主人公を始め、多くの大人が登場する『続テルマエ・ロマエ』。キャラクターたちの立ち振る舞いも結婚を考察するヒントに!

『続テルマエ・ロマエ』のキャラクター1 ルシウス

“研究者肌のルシウス。世間体重視の“トロフィー婚”は不向きでした”

1巻p.30

1巻p.30

「主人公のルシウスは2度結婚しています。最初の結婚は、彼の才能や功績をトロフィー的に欲しがる女性との婚姻でした。もちろんうまくいかず、破綻。研究熱心な彼の理解者として、さつきという現代日本人女性の、考古学者を登場させました。続編ではさつきとルシウスの関係も、まだ模索中です」

『続テルマエ・ロマエ』のキャラクター2 ミリアム 

“お手伝いさんのミリアム。彼女のように妻という立場に夢を見たっていい”

1巻p.17

1巻p.17

「ルシウスの家へ出入りするお手伝いさんの女性・ミリアム。彼女はわかりやすく家庭を夢見ているように描いていますが、もちちんこういう考え方もアリなんです。ミリアムの明るさに惹かれる人だって大勢いるでしょうし。脇役ではありますが、彼女を描くとイメージがふくらんで楽しいですね」

『続テルマエ・ロマエ』のキャラクター3 “湯の花おじさん”

“好きなものを追求している人は特別な魅力がある”

1巻p.103

1巻p.103

「ルシウスがタイムスリップした先の温泉で、湯の花を集めていた男性。私は“湯の花おじさん”と呼んでいます。彼は既婚者ですが、いかにも“オタク”な見た目だからなのか、その設定を話すと驚かれることも。私からすればルシウスしかり、彼しかり、情熱を傾けられるものを持っている男性って、素敵だと思うんですけどね」

©ヤマザキマリ/集英社

ヤマザキマリさんが語る『テルマエ・ロマエ』と「結婚」

『テルマエ・ロマエ』は私の結婚生活や結婚観が反映された漫画!

古代ローマ人が現代日本へタイムスリップする作品の設定を思いついたきっかけは、比較文学研究者の夫と結婚後、息子と3人でシリアへ移住したことでした。現代にいながら古代遺跡に住み着いているベドウィンの一家などと遭遇しているうちに、自分の中に“時代を飛び越えていく”感覚が強烈に埋め込まれてきたんです。シリアでもエジプトでもイタリアでも、ローマ遺跡に行けば必ず浴場の跡地がある。かつてはこれだけお風呂が発達していたのに、今は入浴文化の需要がそれほどないのはなぜなのか、こうした疑問と入浴への枯渇感によって『テルマエ・ロマエ』の構想が生まれてきました。漫画は油絵では食べていけないとわかった上での選択。その後は日本に戻って大学でイタリア語の講師をしたり、地方のテレビ局で“温泉リポーター”をしていた時期も。そんな最中に夫のベッピーノと巡り合うのですが、彼と結婚しなければ、シリアへ行く可能性はほぼゼロでしたし、『テルマエ・ロマエ』も生まれなかったと考えると、人生、面白いですね」

ルシウスは私好みの男性。結婚したら面倒だが、面白さはこの上なし!

「主人公・ルシウスは、勉強熱心で、ひとたび夢中になれることを見つけると、そちらが優先になってしまう。ルシウスみたいな人と結婚するとちょっと大変でしょうけど(笑)、男性の本来の魅力的な姿というのはこういうことだと思ってます」

まだ湧き出る創作意欲。同時に結婚生活も、人生に彩りを与えてくれている。

「現在連載中の『続テルマエ・ロマエ』では、ルシウスが日本各地の温泉へとタイプスリップしていますが、それは近年、私自身が国内の湯巡りをして『還暦近くなったルシウスはこういう温泉が気に入るんじゃないか』と、感じたことがきっかけ。物語は一度完結していますから、この連載も、私にとっては新たな挑戦なんですよね。イタリアヘの留学、彼氏との同棲、出産、シングルマザーとしての子育て、その後の国際結婚と世界各国での湯船がない生活……と、振り返ってみると私の人生って、本当に予定調和もへったくれもないものですね(笑)。だから結婚も、数あるトライのうちのひとつ。そして現在進行形で、日々に彩りを与えてくれている、と思っています」

『続テルマエ・ロマエ』

『続テルマエ・ロマエ』
ヤマザキマリ著
集英社  1巻 792円
前作の完結から20年後のルシウスの姿を描く。妻のさつきとのその後、息子との関係、そしてルシウスの風呂への情熱はどこへ向かう? 作中に登場する温泉を紹介する、ヤマザキさんによる書き下ろしエッセイも読みごたえたっぷり。

ヤマザキマリ

ヤマザキマリ


漫画家・文筆家・画家。1967年生まれ。’97年に漫画家デビュー。’10年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞受賞。第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。同作品は、現在も世界各地で翻訳出版中。エッセイなどの著書も多数。

撮影/ノザワヒロミチ 取材・原文/石井絵里 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載

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