バイラ世代が抱える、結婚やパートナーシップへのモヤモヤや焦り。イタリアを始め世界各地で暮らし、様々な結婚観に触れてきたヤマザキマリさんのお答えから、新たな視点が拓けてくるはず! 今回は「結婚していない私は負け組ですか?」という質問へのアンサー。
【読者の「結婚」に関するお悩み】
結婚していない私は負け組ですか?(39歳・会社員)
「周りに独身女性が減ってきており、結婚&出産をしている女性が勝ち組のように感じてしまいます。私は未婚で、職場は年下の女性が多い環境。後輩たちにとって自分は、怖いお局のように感じられているのではないかと被害妄想が入ることも。結婚したい気持ちもありますが、なかなか婚活にふみきれず、日々葛藤が……。どうしたらこの被害妄想状態を乗り越えられるでしょうか?」
ヤマザキマリさんのAnswer.
人生に勝ち負けはありません。生きているだけで大合格!
まずは「勝ち組・負け組」っていう発想を世の中から無くしていきたいですよね。人の一生で、何が勝ちで何が負けなのか。そんなこと自分にも、ましてや他人になんてわかりっこないんですから。相談者の方が被害妄想に陥ってしまうのは、日本の教育にも関係があるような気がします。本当は今、あなたが生きているだけで完璧なんですよ。勝ちも負けもない。それが小・中・高と学校へ通う中で“何者かになれ”“社会に貢献せよ”って教わって育つでしょ。女性の場合は結婚や出産も達成すべき目標のひとつのような風潮さえある。でも、どちらもゴールではなく、プロセスのひとつ。結婚&出産に頼らなくても得られる幸せなんてこの世の中にはいっぱいあります。世間の“刷り込み”に気づいてください。そもそもあなたがこうした悩みを抱えていることは、自身が本当の幸せについて考えている証拠。新しい何かをやってみるにはいい機会じゃないですか。既存のフォーマットに取り込まれたり、へこんだりするヒマなんてないですよ!
ヤマザキマリ
漫画家・文筆家・画家。1967年生まれ。’97年に漫画家デビュー。’10年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞受賞。第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。同作品は、現在も世界各地で翻訳出版中。エッセイなどの著書も多数。
撮影/ノザワヒロミチ 取材・原文/石井絵里 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載