職場の人間関係、仕事の多忙さ・・・。アラサー世代には「逆境」がいっぱい。何かとストレスが多い社会を、心折れずに生き抜くためのキーワードが「レジリエンス(逆境をはね返す力)」。アナウンサーとして緊張感のある毎日。心が折れそうな数々の経験を、加藤さんがどんな風にはね返してきたのかを、発売中のBAILA11月号「働く女子のマイ・レジリエンス」のなかで語ってくれています。ここでは加藤さんの「3つのレジリエンス」を一部抜粋してご紹介します。
幼少期からのアトピー皮膚炎に悩まされ、極度に悪化した中学時代。約1年間、毎日心が折れそうな日々を経験したという加藤さん。「思春期だったんでとにかく鏡を見るのがつらくて・・・。とにかく人目につきたくなくて、学校と家の往復以外はずっと家にこもってばかり。常に満たされない気持ちでいっぱいでした」。そんななか、学校だけは通い続けた。「すごくつらかったけど、それまで食事療法などを通して私を支えてくれた母を心配させたくなかったし、休みぐせがつくのも怖かった。それこそ泣きながら通う日もあったけど、心が鍛えられました。でもあの経験があったからこそ今がある。鏡を何の違和感もなく見られることがすごく幸せなことだな、と感じられるんです」。
入社時から周囲からの大きな期待を背負っていた加藤さん。入社半年で朝の情報番組と「カトパン」を担当。慣れない仕事や環境、生活リズムなど期待にこたえられない自分をすべてネガティブにとらえてしまう。「原稿を言い間違えたり、バラエティ番組で振られても答えられなかったり。周りの期待に対して自分の実力が伴っていないのを感じ、委縮して自分らしく仕事を楽しむことがまったくできなくなってしまったんです。毎日『自分はアナウンサーに向かない』と思いつめ、室長に異動させてほしいと相談に行きました」。このとき学んだのが室長や先輩の励ましの言葉のありがたさだった。「室長が、『まだ船は出たばかりだし、もう少し様子を見てみよう』と言ってくださったり、先輩が相談に乗ってくださったりして、気が楽に。それまでは肩に力が入った考え方をしていたんですけど、まずは『できなくてもいい』と、いい意味でのあきらめを持てるようになりました」。
名実ともに認められ、仕事が激増するなか、自分の意図を正しく相手に伝える難しさを経験。「たくさんの人とかかわってする仕事柄、対人関係はやはり大事。できるだけ自分がフラットな心でいることが、どんな人とも打ち解けられる方法なんじゃないかと考え、そのために、自分のなかで余計なネガティブな感情をためないようにしたいと思いました。心がけたのが『どんなときも一回相手の言葉を受け止めて、理解すること』。たとえ自分が正しいと思っても、まずは『あの人はこうだからそういう気持ちになっちゃったんだな』と理解するよう努めたんです」。
11月号本誌では、それぞれのレジリエンスについて、もっと詳しく語ってくれています。「心が折れそうになったとき」のポジティブな気持ちになれるコツ、迷ったときに、何度も読み返したくなる本なども紹介。ぜひチェックしてみてください!
撮影/熊木優(io) ヘアメイク/陶山恵実 スタイリスト/斉藤くみ(SIGNO) 原文/佐久間知子